本当に吃驚しました。
何にって、この義経に。
頼朝に会うための旅の途中で、兎をどちらが射止めたかの争いで、矢がどちらが遠くに飛ぶかで勝敗を決めようと提案。
だけどこの時点で、矢を射たもうひとりの人は負けてしまったようなものだったと思ってしまいました。なぜなら矢の形を示し自分の矢だと主張した彼は、義経の矢を出させ、どちらの矢かを明らかにしたら答えは明白だったはず。それなのに勝負を挑まれて、きっと「面白い」と腕に自信があったその者は、心が動いてしまったのでしょうか。
見ていた私たちも、何やら面白い矢の飛距離自慢のシーンが見られるのかと気楽な気持ちで見て居たのでした。
義経が同時に射る事をしなかったのは、彼の結果を見ていたうえで素早く作戦でも立てるのかと思ってしまったところで、あの卑怯な振る舞いがありました。たかが兎1匹の為に、その男を殺してしまった義経。
この戦の天才であった義経は、勝つためには手段を選ばない恐ろしい男でした。
そして三谷氏も恐ろしいー。
決してこの義経を、悲劇のヒーローにはさせないつもりなのではないかと思いました。
皆が芋を掴めずにいる所にひとり刺す事で芋を手に入れる義経は、やはり発想の違う人間なのだと私たちに知らしめしたのだと思いました。
だけど最初のあの卑怯なシーンを見てしまったゆえに、知恵あるものになどにも見えず、彼の闇のプリンス像が私の中で出来上がってしまったのでした。
そこに三谷氏の計算があったのではないかと思わざるを得ず、やはり彼は怖いライターだと感じたのでした。
また別の知恵ある者は、三浦義村でしたね。
何となく一段高い所にいる様な頼朝を気に入らない上総に、佐殿以外の呼び名を教えたりしました。
武衛(ぶえい)
兵衛府およびその官職の唐名(とうみょう/中国風の言い方)。
上のは、HPの「用語集」をそのままコピペしまものですが、「佐殿」よりも位が上の呼び方なんですってね。あっ、これは作中で畠山が言っていましたね。上総に「武衛、武衛」と連呼され、頼朝もまんざらでもない顔をしていました。
でも「俺も武衛だ。みんな武衛だ。」の言葉に困惑もしていました。ひとり笑っている義村。
だけどそれは上総たちが頼朝に寄り添った良いシーンでもあったわけです。
今回は、皆に気を使いあっちに行ったりこっちに行ったりと活躍していた義時なのに、印象がかすんでしまったような気がしました。
でも生き生きと働き机に向かって事務作業に勤しむ義時の背後で、父の時政は
「お前は佐殿に出会って、本当に良かったな。」と呟くのでした。
力を発揮できる場所を得る事は、生きる場所を得たようなもの。それを父親がちゃんとわかってると言う良いシーンだったと思います。
他には、畠山が味方になりました。三浦義村も「育ちが違うのだ。」と言っていましたが、寛ぐ時もひとり背筋を伸ばし、まさに貴公子。鎌倉入りの先陣を務め、沿道の婦女子の熱い視線を集めていました。
また勝負はついたと、梶原景時は大庭を見限りました。
政子たちの鎌倉入りの衣装を用意するために、やむなく義時は彼の住まいを訪ねましたが、景時にとってもグッドタイミングな出来事だったと思います。
それから・・・って、なんか細かくあれやこれやあって、もう良いかなってなりました(笑)
ただ伊藤のお父さんの気持ち・・・・。八重と頼朝の仲を裂いたのは、ただ平家に気を使ってだけではなかったのでしたね。
「あの男は出自が良い事を鼻にかけ、我ら坂東武者を見下していた・・・。」
分かる、そこ。大泉さんが演じていていろいろと憎めない頼朝ではあるけれど、もしも違う人が演じていたら、この頼朝は結構好きでいるのは難しい所があるかもしれないと、亀のいる前で政子に大きな声で跡継ぎをと語るシーンでそんな事を思ってしまいました。
だけどお兄ちゃん、そこんとこ凄く分かっていたなぁと思いました。分かっていて佐殿を立てていた。坂東武者のそして北条の未来の為に。
鎌倉入りの姿を兄に見せたかったと言う義時には大きく頷いてしまいました。
まあ、ともかく次回、八重はどうなる !?
大丈夫、ヒロインだから・・・・って、それを言っちゃあ・・・・ダメだよね(笑)