CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

2016-11-09 20:52:32 | 読書感想文とか読み物レビウー
サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠  著:ジリアン・テット

久しぶりに面白い真面目な本を読んだ
そんな満足感に浸っている次第であります
時間かかったけども、好きなジャンルというのはいいですな
多少難しくても読もうという気力がわいてくるというか
すげぇ寝不足だよ
そんな按配であります

内容としては、組織の硬直化を扱っておりまして、
官僚組織、縦割り、習慣化の恐怖といった部分を
大変わかりやすく扱い、かつ、これらを
人類学という観点から紐解いてみたという意欲的な書物でありまして
いくつかの、組織が肥大化していくなかで
硬直し破滅、失敗を招いてしまった事例をあげながら、
同時に、これに抗うことによって成功した事例も見せて
この困難な問題
集団が一定数を越えると、また、年数を重ねると硬直化していくことへの
警鐘と、考え方について語られていて
非常にためになったのであります

個人がどうしたという話についても、
習慣化という部分で触れられているのが興味深いところで、
結局、属している社会のスタンダート、社風や、家風といったものに
あっという間に染められるというか、
そこへの違和感を覚えなくなってしまうということが
危険をふりまいているというお話でありました

こういうのをアウトサイダーが見ると
不思議だなと思ったりして、その凝り固まった状態をサイロと呼び、
サイロができた組織は、弊害によって失敗を招くというお話、
さらには、サイロとサイロの間に、凄まじい鉱脈があって
これを掘り当てることでうまいことやれるという話もあったりの
読み応えたっぷりでありました

実例として、ソニーの失敗とアップルの成功があげられていて
どちらも、今までに語りつくされた感もある内容でしたが
人類学という分野と、サイロというくくりで解説されると
より鮮やかにその違いというか、仕組みがわかったようにも思われて
大変有意義でありました
また、サブプライムローン騒ぎのときについても
同じ現象が見られたという考察も興味深くて
このあたりは、マネーショートと重ねて読むと
よりなるほどという具合に思えて
なんというか、大変面白かったのであります

イノベーティブな人たちが、知らないうちに駄馬となる
そのジレンマというか、恐怖の仕組みについて
深く考えさせられるとともに、
自分について、本当に官僚組織というのが嫌いなんだなと
理解できたのもあわせて
楽しい読書でありました