食品中に含まれる放射性物質の規制値は、現在「暫定規制値」が使われ、高い数値となったままであり、好ましい状況とはいえません。
今後の規制値をつくるもとになる考え方が、内閣府の食品安全委員会から出され、パブリックコメントが実施されました。
それに対し、多くの声が届けられた模様です。
その声が反映されて始めて、意味を持ちます。
これからも、注意深くフォローせねばなりません。
私が食品安全委員会へ届けた内容も最後に再掲します。
******日経新聞(2011/09/05)*****
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E2E6E2E39A8DE2E7E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
食品の放射線量限度「生涯100ミリシーベルト」に意見殺到
3000件超、食安委の答申ずれ込みも 2011/9/5 9:44
食品中の放射性物質の健康影響をめぐり、内閣府の食品安全委員会が7月にまとめた「生涯の累積放射線量の限度は100ミリシーベルト」とする評価書案のパブリックコメント(意見公募)に、8月末までの約1カ月で3千件を超える意見が寄せられたことが5日までに、食安委への取材で分かった。
放射性物質や食の安全に対する国民の関心の高さが表れた形。食安委の担当者は「賛否両論あるが、具体的内容は精査中で明らかにできない」とした上で「過去の意見公募と比べても突出して多く、極めて異例だ」と驚いている。
集約に時間がかかるため、9月上旬に予定していた厚生労働省への答申はずれ込む見通し。東京電力福島第1原発事故後に定めた食品中の放射性物質の暫定規制値の見直しに向けた厚労省の作業も遅れそうだ。
厚労省の諮問を受けた食安委は7月26日「自然放射線や医療被曝(ひばく)を除き、内部被曝と外部被曝を合わせた生涯累計で100ミリシーベルト以上で健康に影響が出る」「小児はより影響を受けやすい可能性がある」との評価書案をまとめた。〔共同〕
********新聞記事以上****
*****食品安全委員会委員長コメント 食品安全委員会ホームページより****
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/15a8fcda8cc3e3435d5bac41ef4a4f1c
食品安全委員会委員長からのメッセージ
~食品に含まれる放射性物質の食品健康影響評価について~
1
福島第一原子力発電所の事故に伴う食品の放射性物質による汚染に関し、平成23年3月17日から厚生労働省で食品衛生法上の暫定規制値を設定し、管理が行われています。この暫定規制値は、緊急を要するために食品安全委員会の食品健康影響評価を受けずに定めたものであったことから、3月20日の厚生労働大臣からの諮問を受け、食品安全委員会では3月29日に緊急とりまとめをまとめました。この緊急とりまとめでは、放射性物質の発がん性のリスクや胎児への影響等に関する詳細な検討、ウラン等の暴露状況を踏まえた上での評価等が今後の課題となっておりました。
このため、4月21日から放射性物質の専門家等を含めた「放射性物質に関する食品健康影響評価のワーキンググループ」において緻密で詳細な審議が行われてきました。客観的かつ中立公正に科学的知見に基づいて審議をするため、国際機関等による評価を参照するだけではなく、その元となった文献にも遡って科学的知見を検証すべく、国内外の放射線影響に関する非常に多くの文献(3300文献、総ページ数約3万ページ)にあたりました。これまでに9回のワーキンググループ会合を重ねて食品健康影響評価書案が取りまとめられ、本日、食品安全委員会としてもこれについてパブリックコメントの手続きを行っていくことを決定しました。今後国民の皆様からのご意見をお聞きした後、評価書を確定していくことになります。また、国民の皆様へわかりやすく説明し理解していただくためのリスクコミュニケーションも進めてまりります。
2
今回の評価書案のⅩⅠⅠⅠに記載されていますが、放射線による健康への影響が見出されるのは、現在の科学的知見では、通常の一般生活において受ける放射線量を除いた生涯における追加の累積線量として、おおよそ100mSv以上と判断されています。小児に関しては、甲状腺がんや白血病といった点でより影響を受けやすい可能性があるとされています。
