「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

子育てと“カウンセリングマインド”

2007-02-18 10:48:12 | 心理学・カウンセリング
小児科医にも、資格がある。
一番大事なものの一つは、
日本小児科学会認定 『小児科専門医』である。
そして今、子ども達の心の問題が言われ始め、
日本小児科医会認定 『子どもの心 相談医』という資格ができた。
私も、両者当然持っているが、
この『子どもの心 相談医』の研修会に昨日参加してきた。

講師は、臨床心理士の高田知恵子氏。
(創造学園大学ソーシアルワーク学部)

カウンセリングは、カウンセラーが行うものであるが、
カウンセラーでなくとも、
カウンセリングマインドを持つことで、
クライエント(相談者)の心を大切にし、
気持ちに沿った自己決定が行うことに
寄り添うことができる。

そして、子育てをする親御さんも是非、
“カウンセリングマインド”をもって、
子どもの話を聴いてあげてほしいと願っている。
これができるのであれば、
世の中から、ひきこもり、いじめ、少年犯罪は、確実に消える。
(もう一つ、親御さんにもっていただきたいものに、
“コーチングスキル”があるが、これは、今後取り上げる。
ちなみに、うちの藤城看護師が詳しい)

ここでは、昨日の高田氏の講演をもとに、
カウンセリングの基本的なところを述べる。


カウンセリングで大切なことは、
①共感
クライエントを批判せず、受け入れ、
共感・理解することから、始まる。
②問題整理
クライエントの悩み・問題をともに整理し、
ともに解決法を考える
③解決主体=クライエント
解決するのは、クライエントであって、
カウンセラーが答えを与えるのではない
④自己決定を援助
クライエントの力を信頼し、自己決定を援助する

注意することとして、
①プライバシーが保たれ、安心して話せる場所を用意する
②カウンセラーの価値観で判断しない
③カウンセラーはいつも同じ態度である


カウンセリングの基本は、
「聴く」「観る」「返す」
①「聴く」
傾聴すること。
言葉を注意深く聴き、言葉の背後にある感情を理解する

②「観る」
客観的にクライエントを観ること。
特に言葉と表情が一致しているか観る。
身振り、まなざしなどを通し
非言語的コミュニケーションをしているのである。

③「返す」(フィードバック)
カウンセラーの理解したこと、感じたことを
クライエントに伝える。
コミュニケーションはキャッチボールであり、
返していくことで、また相手から返ってくる。


では、カウンセリングマインドを養うには、
どうしたらよいか。
①感受性訓練
感じる力を高める、
相手の気持ちとともに、自分の気持ちを感じること

②反復練習
まずよく聴いて、聴いたことをそのまま、反復する。
例えば、
練習するパートナー「私が好きなことは、山に登ることです。」
練習する本人「あなたが好きなことは、山に登ることなんですね。」
といった具合に、そのまま反復するのである。

③ロールプレイ
クライエント(小児科の場合、親、子ども)と
カウンセラーの役割を割り振る。
場面・状況を設定し、その役割を演じること。
できれば、壁(客観的にその場面を評価する人)があると、
練習がなおよい。

このロールプレイで、何を練習するかというと、
相手の気持ちを感じつつ行う
自分のコミュニケーションスタイル、感じ方に気づく
自分の言葉やしぐさが相手にどのような影響を与えるかに気づく

~をロールプレイの後、「振り返り」をし、気づくのである。

昨日、ロールプレイの練習をしたが、
私自身「振り返り」で、感じたことは、
「子ども」役を通して、
「親」と「医師カウンセラー」の世界から取り残された気分を経験でき、
子どもの気持ちを汲む大切さを感じた。
「医師カウンセラー」役を通して、
「親」の気持ちを受け止めて聴く努力をしたのだが、
「親」役には、
「では、この先生は、何をやってくれるのか、結論がほしかった。」
と言われ、親の気持ちの受け止め方の難しさを感じた。



では、最後に、
カウンセリングマインドを
日々の子どもとの接し方で、活かすポイントは?

①子ども達、ひとりひとり皆違うことを忘れない
同じことを言っても、兄弟でも受け止め方は、違うはず。
お兄ちゃんに通じても、弟には通じないこともあることをお忘れなく。
子ども達の受け止め方は、千差万別なのである。

②子どもの伝えようとしていることを理解しようと努力する
それには、言葉とともに、
言葉の背後にある気持ち・身振り・眼差しを通して感じる

③急がばまわれ、
心をきめて、こどもに向かう。
そして、時には待つ!!

④親の意見を押し付けない



繰り返しになるが、カウンセリングマインドは、
子育てにとっても大切なものと思っている。
いじめ対策というと、皆いっせいに、
『学校にスクールカウンセラー配置を』という。
これは、これで正しい。
ただ、他人任せにする前に、することがある。
『すべての親御さんにカウンセリングマインドを!!』

文責:小坂和輝

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