どくろの杯は出てこなかったのに、首の塩漬けは出てきてしまいました。
光秀は信長にてんこ盛りで言いたい事があったはず。だけどそれを立場的に仕方がなく、飲み込んだのだと思います。波多野兄弟に、命の安堵する旨はお願いしてあるので安心して安土へ旅立たれよと、光秀は笑顔で送り出し感謝もされていたと言うのに、「生きたまま、よく送り届けた。」と言うようなことを言われてしまっては、人としての面目も丸つぶれだと思います。この波多野秀治については→こちらにて
ただ首の塩漬けは、信長の善意。丹波攻略は本当に苦労したのですね。だから磔にしたのち、首をとっても、ちゃんと苦労した者たちに見せてあげようと思っていたのです。その前の光秀の言葉を知らなければ、その時代の慣習と私たちも思うはずです。
どうして光秀の言葉は信長に届かないのでしょうか。
信長は丹波を攻略した光秀たちをよくやったと褒めて、機嫌良さそうでした。
褒められるのが大好きな信長は、褒めてあげれば人が喜ぶと思っているかのようでした。
だから光秀にも官位を貰ってあげると嬉しそうに言いました。
そのようなものを貰うような者ではないと光秀が言い、その辞退する理由に信長も右大臣の役職を辞退したではないかと更に言うと、信長はきまり悪そうに帝からもらったものだからだと言うのでした。
東宮が帝になった後に貰うのなら辞退はしない・・・。
光秀もそれを東宮が譲位された後に貰えば良いと、さらに天皇の譲位、又東宮の二条への移動などに介入する胸を強く言い、その任を光秀に任せるのでした。
しぶしぶと藤孝と共に、東宮に二条にお移りになる事をお願いに行くのでしたが、東宮に
「二条の庭で蹴鞠を蹴り続けろと言うのか。」と、あんなに信長を慕っていたのに、彼も何やら違う口ぶりになっていました。
「信長はせわしないおのこよの」とかすかに笑いながらも、もう彼は単なる無邪気な少年ではなくなっていたと言う事なのかも知れません。
これはやはり、違う、間違えていると、光秀は思い信長に進言しようとしますが、藤孝に必死に止められて思いとどまるのでした。
このドラマでは、なんだかヒールな雰囲気の秀吉でしたが、今回はちょっと違う描かれ方をしていたなと思いました。
毛利攻めが進まない事を責められて、京で女漁りなどしている場合ではないと、信長に言われると、「すべてバレテおる。」と笑って躱(かわ)し、それでも「近頃の殿は、何か焦っておられるようじゃ。」と藤孝に気持ちを伝えるのでした。
秀吉はじっと見ている、流れを。
今回のハイライトは、なんといっても帰蝶との再会だと思うのです。
帰蝶に今の信長と自分の進むべき道を相談したかった・・・・・・。
なぜなら帰蝶は、今は居ない道三と通じる道であったから。
と、言うよりも、帰蝶自体が道三譲りの覚めた目で物事を見、冷めた頭で物事を決断できる人だったからなのでしょう。
その前に駒に語られた、光秀の闇に光る樹を切り倒している男の悪夢の話と言い、なんだか今年の大河は格調が高いなぁと、私は感じてしまいました。
なんだか帰蝶のセリフと言い、大木を切り倒している光秀の映像と言い、私は惚れ惚れとして魅入ってしまいました。
天の月まで届くような大木を上っている男がいる。その上っている男は信長様である。月に行った者はみな帰らない。それを止めたくて、男(自分)は木を切っている。だけどその木を切り倒せば、男は落ちて死ぬのだ。分かっているのに木を切っている・・・・・。
なんか胸に迫ってくるものを感じました。
ところがこの時とんでもない事ですが、なんだかこの前の「相棒」の「死神はまだか」と同じだなと、私はちょっと思ってしまったのでした。愛する師匠の名誉を守るために弟子一同で殺してしまったお話。
光秀は本当に信長の事を大切に思っているのだろうなー。
だけど片方のお話には受け入られないものを感じ、片方には胸に迫るものを感じたと言うのはなぜなのか・・・。
それは片方には、胸を貫くような「美」と言うものがあるからかも知れないと、私は感じました。
また人は、自分の人生の砂時計の残りの砂の量を、密かに五感で感じるものなのでしょうか。信長の焦りとは何なのか。
帰蝶が語る、バタバタとしていた父と兄と言う言葉。
ジタバタだったかしら。
来週最終回は、絶対に録画して二回は見ようと思います。
だけど今回は記憶の中に残った事だけで、感想を書いているので、細かい所が間違えていても許してください。
「父、道三だったら毒を盛る。」
この時脳裏に、道三が歌を歌いながらあの娘婿に毒を盛ったシーンが思い起こされませんでしたか。あのシーンは、凄く丁寧で恐ろしかったけれど、ゆえにこんな所で説得力が出てきました。
そう言った帰蝶の瞳はキラキラと涙で濡れていました。帰蝶にとって信長はかけがえのない人なのですから。
今の信長を作ったのは、道三と光秀だと帰蝶は言いました。
なぜ帰蝶は、父と私と光秀だと言わなかったのか。それは信長に嫁がせたのが道三だったからです。いわば道三と帰蝶は同じという事だと思います。実際に具体的に信長を助け支えてきたのは帰蝶でしたから。
「夕方になるとすべてがぼんやりとしか見えぬ。バタバタとはしたくないものだが、そうもいかぬかもしれぬ。」・・・・・のような事を言っていたと思うのです。
(本当はこのセリフ、いつも不正確なのですが、特に自信がありません。「そうはいかない」は私が付け加えちゃった?)
一番煌めいた時を過ぎて、人は静かに退場していきたいもの。だけど最後まで足掻きながら生きていくのは、美しくはないかも知れませんが決して悪い事ではないと思うのです。
帰蝶の大きな瞳から、美しい涙がこぼれたことが印象的でしたね。
そしてもう一つのハイライトは、武田に勝って、家康を持て成す饗応のシーン。
長くなってしまったので、簡単に書きますね。
国の美しい治め方を習う家康。短い期間でありましたが、光秀は丹波の国をよく治めたようですね。紀行も含めて見て、やはり福知山城などに行ってみたいと思いました。
信長を信用しきれていない家康は、饗応役を光秀に頼みます。二人の仲の良さを見て、明らかに妬んでいるようにしか見えなかった信長でしたね。
言いがかりを付けて(二の膳も一遍に出せとか何チャラ)、一同の前で手を出す信長。この回から唐突に森蘭丸が登場しました。蘭丸は居ないなと思っていたので、それはそれで嬉しかったのですが、嫌な感じの役で、なんか気の毒。しかもその饗応シーンで、光秀に漫画のようにポイッと投げ飛ばされてしまいます。一瞬のシーンだったのですが、あまり無いようなシーンだったので、その後の信長と光秀の鬼の形相シーンが凄まじくて凄かったのですが、私の脳内では、そのポイッとシーンが繰り返され、ちょっと笑ってしまいました。
唐突と言えば、次週の最終回になんと黒田官兵衛(濱田岳)が出るのですね。
たった一回の濱田岳・・・・・ああ、なんか勿体ないような気がします。
と、内容がだんだんと軽くなってきたので、最後に「@kurukurufine」さんのツイートから知り得たことを。
meijiが出している中づり広告。「受験生に聞きました。一番好きな語呂合わせは。」でね、
「いちごパンツで本能寺」
これ凄い !!
1582年、ついに次週は本能寺 !!
楽しみだけど、早くも寂しい~!!!