「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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「全体の限度を年間1ミリにしたら、福島県内で義務教育ができなくなる」(文科省のある幹部)

2011-05-30 18:48:15 | 防災・減災

 文科省は、年間1mSvを“即座に”目指すことはしないのでしょうか?

 「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」(平成23年5月27日)の文書は、いったいなんだったのだろうか。
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1306590.htm

     「全体の限度を年間1ミリにしたら、福島県内で義務教育ができなくなる」(文科省のある幹部)の発言は、たいへん気になります。
 http://www.youtube.com/watch?v=VPbHnNdX_OA
(2011/05/27 放送)

http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1306598.htm
参考までに、文科省記者会見では、
平成23年5月27日(金曜日)

 

大臣)
改めて私の方から皆様方に申し上げます。
資料をお配りしておりますように、福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応ということについて申し上げます。
文部科学省においては、暫定的考え方に沿って、学校における児童生徒等の受ける線量を低減させ、より安心して教育を受けられる環境の構築を目指しており、さらなる取組を行うことといたしました。その内容をお示しの「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」として取りまとめておりますので、今日公表いたします。
その内容でありますけれども、まず福島県内における学校等の校庭等の土壌対策に関しましては、去る5月17日に原子力災害対策本部において原子力被災者への対応に関する当面の取組み方針を策定をしております。この中で教育施設における土壌等の取扱いについて、早急に対応する旨が明記されたところであります。
また一方で、先の第一次補正予算によりまして、県内の全幼稚園、小中高等学校、高等専修学校、保育所等に携帯できる積算線量計を配布することになりました。本日配布をいたしました。これにより、各学校における年間の積算線量を測定することが可能になりました。このため、これを機に、暫定的考え方で示した、今後できる限り児童生徒等の受ける線量を減らしていくという基本に立って、今年度学校において児童生徒等が受ける線量について、当面年間1ミリシーベルト以下を目指すこととして、また校庭等の土壌に関して、児童生徒等の受ける線量を低減する取組みに対して、学校施設の災害復旧事業の枠組みで財政的支援を行うことといたしました。
以上、私どもとしましては、重ねて申し上げますが、より安心を確保できる方策として、今回政府の方針、あるいは現場における線量計での測定、こういったものが可能になりましたので、これに合わせて、今日このように改めて年間1ミリシーベルト以下を目指すということを国民の皆さん方、また被災者の皆様方、あるいは現地の皆さん方にもお知らせをすることにいたしました。
こちらからは以上でございます。

鈴木副大臣)
それでは、引き続きましてお手元にお配りをいたしました資料について、私の方から御説明を申し上げたいと思います。
まず1点目でございますけれども、もう既に御案内のとおり、4月19日に今後児童生徒及び幼児・園児の受ける線量を減らしていくことが適切であるということを通知をいたしております。そして、この暫定的な考え方に基づきまして、これまでも多様な放射線モニタリングの実施・強化をいたしておりました。5月11日には、校庭・園庭の土壌に関し、まとめて地下に集中的に置く方法など、線量低減策を教育委員会等にお示しをいたしておるところでございます。
今も大臣から申し上げましたように、5月17日に原子力災害対策本部により策定をされました当面の取組み方針におきまして、教育への支援の一環として、福島県内の教育施設における土壌等の取扱いについて、早急に対応をしていく旨が明記をされました。
この方針も踏まえまして、文部科学省において今後暫定的考え方に沿って、学校内において児童生徒等の受ける線量を低減させ、より安心して教育を受けられる環境の構築を目指し、さらなる取組を推進する必要があるということでございます。
このため、次のページをめくっていただきますと、今日、福島県教育委員会の協力のもと、福島県内のすべての学校等に対して、積算線量計を配布をいたします。今日、午前と午後2回に分けて、全教育委員会関係者を、福島県教育委員会で招集をされて、線量計を手渡しをするという段取りと聞いております。そして、その使い方の説明等々を行って、そして6月1日から児童生徒の受ける実際の積算線量のモニタリングを福島県内の全校で開始をしていただきます。そして、この暫定的考え方で示しました、できる限り児童生徒の受ける線量を減らしていくという基本に立って、今年度学校において児童生徒等が受ける線量について、当面年間1ミリシーベルト以下を目指すと。なお、引き続き、児童生徒等の心身の健康・発達等に関する専門家等の意見を伺いながら、さらなる取組みの可能性について検討をすることといたしております。
3点目でございますが、当面の取り組み方針を踏まえ、さらなる安心確保のため、文部科学省または福島県による調査結果に基づき、校庭・園庭における土壌に関し、児童生徒の受ける線量の低減策を講じる設置者に対しまして、公立学校では、ほぼ10割国の負担ということを指しておりますが、その財政支援を行うことといたします。
対象につきましては、土壌に関する線量低減策が効果的ということとなる校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以上の学校とし、これは6月1日ごろからこの測定を再度全校について行いまして、その結果に従って、この1マイクロシーベルト以上の学校ということを見極めていきたいというふうに思っておりますけれども、設置者の希望に応じて財政的支援を実施するという中身でございます。
以上でございます。

