CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】会社を綴る人

2019-02-06 20:57:00 | 読書感想文とか読み物レビウー
会社を綴る人  作:朱野 帰子

なんかファイリングする仕事本かと思って読んだら違った、
綴るとは、日記を綴るといた具合で、
出来事を書きとめていく、いや、綴っていく物語なのであります

文章を書くことしか能がない、それすらも、
幼い頃に小さなコンクールで佳作になった程度なんだが、
不思議と、その文章によって人が動かされる
それを見て納得がいかない女子とのやりとりなんだとかと、
夢のようなでもないが、実に不思議な物語でありまして、
会社として、社会人としてどうなんだと
主人公の生き様について、物語だからそういうものかと
納得できないほどの働くことへの適正のなさに驚きつつ、
それとはまったく別で、しかも、
特に会社や仕事に貢献する形ではなく発揮される文章が
なんとも面白かったのでありました

最終的には、そんなこともいってられず
貢献といえばいいのか、そんなことではなかったのか
わからないそれに落ち着いてしまって、
淡々として、つかみどころがない物語として終わってしまうのだけど
キャラクタが面白くて、可愛いと思しき女性キャラとのやりとりなんかを
微笑ましく見守りながら、ひとつの物語を泳いだようであります

何かを伝えるということへの方法論めいたことも盛り込まれているし、
文章というものの力について考えさせるようなイベントもあるけど
本筋はそういうお話ではなかったように感じる、
もっと、生きるために、働くとは、文章ってそもそも
なんて、様々なことに問題提起ほど強くもなく
緩やかに指摘しているみたいな感じで
とりとめないのに、何か面白かったと思える
一本の小説でありました
そう、ばらばらのようで、ひとつにまとまっているのが
とても不思議な印象なのでありました

読み終わって、ひとつの何かという得るもの、感動みたいなのがあるのではなく
なんだろうか、色々とつつかれたけど、それぞれがどうだったか
わからんが、ともかく主人公は幸せそうだしまぁいいかと
そんな風に思えて終わったのでありました