リスペクトコラムです。
今回も久しぶりの村井さんネタです。最近ではバドミントン協会の改革の話題で、よくお名前を拝見するようになってきました。前にリスペクトした時はまだバドのバの字も無かったのですが、バドミントン界に行かれるという事で、この「Jの金言」シリーズは終了するのかと思ったら、継続でした。また、他にもJリーグ関係の動画も新たに担当されていますね(また紹介します)。バドミントン協会に行かれても、個人的にはまだまだサッカー愛を感じています。という事で、前回の続きを行かせていただきます。5回分一気に行くのでちょっと長くなりました。
【お金をかければいいわけではない…「漫画のようなスーパーゴール動画」をバズらせた村井チェアマンが気づいたこと】(第8回)
〔公式サイトがPC版のまま、SEOも不十分…〕
「――村井さんがチェアマンの時代にJリーグの収益が大きく伸びた理由の一つに、2016年に結んだ10年間で2100億円という、英ネット配信会社のDAZN(ダゾーン)グループ(契約当時の社名はパフォーム・グループ)との放映権契約があります。
【村井】そうですね。しかしいきなりDAZNに行ったわけではなく、その前段階として『本気でデジタル化をやろう』という決断がありました。」
〔デジタル化が一気に進んだ「決定的な事件」〕
「個人情報の管理みたいなところも、ちょっと危なっかしいところがあって。そういった部分を『Jリーグで請け負いましょう』という感じで、51クラブとJリーグの間に土管を通してデジタル・プラットフォーム的なものを作れば『クラブに貢献できるんじゃないかな』という思いが、おぼろげにありました。」
「【村井】2014年の6月ですね。上野の森美術館で『ボールはともだち。キャプテン翼展』というのがあって、Jリーグもコラボすることになったんですが、『じゃあ何ができるか』と考えていた時にJリーグメディアプロモーションの若手の面々が、YouTubeに1本の動画をアップするんです。」
「――日本中のサッカー小僧を熱狂させたあの動画ですね。
【村井】そうです。『キャプテン翼』に出てくる『反動蹴速迅砲』。」
「あれを見て『なんだ自分たちでやればいいのか』と背中を押され、思い切りデジタルプロモーションに舵を切るわけです。」
村井チェアマンになって、一気にデジタル化が進んだイメージがあります。あと、ビジネス化ですか。J2岡山が公式HPをリニューアルした時に、よそと構造がよく似ているなと思っていましたが、やはり統一フォーマットだったのですね。そんな気がしていました。「反動蹴速迅砲」の動画も観た覚えがあります。あの動画でJリーグのデジタル化が飛躍的に進化したとは。ちょっと思っていなかったです。
それにしても、あのDAZNとの契約は大きかったですね。DAZNさんはJリーグの恩人です。なので、当ブログも迷わず契約し、今も変わらず利用させていただいています。
【だから日本代表はドイツとスペインに勝てた…Jリーグの村井チェアマンが危機感を覚えた衝撃のデータ】(第9回)
〔モットーは「都合の悪いことは世の中に晒す」〕
「――村井さんは『魚と組織は天日に晒すと日持ちが良くなる』というポリシーのもとにJリーグを改革していきます。その中で生まれたのが『PUB REPORT』。いわばJリーグの『アニュアルレポート(年間事業報告書)』ですね。」
〔日本サッカーの弱点を徹底的に検証〕
「【村井】PUB REPORTを作るときも『Jリーグにとって都合の良いことばかり書くのではなく、課題や問題もどんどん書いてほしい』とお願いしました。」
「日本と世界の差は縮まっているのか広がっているのか。差があるとしたら何が原因なのか。徹底的にサーベイしました。」
〔「パスが秒速1メートルも違う」衝撃的なデータ〕
「欧州サッカーはクラブが莫大な収益を上げ、その資金で優秀な選手をかき集める。魅力的な選手がたくさんいるから観客が増え、さらに収益が上がるという好循環ですが、日本はそれができていませんでした。」
「(競技レベルでは)ミドルパスのスピードはJリーグの毎秒11.37mに対し、レアルは毎秒12.22m。1試合のシュート数はJリーグの12本に対し、レアルは17.1本。レアルはパススピードが秒速で1メートルも早いのでパスの成功率が高く、その結果、シュート機会が増えてスペクタクルなゲームになっているのです。」
〔批判を浴びた2ステージ制にも向き合った〕
「2ステージ制が良いのか悪いのか、議論をするための材料が必要だと思ったことが、PUB REPORTを作るきっかけになりました。2ステージ制になってテレビの視聴率はどうだったのか。メディアの露出や観客動員数は増えたのか減ったのか。良いことも悪いことも、すべてデータで示して議論のたたき台にしようと考えたのです。」
〔「今日は何もないです」「迷っています」でもいい〕
