CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ひそやかな花園

2020-01-05 21:07:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
ひそやかな花園  作:角田 光代

箱庭感というのか、描き出された世界観が見事だと
嘆息見舞った一冊でありました
設定の儚さというか、難しさが見事に人間の心理というか、
男と女ともとれる、あるいは、父と母、家族、
様々なものに紐づきながら、どれを明確に著したわけでもない
さりとて、そのドラマが興味深くて面白くて仕方ないと
なんともいえない感動を味わえました

子供の頃に体験した謎の集まり、
或るときから、そういえば、なくなっていたなと思い大人になって、
その頃の記憶は嘘だったのかも、なんかよくわからないものだったのかもと
そんなものを抱えながら生きてきた、或る意味、見ず知らずの他人たちが、
絆とはとても呼べないそこに惹かれて集まり、
そこで、それぞれの人となりを知り、また、
そもそもの始まりを知ることで、
また、どのように感じるか、考えたか、行動したかが
人間を描いているなと感動する内容でありました

終始いらいらさせるさーちゃんが、
結局、この物語を一番よくかきまわしていたんだと
最後まで読んで納得できる、
誰一人かけてはならない、他人の集まりであったと、
家族でもない、友達でもない、不思議な集まりをなんと呼ぶのか、
それはわからないけど、不思議な安堵があり、
何かを越えた一体感みたいなものもある、
絆とか呼ばれるものは、
血縁でなくても、作られるといったらいいのか
幸せだったかどうかとか、
そういうことではないものが提示されたみたいで、
また、読む人によって、この物語の登場人物と同じように
それぞれの感じ方があるものなんだろうと
思ったりしたのである

面白かった