CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】掏摸

2016-11-14 20:21:50 | 読書感想文とか読み物レビウー
掏摸  作:中村 文則

犯罪小説、といっていいのかどうか、
掏摸を生業にしている男を主人公にして、
世の中の不条理というべきか、ある種の条理について描いた
そういうお話だったと思われるのであります
芥川賞作家というだけに、身構えて読んだのでありますが
予想外に読みやすいというか、はらはらしながら読んだのでありました
随分、面白かったというべきか、楽しめたのであります

なんともいえない人間関係も描かれているし、
何か、得体の知れない恐怖めいたものもついてまわる、
投げっぱなしなのかと思うような、謎のふりをした何かもあって、
あれこれと、読みながら引っ掻き回されたようでありました

見せ場というか、一番の読み応えは最後にありまして、
どう考えても無理というミッションに身をやっするところで
ぎりぎりの思いつきで、綱渡りをしかけるという部分が
非常に面白くてよかった
そうか、そういう手を思いついたのかと
トリックにどきどきさせられたのでありました
この部分だけでも、十分に読む価値があったなんて
なるほどと感心しきりだったのであります

いくつか、考えさせられるところがありまして、
最終的には、運命というか、自分で生きるとはなんだろうかしらと
そんなことを思わされるもので、
自分でなんとかするのか、
他人に操られるのか、
それとも、そもそもそういうことではなく、ただ運命なのか
毎日がどう過ごせているかという
自分の視点と、客観とを改めて考えさせられる内容でありまして
満足度の高い小説でありましたとさ
笑うところはないんだが、なんというか面白かったのである