ホトトギスの自生種は東アジア~インドに、約20種分布し、
うち半数の10種が日本に自生するそうです。
「キイジョウロウホトトギス」(紀伊上臈杜鵑草)は、
紀伊半島南部のみに自生し、現在は絶滅危惧種です。
ジョウロウ(上臈)とは大奥の職名で、優雅な貴婦人の意です。
自生地は山地の沢や湿った崖などで、乾燥と暑さに弱く、
栽培は難しいのですが、生きたミズゴケに植えて、
受け皿に水を切らさず、日照が少ない自宅北側の山草棚に置きます。
今夏の異常な暑さに耐えて、今年も開花出来ました。
10月中旬、3個の蕾のうち、最初の1輪が開きました。
葉先が焼け、2本出た茎は20cm余りと短いのですが、
長さ5cmほどの釣鐘型で、艶のある鮮黄色の花です。
花弁の質と光沢が独特です。
その4日後、残る2輪が同時に開き、
最初の花は終わりを迎えました。
花の内側には、紫褐色の斑点が多数あります。
自生地では、茎葉を長く垂れ下げて、葉腋に多くの花を吊り下げ、
優雅な「山里の貴婦人」となれるのですが、
市街地では、これで精いっぱいでした。
開花時だけ、玄関の内外で過ごし、また日陰の北側に帰りました。
水苔とともに30年以上、毎年咲き続けてくれてありがとう!