テスカトリポカ 作:佐藤究
直木賞受賞作品であります
SFとどっかで聞きかじって、表紙とか見ていたら
いかにもSFっぽいと読みだしたところ、
全然そうじゃなかった
古代アステカ文明を下地に、メキシコ中米の麻薬カルテルの抗争と、
日本を舞台にした臓器闇売買の興亡を描いた
かなりダークなクライムサスペンスでありました
扱ってる題材というか、基本的にえぐい感じなんだが
面白かった
主人公と呼べる人物が2人おりまして、
一人はメキシコの麻薬カルテルですさまじい勢力を誇った男なんだが、
序盤で、組織とファミリーをメキシコ抗争のそれで失ってしまう
そこに至るまでの極悪非道というか、
もう凄惨きわまる処刑方法と、独特の世界観、
アステカの神を信じ、心臓と神テスカトリポカを信仰する男、通称:調理師
もう一人は、日本でヤクザの子供として生まれた男なんだが、
こちらも母親が、メキシコの麻薬カルテルの抗争に巻き込まれて
様々なものを失った女だったりして、
なかなか因果が深い感じなんだけども、
子供ながら、すさまじい力(腕力)を持ちながらも、
満足な教育を受けていないので子供のまま大きくなっていくというそれ、通称:断頭台
物語としてはこの二人が出会うのはずいぶん後になるんだが、
それぞれの道程がやたらめっぽう面白い、
特に調理師の復讐に燃え、狡猾に闇社会を歩いていく様が面白くて、
利害に伴って、様々な男たちと組んでいくんだが、
また、そいつらもとんでもない暴力を備えていたり、
悪辣極まりない闇医師だったりと、悪党ばっかりごろごろ出てくる
やってることは殺しと、臓器の闇売買なので
まったくよいところはないんだが、一家の長としてのふるまいや、
賢さ、躊躇も恐れもない暴力の行使が
ある種のカタルシスを見せてくれる
そんな男のもとに、もう一人の主人公断頭台が
いつ合流するんだ、合流したらどうなってしまうんだと
やきもきしながら物語は進んでいくのでありました
個人的には、最後はちょっと物足りなくて
もっと違う展開を期待してしまったんだが、
それだと、いかにも漫画的というか、物語的すぎるから無理なんだなと
残念に思うものの、善悪をおいて、ただ、男が復讐のために邁進し
それを達成する姿を見たいとも思ったのは確かでありました
そういう単純な物語だったとしても、相当面白かったろうと
思ってしまうんだが、この物語自体は、
タイトルでもあるテスカトリポカの正体ともいうべきものに出会うというところがミソで
それもまた、結構衝撃的だと思わされたのでありました
神話の理屈が理解できたというべきか、
ああ、そういうことだったのかもしれないなというのが面白かったのである
ふんだんに中南米の神話が出てきて、独特の世界観を提供してくれるのもよかったんだが
話としては、暴力と犯罪のそれなのでありまして、
久しぶりに、ぎらぎらしたものを読んだと、重たい肉を食べたような感触の
読書となったのでありました
直木賞受賞作品であります
SFとどっかで聞きかじって、表紙とか見ていたら
いかにもSFっぽいと読みだしたところ、
全然そうじゃなかった
古代アステカ文明を下地に、メキシコ中米の麻薬カルテルの抗争と、
日本を舞台にした臓器闇売買の興亡を描いた
かなりダークなクライムサスペンスでありました
扱ってる題材というか、基本的にえぐい感じなんだが
面白かった
主人公と呼べる人物が2人おりまして、
一人はメキシコの麻薬カルテルですさまじい勢力を誇った男なんだが、
序盤で、組織とファミリーをメキシコ抗争のそれで失ってしまう
そこに至るまでの極悪非道というか、
もう凄惨きわまる処刑方法と、独特の世界観、
アステカの神を信じ、心臓と神テスカトリポカを信仰する男、通称:調理師
もう一人は、日本でヤクザの子供として生まれた男なんだが、
こちらも母親が、メキシコの麻薬カルテルの抗争に巻き込まれて
様々なものを失った女だったりして、
なかなか因果が深い感じなんだけども、
子供ながら、すさまじい力(腕力)を持ちながらも、
満足な教育を受けていないので子供のまま大きくなっていくというそれ、通称:断頭台
物語としてはこの二人が出会うのはずいぶん後になるんだが、
それぞれの道程がやたらめっぽう面白い、
特に調理師の復讐に燃え、狡猾に闇社会を歩いていく様が面白くて、
利害に伴って、様々な男たちと組んでいくんだが、
また、そいつらもとんでもない暴力を備えていたり、
悪辣極まりない闇医師だったりと、悪党ばっかりごろごろ出てくる
やってることは殺しと、臓器の闇売買なので
まったくよいところはないんだが、一家の長としてのふるまいや、
賢さ、躊躇も恐れもない暴力の行使が
ある種のカタルシスを見せてくれる
そんな男のもとに、もう一人の主人公断頭台が
いつ合流するんだ、合流したらどうなってしまうんだと
やきもきしながら物語は進んでいくのでありました
個人的には、最後はちょっと物足りなくて
もっと違う展開を期待してしまったんだが、
それだと、いかにも漫画的というか、物語的すぎるから無理なんだなと
残念に思うものの、善悪をおいて、ただ、男が復讐のために邁進し
それを達成する姿を見たいとも思ったのは確かでありました
そういう単純な物語だったとしても、相当面白かったろうと
思ってしまうんだが、この物語自体は、
タイトルでもあるテスカトリポカの正体ともいうべきものに出会うというところがミソで
それもまた、結構衝撃的だと思わされたのでありました
神話の理屈が理解できたというべきか、
ああ、そういうことだったのかもしれないなというのが面白かったのである
ふんだんに中南米の神話が出てきて、独特の世界観を提供してくれるのもよかったんだが
話としては、暴力と犯罪のそれなのでありまして、
久しぶりに、ぎらぎらしたものを読んだと、重たい肉を食べたような感触の
読書となったのでありました