記者)
土壌の件に関して、財政支援をするその対象校ですが、毎時1マイクロシーベルト以上の学校というふうに設定したこの基準は何でしょうか。

鈴木副大臣)
この土壌の低減策というものによって、正に受ける線量の低減というものが望める水準というものが、これまでの幾つかの事例を参考にいたしますと、要するに土壌への対処前が何マイクロであったとしても、措置後がおおむね毎時1マイクロシーベルト以下になるわけでありますので、したがって土壌に対する対応というものの有効性が、正に1マイクロシーベルトというのが一つの目安になっていると、こういうことでございます。要するに、この低減策が有効であるというラインが毎時1マイクロシーベルト程度であるということでございます。

記者)
先ほど、6月1日ごろから測定ということであったと思うんですけれども、既に取っている学校とかがあると思うんですけれども、その学校というのは改めてその場で測定するのか、とった時点での数値を測ったものをとるのか、その辺はいかがでしょうか。改めてその場で提出するのか。

鈴木副大臣)
とって、1マイクロシーベルト以下であれば、さらなる措置は必要ありませんけれども、既に先ほど申し上げました学校施設災害復旧事業の枠組みでの財政支援の対象になるか否かという御質問だというふうに理解をさせていただくとするならば、既に学校設置者の判断によって、表土の削り取りなどを行った学校で、そして土壌に関する線量の低減が図られているものについては、この災害復旧事業の枠組みでの財政支援の対象としてまいりたいというふうに考えております。

記者)
今既にやっている学校は、ほぼ全校対象になるというお考えでしょうか。

鈴木副大臣)
基本的にはそういうことでございます。土壌に関する線量の低減が具体的に図られているというものについて、財政的支援の対象といたします。

記者)
有効な低減策ということなんですけれども、郡山市の場合、取ったものをそのまま放置しているということがあると思うんですけれども、これに関しては支援の対象とするのでしょうか。

鈴木副大臣)
土壌処理が完了し、そして線量低減が図られているということに該当するようになった場合には、この支援の枠組みの対象になり得るというふうに御理解をいただきたいと思います。

記者)
その場合は、処理した土壌を持って行くところまで国の支援という形になるんですか。

鈴木副大臣)
基本的には、子どもを主体に考えて、子どもが受ける線量が下がっているのか、下がっていないのかということであります。そのあたりを地元等々とも御相談をしながら、あるいは様子を伺いながら判断していくと、こういうことになると思います。

記者)
国費の負担がほぼ10割というお話でしたけれども、これは1マイクロシーベルト以上であれば、3.8マイクロシーベルトで特にラインとかをつくるのではなく、同じような扱いでほぼ10割国の負担ということですか。

鈴木副大臣)
基本的にそういうことで結構でございます。

記者)
大臣にお伺いしたいんですが、これはあくまで元々は自主的に自治体がやってきたことだと思うんですが、改めてこうやって国費でそれを支援することの意義というか、その辺はどういうふうに。

大臣)
これは先ほどもお話ししましたように、新たな発電所、サイト側の今後の方針、ロードマップ、こういうものが示され、そして我が国、政府としても、これに対応する取組みの中で、この校庭等のことについても、できるだけ不安がないように取組みを進めるという、これは明記されていましたし、それから全校に線量計も配布するという手順も整っておりますので、私たちとしては、これまで申し上げたことの、より安心感を持っていただくための措置だということです。

