CLASS3103 三十三組

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【読書】わりなき恋

2021-06-05 20:56:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
わりなき恋  作:岸惠子

女性主人公の老いらくの恋

いや、これは的外れな気がする「老いらくの恋」なる単語が女性には合わない、
女性がするそれは、年齢に関係のないみずみずしさというか、
いいようもない激しさがあると思い知らされる内容でありました

不可思議な仲といえばいいのか、
自立した女性であり、もう70歳に手が届くという主人公が、
飛行機でたまたま乗り合わせた男と恋に落ちる
つまるところそういうお話だったと思うのだけども、
恋の形というか、その二人のありようが、一種古典のような
メールや、FAX、文通などでやりとりをしていく様が、
まるで平安貴族のそれこれみたいで、
さりとて、優雅かといわれるとそんなこともなく、
内容は他愛のないものであったり、それぞれの思うままが激しく綴られていたり、
男の身勝手さなんてのもよくわかるというのに、
不思議と、それを嫌で別れるというわけでもないといえばいいのか
実に不思議な二人の関係が続く様が読める
大人の恋愛なんて、これもまた的外れだと思うんだが、そういう感想を覚えたのでありました

さばさばと、そんな感じにも思える、
本当に、こまごまとした、いろいろなことが二人にあって、
それぞれの立場もあって、身勝手さも、奔放さも、しがらみも、
なんもかんもあって、それによってぶつかり合うという
ある意味理想的な二人というものが描かれていた

淡々と進む時間の中で、311の震災もあったり、
色々と大きな出来事も訪れるのだけども
その中で二人がどうであったか、そして、その結末はどうであるか
エピローグの時間経過がまたよろしくて
ある恋の景色というものが描き切ってあった
そう読める内容でありました

こういう感動もあるんだと、ちょっと驚いてしまった
この恋愛というものは、知らないしわからないけども
きっとあるんだろう、そして、とてもよいもののようである


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