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○小坂:では、次の話題に移らさせていただきます。
京橋エリアの2つ目の話題といたしまして、歌舞伎座の件があります。
歌舞伎座を保存すべきだということの考えは、多くの議員が考えるところであり、これは11月の定例会でも取り上げられたりもしておりましたが、それに関して、まず地元はどのようにこのことを理解して、この計画をのんだのか、このあたりの経過を。すなわち、地元はあの外観等をきちんと保存するという形のもと、のんでいるのではないかと私は思うんですけれども、この都市計画のデザインでスケッチされてきたファザードが余りにもシンプルであったがために、このようなファザードのあり方が地元の望んでいる形、歌舞伎座の外観の保存とはえらい違うんじゃないかなと思うんですけれども、これあたりは地元は納得しているのかどうか。どのような理解のもと、地元は歌舞伎座の計画を受け入れたんでしょうか。
○望月地域整備課長
歌舞伎座の建てかえにつきまして、地元の理解ということでございます。
当然、歌舞伎座の建てかえにつきましては、地元の方に御説明、当然、パース等も含めて計画の御説明というものをしております。その中で御理解をいただいているというふうに考えてございます。
また、歌舞伎座の建てかえにつきましては、さまざまな検討を事業者のほうでされたと。その結果、取りまとめられているものが今回の計画となっているというふうに考えてございます。戦後の改修から約60年も経過しておるわけでございますけれども、その60年の間、長きにわたりまして地域の皆様に親しまれてきた現在の歌舞伎座、この特徴ある外観、例えば晴海通りから見たシンメトリーな建物の外観であるとか、あるいは唐破風等、特徴ある意匠、こういったものを今回の計画では引き継ぎながら、継承しながら、計画されていると聞いております。また、再利用できるものについては、調査の上、再利用すると。区といたしましても、今後の詳細な設計に当たりまして、現在の歌舞伎座の外観や特徴ある部分につきまして継承されるよう、あるいはそういった再利用についても、再利用できるものは再利用していただくように要請してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○小坂委員
例えば、環境建設委員会の資料7のところで出されているようなイメージパース、晴海通り側からのような、このようなシンプルな外観を地元の方々は納得されているというふうに理解してよろしいんですか。
○望月地域整備課長
計画の中身を説明する際には、そういったパースも用いながら説明されていると聞いてございます。デザインにつきましては、その考え方はいろいろあるかと思います。また、デザインだけではなくて保存に対する声、あるいは新しい歌舞伎座に期待する声、さまざまあるかと思います。また、そのデザインの特徴についてどのように継承しているのかについても、さまざまな動きがあるかと思いますけれども、そういったものにつきまして、今回の新しい歌舞伎座のパースなどを用いまして説明した上で、デザイン協議会等、御理解いただいたというふうに聞いてございますので、そういった意味では、その受けとめ方はまたさまざまでございますでしょうけれども、そういった御理解をいただいて、今回の計画にまとめられているというふうに考えてございます。
○小坂委員
今回の計画なんですけれども、これは建物の耐久性がどうもまずいのではないかというふうなことで建てかえの方向に行っているわけですよね。歌舞伎座再生検討委員会報告書というのが社団法人日本都市計画学会から出されているわけですよね。この中で、これは、私は日本建築学会の図書室で借りれるわけで、その資料、この検討をもとに言っていると思うんですけれども、耐久性の問題はこの報告書等々とか読み取るに、まだまだあの外観はもつのではないかということでお話を進めたいわけです。
なぜなら、この耐久性というところの問題で言われているところのコンクリートの強度、これがそれら報告書の中には「163~240kgf/?」、ちょっと読み方はわからないんですが、このような状況にあって、コンクリートのサンプルなんかを圧縮して強度を見るみたいなんですけれども、当時の水準が135という値で、極めて強度は保存されているというデータが出されているわけです。
2つ目に、外装モルタルの浮きやはがれがあるということですけれども、これらは構造強度とは関係ない。
3つ目に、コンクリートが中性化されてきているというふうなことを書かれていて、だめだということですけれども、これは昭和59年度の調査のときに平均深さ44ミリメートルまでコンクリートの中性化があったということですけれども、平成11年度の調査においても、全平均として45ミリメートルということで、中性化の進行が進んでいないわけでございまして、コンクリートの中性化も余り問題ない。また、コンクリートの中性化に対しては、再アルカリ化という手法もとって、もう一回中性化したものをアルカリ化に変えるという手法も使えると言われております。
鉄筋のさびに関しても、ほとんどがそのさびのグレードが1か2ということらしいんです。一部では確かにグレード3の部分があって、これに対しては修理すべきだというふうなことも言われてはおりますけれども、鉄筋の状況も大丈夫だということです。
