CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】日本の品種はすごい

2021-01-09 19:50:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
日本の品種はすごい  著:竹下大学

植物育種における日本の歩みと、そこに出てくる品目の紹介本でした
近しい仕事をしているせいか、馴染みある品種名も出てきて
なかなか楽しい本でありました

植物でも、蔬菜だけではなく、果樹なんかにもスポットをあて
また、あえてコメに踏み込んでいないのがよいところだと思うのであります
馬鈴薯、大根、リンゴ、そしてわさびと
日本独特のものから、外からきたものをカスタマイズしてと
そのあたりの細かな歴史と、獲得形質の話が面白い

品種改良の苦労と、その品種の何がよかったのか
歴史的に他品種を駆逐するほどの病気への強さ、
圧倒的な旨さといったものがあったり、
どうしても導入されていなかったものが
災害などの、やむに已まれぬ事情で入ってから
一瞬にしてスターダムにのし上がったりと
非常に面白いのでありました
このあたり、品種そのものもあるが
マーケティングうんぬんと、何よりも運だな

リンゴあたりが、特に面白くて
結局市場評価と、実際の品種評価はリンクしない
色が浅いほうが甘いという、本末転倒的なというか
袋かけしないことにより、色悪いけど
日照量によって甘味が増すあたりの栽培技術とかも
面白いところばかりでありました
作りにくい品種を作りこなすという
一種職人的なところがあるのもまた
よいのかもしれん
作りこなしのジレンマというか、新品種が入るためには
既存の作り方に縛られないことも、ブレイクスルーになっていたり
まったくの門外漢が、唐突にわさび栽培に乗り出して
大成功しているというのも夢があるというか
ありそうな感じで楽しいのであります

ブリーダーによる開発も大切だが、
それを広める人、作る人、結局人あってこそだという
ごく当たり前の話なんだが、開発秘話というよりも、
広めるための何かといった感じが
読んでいて楽しかったと思うのであります