CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】それを、真の名で呼ぶならば

2020-07-06 20:53:44 | 読書感想文とか読み物レビウー
それを、真の名で呼ぶならば  著:レベッカ・ソルニット

現代アメリカのある一方の声とでもいうべきか、
反トランプというはっきりとした思想を記した本でした
鋭い舌鋒、強い怒り、揺るがない信念、
そういったものに裏打ちされた強い言葉が並ぶ本で
現代のアメリカ政治に興味がない身分では、
そういう考え方もあるのかしらという感じで
おっかなびっくり観るような感じの読書となりました

トランプ大統領がいかに危険かということを
とくとくと語るというよりは、もう語り殺すといったくらいの
強い意志と怒りを感じる文章で、
これが、アメリカにおける民主党派と呼ばれる人たちの言説なんだろうかと
その思想にふれて、恐怖を抱くような感想を覚えるのであります
書かれていることは本当なのか、そうではないのか、
この人の怒りの根源となるものが、
トランプによって引き起こされたのか、
はてまた、書かれているような、古臭い男らしさといった
妙なイデオロギーに対してなのか、両方なのか、
ともかく現代アメリカに対して深い失望と疑念、怒りを
書きなぐってあるという印象であります

黒人差別の問題も含めて、今まさに起きている暴動の裏側に
こういった人たちの怒りがあるのだろうかなと思うと、
解決というか、どうしたらいいのかわからないほど
もう、取り返しがつかないほどの断絶が起きてるんじゃないかと
一種の諦めみたいなのを覚えるような内容が描かれている

ここのところ読んできた、洋書翻訳本に共通するようなことが
直接的に書かれているという感じで、
どうも、トランプというひとつの象徴に対して、
多くの病巣というか、怨嗟、怒りというものが渦巻いている、
その状況が現代アメリカの問題点なのかと思わされるような
文章から伝わる強い、力というか、惧れのようなものを覚えてしまうのでありました

あまりにも、トランプに対しての怨嗟が酷いので
一方的すぎるんじゃないかしらと読んでしまうのだが
ディベートというもののなかで生きている人たちだから、
これくらいが当たり前なのかなとも思ったりしつつ、
本の中で語られる、純粋であることと、それ以外をNOという世界という不条理もまた
考えさせられるところだと思うのでありました
ヒラリーが、若い頃は共和党のアルバイトしてたとか
その程度で裏切り者みたいな風潮もあるんだそうで、
そうなってくると病気じゃないかと思ってしまうんだが、
人間、よりどころというのが、そんなところにしかなくなってしまうことも
ままあるんだろうと、悲しいとすら思ってしまうのでありました

闘うという言葉に繋がる、今の行き方、
何かをするということが、その直接の結果ではなく
遠い未来に何か影響を与えるという考え方というのが書かれていたのだが、
良い言葉だとも思うと同時に、
少し危険な思想ではないかとも思われるのでありました
なんというか、文章の熱量が凄い