最後の5点目として、この建物というところの構造設計者は、内藤多仲という方で、これは建築学の分野におきましては耐震設計の代名詞のような、日本を代表する構造学者がつくっているということで、東京タワーもこの方がつくられたそうなんです。それほど耐震構造の専門家がつくられたものなわけであり、耐震性も大丈夫であると。
コンクリートも大丈夫、中性化に対しても対処できる。鉄筋も大丈夫ということからすると、それを保存できることは可能だと私は考えるんですけれども、それをもう寿命だからというふうな考えで、だめということで説得しようとしているわけです。このあたりはもっと科学的な分析をこの報告書に加えて、分析していく必要があるのではないですか。
歌舞伎座は、その外観というのは多くの日本人が認める日本の伝統の心たるものであり、銀座のシンボル的存在であるわけであり、これを安易に壊して、このようなシンプルなファザードにしてしまうというのは、私はいかがなものかと。中央区としては、これを保存していく方向で都市計画で審議していくのが筋じゃないかなと思うんですけれども、このあたりに関して、まず耐震性とか耐久性とかは問題ない。そういうふうなデータが出ている以上、それを根拠にした建てかえの話は成り立たないのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
○吉田副区長
委員、申しわけありませんが、その報告書も御覧いただくとおわかりですけれども、その報告書には建築学会長も参加をして、一応基本的には建てかえせざるを得ないということのニュアンスは、学会長も参加した委員会の中で検討しているわけでございます。翌年に学会から、その表面の意匠等について、現在の貴重な外観を尊重しろということでの要望書が出ておりますけれども、それを保存しろという形では建築学会も言っておらないわけでございます。
委員、大変申しわけありませんが、委員は地質学やら建築学やら大変詳しいわけでございますけれども、ただ、申し上げますと、コンクリートで表面から、例えば45ミリというと、実際には鉄筋がもう配置されているところに中性化が進んでいるということなんです。それと、これは過去の来歴でございますけれども、確かに内藤多仲先生がつくり、岡田信一郎先生がつくった建物ですけれども、そこにはやはり空襲があって、一番真ん中にあった大きな破風が壊されている。それを今はトタンで再構築している状態ですから、通常の中性化の状況と、それはやはり違っていくだろうと。
今のデータだけで、今日のデータの部分だけでなくて、個々の進行ぐあいの測定の中でも確実なことは言えないという部分があって、今回建てかえというふうになったということでございますので、それは私がこう判断するとか、残すべきではないかというものではなくて、それを判断するのはやはりその建物で不特定多数の多くの方々を集める事業者のほうが、この建物で安全かどうかということを含めて基本的な判断をするわけでございますので、その部分において、私どもが、それでは区民に親しまれた外観なり何なりを守ってくれよという要望はできますけれども、その部分について、こうしなさい、ああしなさいということを私ども区が申し上げるところではないということを御理解いただきたい。
○小坂委員
まず、科学的な検討が足りていないわけであり、これは副区長も私も素人でありますけれども、私は大学の先生から御指導いただいて、この方の報告から判断すると、全然耐久性や耐震性は大丈夫だというふうに御指導いただいているわけでありますし、またこの検討委員会の報告書が出されたのが2005年12月であり、その後ですよ、日本建築学会、これは3万5,000人の会員を有する建築学会がそれに対して要望書として、やはり保存していくべきだというふうなことの、その後です。メンバーは幾ら入っていようが、その後に日本建築学会は要望書を区と松竹のほうに出して、外観の保存をしていくべきだと言っているわけです。また、この3月ももう一度日本建築学会は理事会を通して、この保存を求める要望書をもう一度、回答してくださいというふうなことを決められたわけで、回答を求めているわけです。
でありますから、中央区としては、これはやはり銀座の顔なので、中央区としては、これは保存してくださいということを区長がこの前の11月の第四回定例会のときに御回答したように、外観の保存を要望していくというのがやはり中央区としてのあるべき姿ではないかなと。これは、確かに松竹という一民間の持ち物ではありますけれども、かといって、この計画におきましては、高層化というのを認めているわけであり、それによって地元には風害とか日照の話とか、それらの負担をかけてくるし、また、東京都が認めるところの景観計画に反するような建物を認めているわけでありますから、であれば、区としては、そこは強く、民間企業であれ、言っていけるわけです。ここは、中央区としては、日本人の心でありますあの前面の外観は、少なくとも守っていく必要があると私は、中央区としてはそれを守るべき立場にあると考えておりますけれども、いかがお考えでしょうか。
○吉田副区長