記者)
原子力安全委員会の方で、これまで再三にわたりましてモニタリングのやり方について委員の皆さんから文科省に再考するようにということで御指示があったかと思うんですが、今回のお配りになる線量計の測定のやり方みたいなことは統一してもらうようになるんでしょうか、それとも個別の学校にお任せされることになるんでしょうか。

鈴木副大臣)
モニタリングのやり方等については、これまでも原子力安全委員会と綿密に相談をしてきてやっております。既に55の学校についてモニタリング調査を行っております。正に児童生徒と行動を共にする教職員が積算線量計を身に付けて、始業時及び終業時の積算線量計の数値を確認をし、その時間と数値を記録・保存をするというやり方でやってまいりました。約1,700強が追加的に配布をされるわけであります。これでトータル約1,800ぐらいになるんだと思いますけれども、その学校はこれまで55校でやっている方法と同じ方法で統一的に実施をするということでございます。その説明を本日、教育委員会にやっていただき、そして来週の月曜日、火曜日等々できちっと徹底をしていただくということでございます。
なお、笠大臣政務官には来週早々に現地に行っていただいて、この方針に基づくさまざまな説明、あるいはさらなる御相談に、福島現地に赴いていただきたいというふうに考えております。

記者)
あと財政措置の関係なんですが、いわゆる対象となる学校が大体数として見込めているのか、金額とか、あと財政措置としては補正でやるのか、23年度の既にある予算でやるのか。

鈴木副大臣)
これは第一次補正でやります。学校については今日考え方をお示しいたしました。校数については予断をもって臨むのは適切でないと思いますので、それも含めて、まず淡々と客観的なデータに基づいてやっていきたいということでございます。要するに、子どもに必要な低減策を講じる設置者については、しっかりと支援をするということが基本論であります。具体的にどういった学校になっていくのかということについては、来週また笠政務官に現地に赴いていただいて、その調査のやり方等々、実施のタイミング、そしてその報告のいただき方ということは見極めていきたいというふうに考えております。

(了)

 

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田畑での放射性セシウムの動態、日本土壌肥料学会の一般向けQ&Aより

2011-05-30 17:44:28 | 防災・減災

 勉強会資料を作っていたときに、放射性セシウムの動態をもっと知りたいと思っていました。

 ちなみに、今日、小勉強会で、なぜ、放射性セシウムの排出が、大人より子どもが早いのかというご質問にきちんと回答できなかったところでした。

 参考までに、社団法人日本土壌肥料学会 土壌・農作物等への原発事故影響WG
による『放射性セシウムに関する一般の方むけのQ&Aによる解説』をこちらでも掲載いたします。
 下線は、印として引きました。

 「化学のお話になりますが、元素の周期律表をみるとセシウムは、ナトリウム(Na)やカリウム(K)と同じアルカリ金属に分類され、これらの元素と同じようにふるまうことがわかっています。土に入ってきたセシウムはカリウムと同じ様にプラスの手(荷電)をひとつもった陽イオンとしてふるまいます。」と解説されていますが、土の中だけではなく、生体内も同様な振る舞いをしていると思われます。
 他分野のことを読むことで、こういうことがなければ、関心を抱くことがなかったであろう元素の理解が深まります。

 「水田や畑の土から半分の濃度に減る時間(滞留半減時間)は水田作土で9~24年、畑作土で8~26年と報告」とのこと。
 美しい田畑を取り戻すために、果てしない長い取り組みが始まります。 
 相手は、食物連鎖も引き起こし侮れませんが、私は、日本の農業技術の革新を信じています。 


*****以下、日本土壌肥料学会ホームページより*****
http://jssspn.jp/info/secretariat/4137.html

放射性セシウムに関する一般の方むけのQ&Aによる解説
社団法人日本土壌肥料学会

土壌・農作物等への原発事故影響WG


 福島原発事故が起きてから一ヶ月が経過しました。「放射性物質が降ってきた水田や畑で、お米や野菜を育てられるの?」という、農耕地の安全性について不安の声が大きくなっています。私たちが風評に惑わされずに判断し、問題に対応するためには、「土の中での放射性物質のふるまい」や、「土に入った放射性物質が作物にどれくらい吸収されるのか」などに対する知識が必要とされます。そこで、「社団法人日本土壌肥料学会土壌・農作物等への原発事故影響WG」によってまとめられた、これまでの土壌肥料学の研究成果から、判断の手助けになるような情報をQ&A形式にまとめました。

 なお、引用文献や具体的な研究事例などをより深く知りたい方は、「社団法人日本土壌肥料学会土壌・農作物等への原発事故影響WG」が発表した原文(URL:http://jssspn.jp/info/secretariat/post-15.html)をご覧下さい。また、放射線そのものや健康への影響に関しては、「独立行政法人放射線医学総合研究所」のHP(URL:http://www.nirs.go.jp/index.shtml)に詳しい解説がありますのでご参照下さい。

 

Q1. 土の汚染で問題になるのはどの放射性物質ですか?

