CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ピュリツァー賞作家が明かす ノンフィクションの技法

2021-01-18 20:56:34 | 読書感想文とか読み物レビウー
ピュリツァー賞作家が明かす ノンフィクションの技法  著:ジョン・マクフィー

タイトルから難しめの技術論の本かと身構えて読んだけど
なんてことはない、凄い面白い読み物だった
実際に、ノンフィクションというか記事を書くという行為について
著者の方法や、方法論を述べているんだけども
ニューヨーカー誌に掲載する場合のポイントというか、
実際にその時に行われたことや、校閲、構成、編集者(長)、その他もろもろの
ドキュメンタリというか、この本自体もまた
ノンフィクションになっているというのが凄い面白かった

読んでいるだけで、なんか、書いてみたくなるような
ポストイットを使って、あれこれ構成を組み替えていくところや、
言葉の組み換え、校正、推敲の回数といったところを
かつての教え子に教えた内容や、自身の体験も含めて描いていて
凄く面白い
なんか、書けそうな気すらしてくる

類似語、言い換えの扱い方への物凄いこだわりというか、
凄まじい裏とりの応酬だとかも読み応えがあって、
雑誌作るにあたって、校閲さんの仕事って半端ねぇなと
改めて思い知らされたのでありました
こういったものは、時代と関係なく、記事というものが存在する限り
必要だとも思うが、なくなっていきそうだなと
最近の、裏とりもなく、フェイクなんのそのな記事を見ていると
思い知らされるのでありました
ここに、雑誌、あるいは、記事の品質というものが関わってくるんだなぁ
あんまり気にしてないけどもさ

誰かが言ってたらしい的な内容も、
出典がどこだったか、草の根分けても探してくる感じの仕事っぷりが凄まじくて、
こういう人たちが、ウィキペディアで要出典を乱打してんじゃなかろうかと
かんぐってしまいたくなるような、いや、でも
この人たちに、そんな暇あるわけがないなとも思ったり
でもでも、やっぱり、そうしてしまうような職業病というか
もはや性癖、あるいは病気といっても過言ではない
細かな指摘があってこそなりたつのだろうかと
人間というものの不思議すら覚えるのでありました

実際に起きたことを文章にしてくとして、
創作ではなく、あった事実を時系列に並べていくけど
面白くするためには、その時系列を並べ替えるということも必要で、
さらには、それが自然で誤解をうまないような表現となるよう
言葉も選ばないといけないと、理詰めていくと
なんか、面白くなくなりそうなのに
読んでみて、わかりやすくて面白くなる、
つまりそれは、取材対象が面白いこそなんだろうなと
言葉でごまかしたそれではない、本質的に面白いことを
的確にわかりやすく伝えるということが
記事において、とても大切だということが伝わってくるようでありました

凄い面白かったけども、
こんな精度で記事、あるいは文章というものを練らないといけないのかと思うと
自分の仕事について、色々考えさせられてしまうのである
文字校正だけならなんとかと思うが、校閲は難しい、果てしない仕事だわ