いろいろなお立場で御議論はあるでしょうけれども、私どもは銀座地区については、大変申しわけありませんが、これは平成9年から地元の中に入って、いろいろなルールをつくりながら、最終的にはこの建物のあり方について、私どもの区にいろいろな手続に入る前に、銀座のデザイン協議会というところに諮って、地元の方々がその景観のあり方について検討をし、それで、検討をした上でオーケーだよというものを我々は法的な手続の中でやっているわけでございます。これは要綱の流れでもそうやっております。それは御確認いただいているところだと思いますけれども、その部分について、銀座のデザイン協議会についても、建築物の高層部分の高さの問題についてはいろいろ問題があって、ちょっと高過ぎるんじゃないかということを含めて地元との協議があって、高さは縮めてきたわけでございますけれども、外観のデザインについては、実はこの部分については、大変恐縮ですけれども、3年間以上、地元と私ども区と松竹とやはり話し合いを重ねてきた上での話でございますから、そういう部分について、デザイン協議会として、先ほど地域整備課長からお答えをしたとおり、地元のデザイン協議会が了解をしているわけでございます。
大変申しわけないですけれども、それを一部のデザイン協議会とか言っては困りますよ。まち全体で、それを酌み上げるために何年間かずっと活動してきているんですから。その上でやってきているところで、一応歌舞伎座の心は残っていると銀座の人が考えているんですから。了解しているんですから。そのことについて、私どもはそれなりの判断として尊重せざるを得ないということです。
○小坂委員
大前提が、まず崩れているわけです。この外観は保存できるというふうな、一部学会、日本建築学会という3万5,000人の学会から、保存できるという報告であると。そこからして前提が崩れているわけなので、その後の議論は成り立たないわけです。もう壊さなくてはならないからということで、銀座デザイン協議会の方々は説得されたのかもしれない。
だから、まずはこの検討会の報告書の内容から、本来なら議論していくべきじゃないかなと私は考えますし、また銀座の方々が考えるというのは、まさにデザイン協議会の方々は長い間、議論を重ねてきたというのは認めますけれども、かといって、日本全国の方々から、これを保存してくださいというふうな声が届いているわけであり、その声の期待にこたえていくのも必要なのではないかと私は思っております。
今後のあり方として、ですので、少なくとも都市計画審議会におきましては、この検討報告書を委員各自に配っていただきたいと私は考えますし、それの科学的な分析を、まず加えていただきたい。専門的な方々の意見も聞いていただきたい。できれば、日本建築学会の方々の専門家の意見もその審議会の場で、お呼びして、ぜひお伺いしていただきたいと私は考えております。これ(「歌舞伎座再生検討委員会報告書」)は、それが保存できないという結論にはならないんです、これ(「歌舞伎座再生検討委員会報告書」)を読んでも。そこからして前提が崩れておりますので、ですから、銀座の方々も、本来なら、あのシンボルは守りたかったんだけれども、やむを得ないという結論を出したのかもしれないんです。ここからまず戻って、検討を加える必要があると私は考えます。少なくともそのような都市計画審議会でさらなる御議論をお願いしたく考えますが、いかがですか。
○吉田副区長
前提が崩れているんだと決めつけているのは小坂委員でございまして、その部分、客観的な事実としてそうなのかどうかということについては検証する必要があるわけでございまして、その部分、検証が必要なような建築物について、所有者が不特定多数の多くの方々を集める建築物として、やはりこのままではいかんという判断をしたとすれば、それはそれなりに尊重をしなきゃいけない。
それと、そういうことを含めて、大変恐縮ですが、私ども景観上の問題等については、やはりその地域にふさわしい建築物かどうかということを地元の方が判断するのが正しいのであって、そのことについて、ある特定の個人の人が、例えば小坂委員でもいいですよ。どうあるべきだというふうに申し上げるのは、これはおかしいだろうと。やはりその地域の建物として歴史的なものも含めて適切であるかどうかを判断するのは、やはり地元の人なんですよ。その手続はきちっと踏んでいるわけだから。そのことは十分わかっていただきたい。
もちろん私どもの都市計画審議会において、委員御指摘のような問題も含めて慎重審議をされるでしょうから、その部分についてはきちっと議論をしていただくことについては、私どもも当然だと思っておりますけれども、その点は我々がその議論を行えるような資料も提出しろと言うのであれば、資料も提出させていただきますけれども、その上でも、やはり地元の意向というのはそういうものなんだと。そのことを大事にしなきゃいけないんだということを御理解をいただきたい。
○小坂委員
私の意見で言っているのではなくて、私は日本建築学会の方々に御指導いただいて述べているわけでありまして、ですので、ぜひ都市計画審議会で審議を深めていただきたいと思います。
また、地元がよければいいということですけれども、中央区はちょっと特殊でありまして、中央区の地元というか、中央区は地元であり、かつ全国区なんでありますから、日本全国の声を聞いていくのも必要なのではないかと私は考えます。歌舞伎を愛する方々の声も聞くべきだと思います。皆さんがそれを望んでいらっしゃるわけなので、そのあたりをもう一度、都市計画審議会で十分検討いただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
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