食品安全委員会が行うのは食品健康影響評価ですので、この値はあくまで食品のみから追加的な被ばくを受けたことを前提としていますが、この根拠となった科学的知見については、収集された文献に内部被ばくのデータが極めて少なく評価を行うには十分でなかったため、外部被ばくも含まれた現実の疫学のデータを用いることとしました。
累積線量としておおよそ100mSvという値は、生涯にわたる追加的な被ばくによる線量の合計がこの値を超えた場合に、この被ばくを原因とした健康上の影響が出る可能性が高まるということが統計的に示されているもので、大規模な疫学調査によって検出された事象を安全側に立って判断された、おおよその値です。文献において、明らかに健康上の影響が出始めると考えられる数値的データは錯綜していましたが、この値は、それらも踏まえて検討されたものです。累積線量としておおよそ100mSvをどのように年間に振り分けるかは、リスク管理機関の判断になります。
3
本年3月29日にまとめた食品安全委員会の「緊急とりまとめ」は、緊急時における取扱いを示したものであり、累積線量で示した今回の考え方は、緊急時の対応と矛盾するものではありません。緊急時には、より柔軟な対応がもとめられることも考えられます。
4
なお、100mSv未満の線量における放射線の健康への影響については、放射線以外の様々な影響と明確に区別できない可能性や、根拠となる疫学データの対象集団の規模が小さいことや暴露量の不正確さなどのために追加的な被ばくによる発がん等の健康影響を証明できないという限界があるため、現在の科学では影響があるともないとも言えず、100mSvは閾値(毒性評価において、ある物質が一定量までは毒性を示さないが、その量を超えると毒性を示すときのその値。「しきい値」ともいう。)とは言えないものです。
5
「食品に関して年間何mSvまでは安全」といった明確な線をひいたものになっていませんが、食品安全委員会としては、科学的・中立的に食品健康影響評価を行う独立機関として、現在の科学においてわかっていることとわかっていないことについて、可能な限りの知見を誠実に示したものとご理解いただければと考えます。今後は、パブリックコメントの手続きを経て本評価結果がまとめられますが、その結果を踏まえ、食品からの放射性物質の検出状況、日本人の食品摂取の実態を勘案しながら、リスク管理機関において適切な管理措置がとられることを期待しています。
平成23年7月26日
食品安全委員会委員長
小泉 直子
*****私のパブリックコメント******
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/afb4a9ba93e0cbcae1fd5e36611d4cc6
放射性物質食品健康影響評価に関する審議結果に対するパブリックコメントをお届け致します。
よろしくご検討いただけますようにお願い申し上げます。
東京都中央区月島3-30-3-2F
小坂和輝(小児科医師、医学博士)
場J内容や構成に関して
1)中学生相当の知識で読めるように、用語解説をわかりやすくお願いいたします。
2)使用した3300文献の供覧について
国内外の放射線影響に関する非常に多くの文献(3300文献、総ページ数約3万ページ)にあたり、評価書がつくられたということですが、食品安全委員会で、それらすべての文献に私達国民もあたることができるように、ホームページ上や内閣府の資料室で供覧できるようにしていただけますようにお願いいたします。
3)参考にした文献における用いたデータの評価書内の引用記載
それぞれの核種の健康への影響を述べる場合に、参考にした文献のどのデータを用いたのか、そのグラフなり表なりのデータも評価書に掲載いただけますようにお願いいたします。
4)パブリックコメント及びそれへの考え方の記載
今募集をされているパブリックコメントで、どのような質問が出され、それに対して食品安全委員会としてはどのような考え方であるのかをきちんと整理して、最終の評価書に掲載していただけますようにお願いいたします。
5)文献の信頼度評価 「その他」とは?
