CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】逆ソクラテス

2020-07-28 21:30:25 | 読書感想文とか読み物レビウー
逆ソクラテス  作:伊坂幸太郎

教訓系の寓話、童話みたいなお話でありました
ゆるくつながりのある短編が収録された内容でありましたが
小学生たちが、正直とは何か、それを学ぶような
言いきりはできないし、うまく説明できたとも思えないけど、
そういうことだから、小学生なりに察しろと
割と投げやりに任せた内容だったように思うもの
読んでいて、いい話でもあるし、
いい話になりすぎないようにという匙加減も見えるようで
面白い物語でありました

内容は子供向けと感じるところなんだが、
実際に子供が読むかというと難しいなという感じで
やっぱり伊坂 幸太郎の小説だなという感想になってしまう
面白い小説だったわけでありますが、
こういう考え方があるという押し付けではなく、
もっと事前段階で、ここには考える余地があるということを
なんとかして子供に伝えようという四苦八苦が見てとれるような内容でありました
確かになぁという感じも覚えつつ、
いわれたことを正直にして、よい場合もあれば、悪い場合もあるわなと
ごくあたりまえの世間を描こうとしていたというか
それもまた、小説的に簡略化されているんだけど
考えすぎているような、考えているのが面白いようなと
不思議な読み応えでありました

いじめ、という名前と事象を取り扱っているけども
もっと大きく、悪意というものについて
真剣に考えた内容なのは、共通するテーマのようでもあり、
新たなアプローチとして面白いと感じたのでありました
少し離れて考えてみると、内容は説教なのだが、
それが伝えたいことで、なんとかしたいという気持ちがのっていて
教戒といえばいいのか、
全て正しいと思ってほしくないが、こういうことも考えておいてほしい
そういう、作者からのお願いといったものが
物語の形をしている小説だと思ったとさ

伝えるというのは難しいし、
伝えたいことへの責任を考えるというのも
また難しいことだと考えさせられるのであります