公園も少しずつ色づいてきましたね。
おとといの事ですが、夜の9時半ごろバイトの帰りでとぼとぼ歩いていました。
すると目の前の公共施設から男の人が自転車に乗ったまま出てきたのです。
ガシャンと、入り口の門に雑にかけられているチェーンを乗り越えてです。
閉館時間なんかとっくに過ぎたその時間の建物はもう暗くて、「この人、なんでここから出てきたの?」と思ったのでした。
なんだかまずいところに出くわしてしまったんじゃないかと、ふと不安に感じました。
その人は、入り口で何か迷う雰囲気を醸し出し・・・・・
「しまった。見られた !?」とか考えているんじゃないよねと、私は思いました。
だけどその人は、私の傍らを過ぎていき、私の来た方の道に走っていったのです。
私は念のために何度も振り返りました。
こういう時、残りの道が怖く感じたりしませんか。
それで、バイト先の雇い主様に、報告の電話を入れながら歩いていました。
はいはい。歩きスマホです。
でも人混みで前から来る人も避けられないくせに(日本人としてお間抜けだと思いませんか?)、歩きスマホをしている人とは違います。自分以外に歩く人もいない暗い道では、ほんの微かに有効な自衛手段の一つじゃないかしら。
この時私は思っていました。
もしあの施設で何かがあったとしても、私は何も有益な情報を警察に伝えられないなあと。
痩せてた。50代くらい。自転車に乗ってた。帽子をかぶってた。くらい・・・・。
ダメだなぁ。
と、ふと振り向くと・・・
ドキッ!!
さっき走り去ったはずのその人が、走って来ていてすぐ後ろに迫っていたからです。
えっ、なんで ?
さっき向こうに走っていったじゃん。
実はこの時、まだ電話は繋がっていて
「それでですね。」と話し声のボリュームが少し上がってしまった私です。
その人が再び私の横を過ぎていく時、私は少々緊張しました。
その人は少し先で、またスローダウンしたのです。
だから私も立ち止まりました。
そしてその人はその先のカーブで曲がっていく視界から消えて行ったのです。
なんか、嫌だったなぁ。
ちょっと怖かったわ。
いったい何だったのかしら。
と、思ったのでしたが・・・・・
昨日の夜、ふと唐突に閃きました。
「あっ、そうか!」って。
つまりその男の人は、あの施設の職員で、一人で寂しく残業をしていての帰りだったのです。
その施設の門に雑にかけられているチェーンは、なんとだらしがなく地面まで垂れ下がっているのです。
もしそれを外すとなると、自転車から降りて自転車を止めて外し、そして外に出てまた自転車を止めて掛け直さなくてはなりません。面倒くさいので、彼はガシャンと音を立てて乗り越えてしまったのだと思います。
門の所のためらいは、そこで彼は思い出したのです。
奥さんの
「帰りにパンを買ってきてね~。」と言う言葉を。
彼は仕方がなくコンビニに向かいました。
そしてコンビニで種類も少なくなり選択肢のないパンを買い求め、急いで家に向かって走り出しました。
そこで彼は思う。
「なんだ。さっき職場の前で出くわした女がまだこんなところを歩いてるじゃないか。さっきじろじろと見てた失礼な女だったな。」とか。
追い越してスローダウンしたのは、きっとそこにあった自販機で何か買おうかと、一瞬悩んだからではないでしょうか。
夫殿が言いました。
「それ、ママの妄想だろ。」
「ええ、そうよ。だけど辻褄が合いすぎない ?
なんだかこれが正解だったような気がする。」
と言っても、ドラマじゃないので答え合わせはないです。
たいがいはこんなものでしょう。
でもですね、私の経験では、何かの時に「違和感」と言うものを感じた時は、「そうそう世の中には悪い人はいないでしょ。」みたいな性善説は採用しない方が良いです。
敢えて攻撃するわけではないので、油断しないでさりげなく緊張した方が良い場合もありますよね。
まあ、確かに夜道で何かを目撃しても、役に立つ目撃者には私はなれないってことだけは分かりました。