「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

心身障害者扶養共済制度 

2007-12-12 12:01:27 | 医療
 私の友達の市議が、福祉関連の委員会で、「心身障害者扶養共済制度」に関し、質問したことであるが、非常に重要な話題であったので、取り上げたい。
 地元新聞各社も取り上げた模様。
 障がい者の保護者のとって、保護者の死亡後の子どものこと、特に経済面での問題等心配になる。その心配を少しでも和らげる制度が、「心身障害者扶養共済制度」である。

①「心身障害者扶養共済制度」
 障害者を扶養する世帯で保護者が死亡した場合、子どもに終身年金を支給する国の制度で、全国の都道府県、政令市が実施。保護者の死亡後の障害者支援を目的に、国が1970年に導入。
 保護者が年齢、収入に応じた保険料を二十年間支払う。保護者が死亡すると子どもに月額二万円の終身年金が支払われる。
 年金は厚生労働省所管の独立行政法人「福祉医療機構」(東京)が一括運用し、加入者側からの申請を受け、窓口の都道府県、政令市などを通じ、支給する。


②友達の市議の質問した事柄:
札幌市内の加入者42人の年金1480万円が未払いになり、うち23人の計1100万円が「時効」を理由に年金の支払いを拒否されていることを、12/10札幌市議会厚生常任委員会で質問。多くは子どもが知的障害で制度の仕組みが理解できず申請していなかったためで、札幌市もこれを把握していなかった。

③札幌市の説明:
 未払いが分かったのは今年9月。加入者の実態調査を行ったところ、保護者が死亡しているにもかかわらず、42人に終身年金が支給されていないことが判明。市は同機構に42人の年金を申請したが、申請時から2004年9月までの過去三年間しか年金支給を認められず、それ以前は同制度の規定から「時効」とされ、支払いを拒否された。
 未払いが判明したのは、保護者が二十年間の支払期間を満了し、しばらくしてから死亡したケースがほとんど。市はこうした加入者を把握していなかった。また、未払いは子どもが知的障害で制度自体が理解できず、申請しなかったケースが大半。中には十年前に保護者が死亡していたにもかかわらず、親が加入していた事実を知らなかったため、計50万円が「時効」と判断された障がい者もいる。
 市は「改善すべき点はあった」とし、今後は保護者が死亡した家族に連絡を取ったり、「時効」を避けるために二年に一回、加入者に現状確認したりするなどの再発防止策を取る。ただ「時効」とされた年金について市は、「保護者が払う保険料の減免借置を市は独自に行っており、今回の問題で市独自の救済策は困難」としている。

④問題点:
知的障害者と家族でつくる「札幌市手をつなぐ育成会」(札幌)の佐々木淳事務局長「障害者の親にとって、死後の経済的保障は切実な問題。申請主義はあまりに誠意がなく、障害者相手に時効を設定するのもおかしい。未払いを全額救済してほしい」と訴え、障害者に年金の管理責任を負わせる現状に疑問を投げかけている。

⑤中央区では:
 早速、中央区の障害者福祉課に問い合わせた。
 現在のところ、札幌市のような年金支払いを受けることが出来ないケースは、把握されていないとの回答を得た。
 区では、年一回の現況調査をし、保護者死亡の場合の指導・助言を行っているとのことであった。
 また、現在東京都では、都独自の「心身障害者扶養年金制度」から、全国の「心身障害者扶養共済制度」に移行を進めている時期であり、その制度周知をしようとする段階であるとのこと。

⑥成年後見制度
 障がい者自身が、このような申請をせんがために、年金不払いという事態に陥らないようにするためには、「成年後見制度」を利用することも一つの手であると考えられる。


*本文作成に、北海道新聞12月11日朝刊を参考にした。
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本日12/11、中央区医師会での医療連携の勉強会

2007-12-12 01:56:20 | 医療
本日、下記日程で、糖尿病診療での医療連携に向けた取り組みを考える目的で、勉強会が開催された。

***日程***

日時:12月11日(火) 午後6時50分~
場所:中央区医師会館 4階
         
~プログラム~

 1.司   会 :医療連携部担当理事 石川陵一先生
 2.開会挨拶 :中央区医師会会長 松本章一先生
3.講 演:
座長 :慈恵医大晴海トリトンクリニック  阪本要一先生
(慈恵医大糖尿病・内分泌内科学教授)
①. 「糖尿病と遺伝」
講師 :聖路加国際病院内分泌代謝科部長 出雲博子先生
②. 「医師会として取り組む医療連携」
講師 :江東区医師会理事 亀谷陽先生
③. 「区東部糖尿病医療連携について」
講師 :東京都済生会向島病院名誉院長  北村信一先生   
                          
追加発言「糖尿病25%減・特定健診保健指導について」
講師 :中央区医師会理事 吉井治先生

***日程以上***

 来年度から、実施される特定健診・特定保健指導に、行政もそして医療機関も対応していかなくてはならない。
 北村氏の取り組みは、3年がかりで、病院の糖尿病の患者さんを、地域の開業医に帰していく医療連携の実際のお話で、たいへん勉強になった。
 北村氏は、医師間の連携の構築に多大なる尽力をされた。医師は皆、連携は大事だとはわかっている。しかし、その連携の関係の構築をするとなると多大なるエネルギーや作業が必要なのである。
 病院は時々、地域の開業医と連携をとる時、「病院の囲い込み」という思惑で連携をとろうとする時がある。北村氏は、あくまで、「地域の患者の幸せ」を第一に考え連携をしていかなくてはならないという重い言葉を述べられた。
 管理栄養士が、開業医にも欠かせない存在であるが、配置が非常に難しい現実にぶつかっているともおっしゃっていた。NPOを立ち上げ、管理栄養士も含めた医療連携の円滑化の活動をしていきたいという夢も語られていた。

 医療連携の大切さは、福祉保健委員会でも話題になる。医療連携の構築のために、さて行政はどのようなことができうるのであろうか。現場の医者の努力だけに頼っていてよいものだろうか。スムーズな連携がとれるような環境づくりができないものであろうか。考えて行きたい。

 なんでもそうだけど、医療分野でも、キーワードは、「連携」。
 
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