「もとの1シーズン制に戻るのですが、情報を開示して、フィードバックをもらって、それを材料に立て直すということをJリーグはやってきました。この姿勢はその後、育成プランとかフットボール・ビジョンの策定とかコロナ対策とか、さまざまな場面で生かされることになっていきます。」
「PUB REPORT」も最初から読んでいますが、あの資料はわかりやすくていいですね。以前に記事でも紹介しています。懐かしい2ステージ制の話題が出てきました。その是非を語るために「PUB REPORT」ができたきっかけでもあった訳ですか。情報開示はとても大事な事。当ブログでも昔から変わらず、情報公開、情報開示の度合いが「Jクラブの付加価値」の評価基準の一つ。もっぱら経営情報ですが、付加価値の高いクラブほど開示が進み、そう思えないところは全然公式HPに出てきませんね。役員名簿とか株主名簿とか、地域の公共財なら公開するのが当たり前だと思います。天日に晒して欲しいものです。
「魚と組織は天日に晒すと日持ちが良くなる」という村井さんのモットーをよく目にしていましたが、今度はバドミントン界で発揮されるのですね。いい改革ができると思います。
【「彼の強みは境界を越える力」村井チェアマンが感動した吉田麻也選手の「弟力」とは】(第10回)
〔「僕ら選手はお客さんのいるところでやりたい」〕
「【村井】このほかにも『選手の人生設計を考えて確定拠出型の年金を導入してほしい』とか『審判がすぐに反則の笛を吹くとインテンシティー(プレーの強度)が下がるから、軽いファールは流すようにしてほしい』とか。本当にいろいろな提言をもらいました。チェアマンとしてすべてに応えられたわけではありませんが、Jリーグをより良くするために共に戦ってくれる心強い仲間でした。」
【世界初の「年間1000試合のネット配信」を実現…JリーグがDAZNと「2100億円の巨額契約」を結んだワケ】(第11回)
〔なぜDAZNと契約することになったのか〕
「(ブラジルW杯終了後)ヤンゴンに到着すると、1人の男が私を待ち構えていました。名前をディーン・サドラーと言います。パフォーム社の幹部でした。当時のパフォーム社は今のようなスポーツ番組のライブ配信をやっていたわけではありませんでした。2011年にサッカーニュース専門のウェブサイトのGoal.comを買収したのですが、海外サッカーしか扱っていなかったので、日本でのユーザー拡大のためにJリーグも取り上げる企画を練っていたようです。」
〔開幕戦、初配信でまさかのシステム障害〕
「【村井】年間1000試合をフルマッチでネット配信するという、世界で誰もやったことのない試みでしたから、交渉はいいところまでいってはブレーク、またいいところまでいってブレーク、交渉チームは何度テーブルを叩いたか数え切れません。最後は私たちがロンドンに乗り込んで、パフォーム社本部との直談判で契約を取りまとめることになりました。」
「――ところが。
【村井】そうなんです。パフォームは日本にパフォーム・インベストメント・ジャパンという会社を作り『DAZN(ダゾーン)』という名前で配信サービスを始めます。2017年2月26日にパナソニックスタジアム吹田で開催されたガンバ大阪対ヴァンフォーレ甲府の開幕戦。」
「(システム障害が起こったが)彼らは決して逃げることはせず、むしろ積極的に情報開示をしてくれました。天日干しの精神です。本当に信頼できるパートナーになっていくのです。」
吉田選手も頑張っていますね。この辺りではDAZNとの馴れ初めが書かれています。DAZN側も結構積極的だったのですね。それまでのスカパーも一応ネット配信がありましたが、DAZNですっかり浸透したと思います。ガンバ戦の時のシステム障害も覚えています。当ブログも当時ウルトラスでのPVだったか、「クルクル」という表現でレポしたのを覚えています。当時はヤフーニュースにも出て来て、ちょっとサッカー界で心配しましたが、その後はきちんと改善されました。今も時々クルクルはありますが、許容範囲です。サッカーだけでなく、バスケも観れるし、やべスタやフットボールタイムも観れるし、最近値上げがありましたが、やはりDAZNで良かったと思っています。
【なぜ「Jリーグといえば明治安田生命」となったのか…スポンサー企業とプロスポーツの「理想的な関係」とは】(第12回)
「【村井】私にとって2014年は、まだチェアマンとしてしっかりした方向性が見つけられず、激動が続いて、ちょっと心が折れそうになっていました。そこで8月12日から14日まで初めての休みを取って妻と旅行に出かけるんですが、『サッカーの話題が出てこないところに行こう』と考えました。」
