CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】残月記

2022-04-18 21:23:17 | 読書感想文とか読み物レビウー
残月記  作:小田雅久仁

思ってたのとだいぶ違った
SF小説といったらいいのか、かなりファンタジー色の強い物語だった
正直、完結したのか?とわからないで終わるという
なかなかざっくりした短編というか中編を3つといった感じで
月にインスピレーションを得た作品を3つ収録していました

一作目が、現代の話で月に魅入られて、あるとき
月の裏側のような世界に取り込まれたみたいなお話
こういう着想は確かにあるなと思いつつ、それを実際に物語にして
そして、これからどうなるんだというところで
ばっさり終わるのが衝撃的だった
正直、これで、続編2つという連作の作りだと思ってたのに
一切フォローなしというので、この本読んで
そこが一番衝撃でありました

二作目でも、同じように現代と月を介在した別の世界との
異世界転生的な物語だったんだが、どことなくマッドマックスっぽい世界観が
なかなか面白いというか、こういうのもまた、
着想としてどこかで見たような気がするのを明確に、書ききっているのがよかったと思うのである
とはいえ、これもまた、ちゃんと終わったのか?それでそのあとどうなんだと
気になるように思うんだが、それはなく終了
これで完結しているということなんだろう、ちゃんと読めてないな

そして三作目がタイトル作でもあって
これは確かに終わったとわかるそれで、
同じく月を見て獣人のようになるという、古来から一番よくある月にまつわるファンタジー
それを病のように見立てつつ、それでいて、現代劇なのに
中世、いや、古代ローマの暴君めいたそれに近しい話に落ちていくのが
なかなか面白かったんだが
タイトルからして、山月記みたいな感じかと楽しみにしていたのに
そうじゃないというか、いや、それを月イマジネーションを全開にすると
こういう感じになるのか?そうじゃねぇだろと
思ったりなんだったりしつつ、でも、純愛めいた話でもあり
そうではない、ある種の物の怪の物語のようでもありといった感じで
不思議な物語を三つ読めたのでありました

月というものに対する独自の世界観を披露した小説だったと思うんだが
なかなか面白く読めたのであります