CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】テロリストのパラソル

2021-06-22 21:09:26 | 読書感想文とか読み物レビウー
テロリストのパラソル  作:藤原伊織

1996年の直木賞受賞作品であります
結構古いし、この時代特有とも思える内容もあるんだが、
スリリングな展開が魅力的で、次々読まされる面白い小説でした

まだこの頃は、全共闘の世代や、南米との関わりとか、
今、見かけなくなりつつあるそれらが蠢いていた最後の頃とも思える
かつて革命を叫び、活動を行った青年が、
その後となった、この時にどうしていたか、
また、その過去にとらわれていったかというのが
ありあり伝わってくるようで、面白すぎたのであります
日本が舞台だし、日本人しか出てこないにも関わらず、
テロを扱った小説として、変なハリウッドっぽさみたいなのが皆無で
日本でありそうな感じがすごく自然で面白いのでありました
日本で、日本人が起こすテロというものが存在する
そういう時代の話なんだと、今じゃ考えられないのに
空気はわかるといった感じがすごくよかった

結局は、そういうことかという動機で終わってしまうんだけど、
入り組んだように見えて、案外単純な関係性が、
だんだんとわかってきたり、元刑事のヤクザとのバディがかっこよかったり、
いい感じでハードボイルドなのもまたよかったのであります
この男くささというか、今時ないなと、いろいろなところから感じるのだけど、
この良さは、今描かれることがないというか、難しいものなのかもなと
面白さを嚙み締めたのでありました

時代を色濃く描いているとも思える
けど、物語そのものは、古臭くないというか、
なんといったらいいんだろう、今読んで、ただ面白いと思えた
それでいて、描かれている情景は、自分があまり知らない日本の空気があるようで
不思議な魅力を感じたのでありましたとさ

同じことばっか書いてしまったが、
ともかく、面白かったとメモっておくのである