「(旅館への)帰路、『明治安田生命根室営業所』という看板を見つけたのです。『Jリーグは地域密着と言っているけれど、Jリーグもない根室にもこの会社は根を張っている。本当に地域密着で頑張っているんだなあ』と、とても感心しました。明治安田生命は私のチェアマン就任と同じ2014年からJ3のタイトルパートナーになってくれていました。「日本を代表するような大きな会社がなぜJ1、J2ではなくJ3なんだろう」とも思っていました。」
「【村井】根岸さんは根っからのスポーツ好きで、発足から20年以上がたち、設立当時ほど熱気がなくなりつつあったJリーグを『なんとかしたい」という思いがあったようです。
しかしJ1、J2には発足時から応援してくれているパートナー企業がいたので、J3という新しいカテゴリーができるタイミングでタイトルサポーター(特別協賛企業)になる決断をされた、というお話でした。」
〔村井チェアマンが思わず涙した贈りものとは〕
「【村井】はい。コロナの影響で4カ月間、試合が開催できなかった2020年。Jリーグとしてはスポンサー企業の皆さんに何のメリットももたらせず、非常に心苦しい状況でした。
しかし『国民の心身の健全な発達への寄与』を理念に掲げているJリーグが、観客を危険に晒さらすわけにはいきません。試合ができなければチケット収入も入ってこないので、各クラブの経営も苦しくなりました。そんな時、明治安田生命さんは想像さえできないような協賛金の上積みをしてくれたのです。『Jリーグ、頑張れ!』という、とてつもなく心強いメッセージです。」
ありがたくて涙が出ましたし、『ああ自分はなんて運がいいんだろう』と心の底から思いました。」
正直、リーグ名にスポンサー名が入るのは反対でした。今も少し思っています。スポンサー名にリーグ名が続くのは、ちょっと商業主義色が強く、無い方がよっぽどいい印象ではありますが、明治安田生命さんも長い付き合いになりました。もうすっかりアイデンティティ化しましたね。村井さんとの馴れ初めも面白いです。コロナ禍での協賛金の上積みは確かにありがたいですね。
という事で第13回以降に、この記事シリーズも続きます。気になるのはバドミントン協会の改革。少しずつ情報が伝わってきていますが、次回はじっくりリスペクトしてみますか。「Jの金言」はあと9回あります。頑張ります。
第4回関連:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20221120
プレジデントオンライン「Jの金言」(トップ):https://president.jp/category/c04126
〃 第1回/第2回/第4回/第5回/第8回/第9回/第10回/第11回/第12回
村井(前)チェアマン関連⑭:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20221221
〃 ⑬:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20221120
〃 ⑫:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20220716
〃 ⑪:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20220520
〃 ⑩:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20220502
〃 ⑨:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20220403
〃 ⑧:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20220211
〃 ⑦:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20211202
〃 ⑥:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20180721
〃 ⑤:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20160917
〃 ④:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20160206
〃 ③:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20150731
〃 ②:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20141225
〃 ①:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140116
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