A1. 土の汚染では特にセシウム137(Cs-137)に注意が必要です。

 福島第一原発事故で放出された放射性物質のうち、農作物や水道水で問題とされている元素は、放射性ヨウ素(I)と放射性セシウム(Cs)です。セシウム137の方が問題となる理由は、放射性ヨウ素と比べて寿命が長く、自然に崩壊して半分に減るまでの期間(半減期)が30年と長いことと、土に含まれる粘土や有機物と強く結びつくために、長期的にその影響を調べたり評価と対策を考えておくことが必要になるからです。

 

Q2. セシウム137は、通常土には存在しないのですか?

A2. 大気圏核実験によって1960年代をピークに地球全体に広がり、土に降下したため、今でも世界中の土の中に微量ですが存在しています。

 セシウム137は、核実験や原発事故によって大気中に放出される、人間が作り出した放射性物質です。半減期は30.2年で、放射性物質のヨウ素131の半減期が約8日であるのと比べると長い間放射能の影響が残ります。日本では1960年代から農耕地や農作物への影響に対する研究が継続して行われており、影響が少なくなった現在も、原発事故などに備えて平常時のセシウム濃度が定期的に測定されています

 

Q3. セシウム137はどのように土に入ってきますか?

A3. 大気中に浮遊するセシウム137が降雨によって土に入る割合が大きいと考えられます。

 そのため、土の中のセシウム137の濃度は、一様に分布しているのではなく、風向きや雨の降り方によって、局地的に分布することが考えられます。

 

Q4. セシウム137は土に入るとどうなりますか?

A4. セシウム137は、土に強く保持される特徴があります。

 化学のお話になりますが、元素の周期律表をみるとセシウムは、ナトリウム(Na)やカリウム(K)と同じアルカリ金属に分類され、これらの元素と同じようにふるまうことがわかっています。土に入ってきたセシウムはカリウムと同じ様にプラスの手(荷電)をひとつもった陽イオンとしてふるまいます。一方、土はマイナスの手(荷電)を持っているため、プラスの陽イオンを引きつけてとどめる性質があります。さらに、土の中の粘土に含まれる鉱物(粘土鉱物)には色々な種類がありますが、その中には、セシウムを閉じ込めるのにちょうどいい大きさの穴を持つものがあります。このため、セシウムは他の陽イオンに比べ、土にしっかり保持されて、離れにくくなります。土に降ったセシウム137の70%が、粘土鉱物に強く保持されるという研究結果も報告されています

 

Q5. セシウム137はどれくらいの期間で土からなくなりますか?

A5. 水田や畑の土から半分の濃度に減る時間(滞留半減時間)は水田作土で9~24年、畑作土で8~26年と報告されています。

 この値は1960年代の大気圏核実験で、実際に日本の土に降ったセシウム137から求められたものです。セシウム137が、半減期である30年よりも早く減っていく理由は、作物により吸収されたり土のより深い部分への水の流れとともに移動することなどが挙げられますが、土の性質によって異なりますので注意が必要です。

 

Q6. 土の中にあるセシウム137は、作物に吸収されますか?

A6. 根から吸収されますが、土に入ったセシウムの大部分が粘土鉱物に強く保持されるため、作物が吸収するセシウムの量は、土に入ってからの経過日数とともに減っていくことが報告されています。

 土に入ったセシウム137は、土の中の粘土鉱物などに強く保持されます(Q4に対する答えをご覧下さい)。そのため、土から水に溶け出すセシウム137の量は時間とともに減っていきます。作物は根から主に、水に溶けている養分を吸収するので、作物が吸収するセシウムの量も、同時に減っていきます。また、土から作物へ吸収されるセシウム137の量は、作物の種類によっても大きく異なります。

 

Q7. 土から作物への吸収を少なくする方法はありますか?

