「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

病気の子を、地域の力で見守ろう

2007-02-13 19:28:54 | 各論:病児保育
私のクリニックでは、
病児保育・病児後児保育を併設して持っている。

開業時の2001年10月1日から病児保育を開設。
はじめは、自主運営で行っていたが、幸いにも、
2002年4月1日から、区の委託事業として認められ、
今に至る。
昨年一年間の利用者は、953名であった。一日平均3.9人。

本日フジテレビさんによる、
『ニュースJAPAN』での特集として取材があった。
本日23:30~放送予定とのこと。
題して『少子化救う病児保育!』

「運営していて、つらいことは何か」
というような質問があったが、
つらいことは、
うちのクリニックの病児保育を利用したいという方がいるのに、
定員がいっぱいで、お預かりできないで困っている親御さんを
見ることである。
(保育・看護スタッフ1人につき2人をお預かりする保育の手厚さを
とっているため、当院の場合 定員8人)

こんなとき、地域に広がりつつあるNPOの活動に期待したい。
例えば、NPOフローレンスの場合、
http://www.florence.or.jp/
子育て経験や保育・看護経験のあるボランティアが、
病気になった子を、ボランティアでお預かりするシステム。
イメージとしては、ベビーシッターが病気の子を預かるようなもの。
もしくは、地域に浸透しつつあるファミリーサポートが
病気の子を預かるようなもの。
ただし、異なるのは、
参加ボランティアは、子供の病気、心肺蘇生、保育などについて、
十分な研修を積む。
かつ、万が一の場合、緊急連絡先となる提携医がいるのが前提。
私もフローレンスの理事であると共に、提携医である。


こうして、
私のクリニックのような施設で
病気の子を預かる医院併設型病児保育室と、
保育所に併設して病気を預かる保育所併設型病児保育室と、
地域のボランティアが、病気の子を預かるNPOが、
連携していくことで、機能する病児保育体制が構築できると考える。
特に、各タイプで、うまく役割分担をする。
重症な子、急変のありそうな子は、医院併設型病児保育室。
軽症な子は、保育所併設型病児保育室や地域ボランティア型病児保育。

理想はそうだが、現実には、
それぞれのタイプによって問題点がある。
①医院併設型病児保育室の場合
定員があるため利用できる人が限られてしまう。

②保育所併設型病児保育室の場合
同様に利用定員。
及び当然医師不在であるため、
急変時の緊急対応ができる体制を整える必要がある。

③地域のボランティアが預かる場合
参加ボランティア不足
保育所併設型同様に、急変時の緊急対応の体制整備が必要。
この場合、ひとりで見ているわけだから、
本当に慎重にならなくてはならない。
保育所併設型なら、まだ複数で見るわけでその点で安全である。
また、利用者負担のコストも一番かかる。
ただし、もし、参加ボランティアの数が十分そろった場合、
施設型で言う利用定員はなくなる可能性がある。


世田谷区は、来年度病児保育問題解決に向け、動く。
それは、病気の子を預かる施設を作るようである。
いくらやっても利用定員はあり、焼け石に水になりかねない。


私の考えは違う。
③でいう地域ボランティア型の
問題点を解決しながら、
病気の子を地域の力で見守ることこそ、
経費がかからず、もっとも有効なはずだ。
これがうまくいけば、利用定員がなくなる。
利用したい場合、100%対応できるのである。


中央区を子育て日本一の区にする鍵の一つ:
『病児保育・病後児保育、利用希望者には
地域のボランティアの力で100%対応する』
これができる自治体は、日本中どこにもないと思う。
この実現をここ中央区で目指して行きたい。

少子化問題の一つの有効な解決法であるはずだ。


「病気の時ぐらい、親が看病するもの。」
これは、正論である。
上記施策は、
「病気の時ぐらい、親が仕事を休める」
ゆとりある社会がくるまでの、
時限立法である。

文責:小坂和輝
コメント
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