CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】レジまでの推理 本屋さんの名探偵

2022-04-02 21:05:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
レジまでの推理 本屋さんの名探偵  作:似鳥鶏

本屋で起こる不可解な事件について、
ぐーたらやってる店長があっという間に解決してしまう
そんな感じのお手軽ミステリ小説でありました
ベタベタというか、コテコテというか、
ともかく、頭からしっぽまで、がっつりミステリ小説といった感じだけども
内容はコミカルで、本屋さんあるあるを織り交ぜつつ、
相変わらずの作者からの意味がありそうでない注釈の数々とともに楽しめる
読みやすい作品でした

トリックのパターンも網羅的な感じで、
なるほどなーと呼んでいて、スムースに理解できるというか、
あっと驚くというよりも、これはひょっとしたら
ちゃんと考えたら解けるかもという匙加減が絶妙で、
謎解きを楽しむという読み方にも
大変優しいというか、心配りのつくされた内容だと思うところ
別に謎解きを楽しまなくても、
物語として、それはそれと楽しめるのもまた、よいところでありました

最後の掌編が、なかなか面白い違和感というか
いわゆる叙述トリックというやつだよなと思いながら
それが、ミステリというよりも、物語に重要なことを導いてくるのが
粋というか、面白いなと思って、強く記憶に残ったのでありました

楽しそうな本屋さんだという印象ではあるが、
実際のところ、こういったところは減ってきているし
作者が注釈でうらめしく書いているように
売れるというのは大変な状況なんだろうとも思うと
なんとなくしょんぼりしてしまうのだけども
本屋へ、本を探しにくる、本に出会いにくるという
そういう場所にしようという試みというのは
いいキャッチフレーズだなと思ったのでありました
目的買いではないものを誘発するというのを
本というジャンルで行うのは
結構難しいのかなと思ったり感じたりもしたけど、
なんとなく、本屋があると寄ってしまうという自分を考えるに、
そういう商売が、今は正しいのかもとも思ったりしたのである

なんにせよ、よい本がたくさん売れる世の中になればよいのにと思うのであった