本日12/20、朝日新聞『私の視点』で、見つけた記事です。
都立高教諭 長谷川美子(はせがわ よしこ)氏
****全文引用 朝日新聞****
今年9月、クラスの女生徒2人が、地下鉄の車内で相次ぎ痴漢の被害に遭った。いずれも勇気を振り絞り、相手を取り押さえて警察に届け出たのだが、署での対応ぶりに不信感を募らせて戻ってきた。冤罪を防ぐために慎重になっているのかもしれないが、そのあまり被害者への配慮に欠ける面はなかっただろうか。省みてほしい。
1人目の生徒は、以前から度重なる被害に悩んでいた。思い悩んだ挙げ句に、逃げようとした相手に必死の思いで声を掛け、警察に被害を訴え出たのだ。
初めての経験で、警察署で話を聞かれた時は頭が真っ白になったという。体を触っている手をつかんだわけではなかったため、捜査員からは「大企業に勤めている人で、クビになるかもしれないけど、犯人だと断言できる?」「裁判になると嫌な目に遭うよ」などと言われ、被害届を出したいという意思を伝えたのに、そのまま帰されたそうだ。
数日後に保護者と署を訪ね、改めて申し出た結果、ようやく被害の状況や本人の供述をまとめてもらえたが、指印を押す時に男性捜査員から手を添えられるなどセクハラと感じる行為もあり、釈然としない思いが残ったという。
2人目の生徒は、太ももをつかんできた若い男が、数日後に再び体を触ってきたため、腕をつかんで電車から降ろして駅員に被害を訴え出た。
ところが、警察では「お前のスカートも短いからなあ」「1回目に黙っていたから、また触っていいと思ったんだろうな」などと生徒に非があるかのような言葉を投げつけられたといい、日頃は快活で前向きな彼女が涙を流しながらそのときの悔しさを語った。
私も警察から事件の連絡を受けたが、電話口で相手に「先生方もスカートの指導はなんとかならないんですか」と言われ、信じられない思いにとらわれた。
言うまでもなく、痴漢は人の心身を踏みにじる卑劣な犯罪であり、長くトラウマに苦しむ被害者も多い。慎重な捜査と、被害者の感情や人権の尊重は相反するものではなく、被害者が二重に傷つくというのはなんとも理不尽だ。
今回の被害生徒の一人はその後も再び痴漢の被害に遭ったが、「もう追いかける元気も出なかった」と言う。「警察の人にとっては大した犯罪ではないかもしれないけど、私たちにとっては重大な出来事。きちんと扱って欲しかった」という言葉に胸がふさがれる思いだ。彼女たちが「声をあげてよかった」と思えるために何ができるか、各方面でぜひ真剣に考え実行していただきたい。
被害者の聴取に女性警官を充てるなどの配慮する署も増えていると聞く。とはいえ、痴漢は頻発する犯罪だけに、署により対応が異なるのでは被害者は安心できない。研修などを通じて全体の意識を改善していただきたいと思う。
同時に、都教委など教育行政側も、被害者への丁寧な対応を求めるなど警察への働きかけを強め、二度と同じ思いをする生徒が出ないようにしてもらいたい。
****全文引用終わり****
痴漢による心の傷だけでなく、その捜査の不手際・無配慮により心の傷が深まるようなことをしてはならないと私も強く感じました。この記事が多くの皆様の目に触れることを期待して、ブログに全文引用いたしました。
このような二重の被害が子ども達に起こることが繰り返されるのであれば、痴漢被害捜査のあり方の抜本的な見直しを求めていかなければならない思います。
都立高教諭 長谷川美子(はせがわ よしこ)氏
****全文引用 朝日新聞****
今年9月、クラスの女生徒2人が、地下鉄の車内で相次ぎ痴漢の被害に遭った。いずれも勇気を振り絞り、相手を取り押さえて警察に届け出たのだが、署での対応ぶりに不信感を募らせて戻ってきた。冤罪を防ぐために慎重になっているのかもしれないが、そのあまり被害者への配慮に欠ける面はなかっただろうか。省みてほしい。
1人目の生徒は、以前から度重なる被害に悩んでいた。思い悩んだ挙げ句に、逃げようとした相手に必死の思いで声を掛け、警察に被害を訴え出たのだ。
初めての経験で、警察署で話を聞かれた時は頭が真っ白になったという。体を触っている手をつかんだわけではなかったため、捜査員からは「大企業に勤めている人で、クビになるかもしれないけど、犯人だと断言できる?」「裁判になると嫌な目に遭うよ」などと言われ、被害届を出したいという意思を伝えたのに、そのまま帰されたそうだ。
数日後に保護者と署を訪ね、改めて申し出た結果、ようやく被害の状況や本人の供述をまとめてもらえたが、指印を押す時に男性捜査員から手を添えられるなどセクハラと感じる行為もあり、釈然としない思いが残ったという。
2人目の生徒は、太ももをつかんできた若い男が、数日後に再び体を触ってきたため、腕をつかんで電車から降ろして駅員に被害を訴え出た。
ところが、警察では「お前のスカートも短いからなあ」「1回目に黙っていたから、また触っていいと思ったんだろうな」などと生徒に非があるかのような言葉を投げつけられたといい、日頃は快活で前向きな彼女が涙を流しながらそのときの悔しさを語った。
私も警察から事件の連絡を受けたが、電話口で相手に「先生方もスカートの指導はなんとかならないんですか」と言われ、信じられない思いにとらわれた。
言うまでもなく、痴漢は人の心身を踏みにじる卑劣な犯罪であり、長くトラウマに苦しむ被害者も多い。慎重な捜査と、被害者の感情や人権の尊重は相反するものではなく、被害者が二重に傷つくというのはなんとも理不尽だ。
今回の被害生徒の一人はその後も再び痴漢の被害に遭ったが、「もう追いかける元気も出なかった」と言う。「警察の人にとっては大した犯罪ではないかもしれないけど、私たちにとっては重大な出来事。きちんと扱って欲しかった」という言葉に胸がふさがれる思いだ。彼女たちが「声をあげてよかった」と思えるために何ができるか、各方面でぜひ真剣に考え実行していただきたい。
被害者の聴取に女性警官を充てるなどの配慮する署も増えていると聞く。とはいえ、痴漢は頻発する犯罪だけに、署により対応が異なるのでは被害者は安心できない。研修などを通じて全体の意識を改善していただきたいと思う。
同時に、都教委など教育行政側も、被害者への丁寧な対応を求めるなど警察への働きかけを強め、二度と同じ思いをする生徒が出ないようにしてもらいたい。
****全文引用終わり****
痴漢による心の傷だけでなく、その捜査の不手際・無配慮により心の傷が深まるようなことをしてはならないと私も強く感じました。この記事が多くの皆様の目に触れることを期待して、ブログに全文引用いたしました。
このような二重の被害が子ども達に起こることが繰り返されるのであれば、痴漢被害捜査のあり方の抜本的な見直しを求めていかなければならない思います。