A7. 土のカリウムの濃度が高いほど、セシウム137が作物へ吸収される量が少なくなるという研究事例があります。

 土には、チッ素(N)、リン(P)、カリウム(K)の肥料が必要とされます。この3つの肥料のうち、カリウムを与えないと作物が吸収するセシウム137の量が増え、堆肥を畑に入れると減るという報告があります。<u>このような研究から、作物への吸収をより少なくするような農耕地の肥培管理のできる可能性</u>があります。

 

Q8. 作物ごとに吸収されるセシウム137の量を知る目安はありますか?

A8. セシウム137が土から作物へ吸収される量を示す数値を、「移行係数」といい、作物ごとに算出されています。

 たとえば、土から白米への移行係数(白米1 kg当たりの放射能濃度/土壌1 kg当たりの放射能濃度の比)は0.00021~0.012と報告されています。数値に幅があるのは、土の性質や畑に入れる肥料によって、作物が吸収するセシウムの量が変わるからです。

 政府の原子力災害対策本部では、「移行の指標」として0.1という値を用いています。この値は、かなり安全側に配慮した指標であると考えられます。

 

Q9. 作物の食べられる部分と食べられない部分で、含まれるセシウム137の量は違いますか?

A9. 作物に吸収されたセシウム137が分布する割合は、部位によって異なります。そのため、作物のどの部位を食用にするかによって、食べ物とともに体内に取り込むセシウム137の量も違ってきます。

 作物に吸収されたセシウム137が、作物の部分ごとに、どれくらいあるかということは、セシウム137を実際に体の中に取り込む量を考える際、大切な情報です。お米を例にあげますと、イネが吸収するセシウム137全量の12~20%が玄米に移動します。また、ぬかで白米より高い濃度にあることが知られており、このためセシウム137の濃度は、白米のほうが玄米に比べ30~50%程度低いと報告されています。

 

Q10. 基準値を超える量のセシウム137を吸収した作物や、稲わらなどの玄米以外の部分はどのように管理したらいいのでしょうか?

A10. 家畜の餌、堆肥化、鋤込み、焼却等の処理は、再びセシウム137が食物連鎖を通じて畜産品に移行したり、農地に還元される可能性がありますので、望ましくありません

 例えば、イネの場合、白米とそれ以外のセシウム137の存在比率は7 : 93との報告があります。このため、白米にセシウムが少ない場合でも、それ以外の稲わらなどの処理方法への対策が急がれています。

 なお、農林水産省が3月25日付けで「放射性物質が検出された野菜等の廃棄方法について(Q&A)」を公開しています(URL:http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/seisan_haiki.html

 

Q11. 土壌から植物へのセシウムの移行係数が白米が他の作物に比べおおよそ1桁低いのはなぜでしょうか。

A11. 可食部のセシウム濃度を対象としているため、植物体全体を対象とする葉菜類より小さいのです。
 移行係数は、農作物の可食部を対象にしています。イネが吸収したCsのうち、白米に運ばれるのは僅かな量であり、白米中Cs濃度は低いため、移行係数としては小さい値になります。

 
Q12. 水稲は陸稲よりもCsを吸収するという報告があるそうですが、中干しをするとCs吸収は抑制されますか。

A12. 好気的な管理によって、Csの水稲への吸収を抑制する可能性はあると思いますが、実際の中干し等の効果については、実証的なデータはありません

 稲の生育時期において、最高分げつ期くらいまでは、土壌から生成するNH4+量が水稲吸収するNH4+量よりも大きいので土壌中に存在するNH4+によってセシウムが置換されて吸収され易くなる可能性があります。したがって、中干し等の水管理によって硝酸化成を促進するような管理を行えば、理屈の上ではセシウムの吸収が促進される状況を回避できると考えられます。(実験で確認されているかどうかは、未確認)なお、出穂期前後の好気的な水管理はカドミウムの吸収を促す作用もあるので、幼穂形成期から出穂2週間後くらいまでは、通常の湛水管理を行う方が良いと考えられます。
 

Q13. 土壌の中で、セシウムはどのような形態で存在しているのでしょうか。

A13. 酸化還元状態に関わらず、主にCs+イオンとして存在すると考えられています

 酸化還元状態によって吸収されやすさが変わるカドミウムとは違い、セシウムの存在形態は変化しません。
 
以上、

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