最後のページに文献の信頼度を評価しています。カテゴリーは、3つ、「A」「B」そして「その他」となっています。「その他」が意味する内容を記載いただきたいと考えます。
すなわち、「信頼できない」と評価したのであれば、そのように表記願います。
場K今後の食品安全委員会に行っていただきたいこと
1)リスクコミュニケーションでの質疑応答内容の記載
評価書(案)を用いて、一度、国民へのリスクコミュニケーションをなされています。
そのときに、質疑応答もなされましたが、どのような質問が出され、それに対してどのように回答したか、掲載をいただけますようにお願いいたします。
2)今後厚生労働省の出してくる規制値がこの食品安全委員会の評価書を満たしているかのチェックを行うこと
厚生労働省が今後規制値を定めますが、その定めた規制値が、食品安全委員会が作られた評価書に合致しているか、国民の健康を守ることができる規制値であるか、何か問題点はないか、食品安全委員会としての見解を出していただけるようにお願いいたします。
場L食品安全委員会の考え方について
1)暫定規制値の与える健康影響について
今用いられている暫定規制値は、「緊急を要するために食品安全委員会の食品健康影響評価を受けずに定めたもの」でありました。この暫定規制値が続く場合、どのような健康影響評価を与えると考えるか教えていただきたい。
場M厚生労働省への注意事項として(要望事項として)申し送るべき点
1)100mSv未満は、「健康への影響があるともないとも言えない」ことをきちんと厚生労働省に伝えること
この評価書案で述べられているもっとも大切なことは、7月26日付け「食品安全委員会委員長のメッセージ」にもありますが、「累積線量としておおよそ100mSvという値は、生涯にわたる追加的な被ばくによる線量の合計がこの値を超えた場合に、この被ばくを原因とした健康上の影響が出る可能性が高まるということが統計的に示されている」、「100mSv未満の線量における放射線の健康への影響については、現在の科学では影響があるともないとも言え」ないということです。
100mSv以上は、健康上の影響が出る可能性が高まるから絶対に避けねばなりません。このことは、誰もが認める事実です。
では、100mSv未満はどうであるのか、「健康への影響があるともないとも言えない」このとこをしっかりと事実として受け止めねばなりません。
決して、この評価書案は、100mSv未満は、安全であるとは述べていないのです。
さらに、言うのであれば、「「小児に関しては、甲状腺がんや白血病といった点でより影響を受けやすい可能性がある」ということです。
健康を害さない、十分な余裕をもって、厳しい(低い)規制値を設定するように、厚生労働省に規制値を定める方向性を示すべきであると考えます。
2)高線量被ばくのひとの健康を守る規制値をつくるべき点
今後、厚生労働省において規制値を決めていきますが、それを定める上でのあるべき方向性は示すべきと考えます。
高線量の外部被ばくを受けたと考えられる地域では、規制値をさらに厳しく(低く)定め、食品からの内部被ばくをできるだけうけないようにすべきであると考えます。
もしくは、高線量の外部被ばくを受けたひとを基準に、健康影響を受けない量を、食品の規制値として定めるべきであると考えます。
3)小児や胎児の健康を守る規制値をつくるべき点
上記と同様な観点で、大人よりも小児、胎児への放射線が与える影響は、大きいです。
よって、小児、胎児(妊婦)の規制値は、成人の規制値より厳しく(低く)定め、食品からの内部被ばくをできるだけうけないようにすべきであると考えます。
小児、胎児(妊婦)の規制値と成人の規制値を分けて作成するか、小児、胎児(妊婦)に対して安全な規制値として設定するように、厚生労働省に規制値を定める方向性を示すべきであると考えます。
4)食品からのすべての放射性物質の検出状況を勘案すべき点
現在、食品に含まれる放射性物質の測定や公表は、ヨウ素、セシウムのみなされており、ウラン、プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種の測定及び公表を見かけません。
「食品からの放射性物質の検出状況、日本人の食品摂取の実態を勘案しながら、リスク管理機関において適切な管理措置がとられることを期待しています。」と7月26日付け「食品安全委員会委員長からのメッセージ」で述べられているところですが、含まれる可能性があるすべての核種の検査(ヨウ素、セシウムのみではなく、ウラン、プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種の測定)を行い、規制値を定めていくべきであると考えます。
5)日本人の食品摂取の実態を勘案すべき点
「食品からの放射性物質の検出状況、日本人の食品摂取の実態を勘案しながら、リスク管理機関において適切な管理措置がとられることを期待しています。」と7月26日付け「食品安全委員会委員長からのメッセージ」で述べられているところですが、日本人が毎日食す食材について(例えば、米)は、規制値をさらに厳しく(低く)定め、食品からの内部被ばくをできるだけうけないようにすべきであると考えます。
6)規制値の見直しをする年数をあらかじめ決めておくべきである点
規制値は、想定の中で、決められています。
今後、年数が経過して、万が一、多くの甲状腺がん、白血病、膀胱がん、先天性奇形、染色体異常を伴った児の出生などの発生率が上昇し、想定とは異なる状況になってきた場合には、食品の規制値を見直すことも必要になってきます。
よって、あらかじめ、何年かごとに、想定にあっているかを評価し、食品の規制値も必要があれば見直すようにすべきことを厚生労働省に示すべきであると考えます。
7)リスクコミュニケーションの場をもつべき点
「国民の皆様へわかりやすく説明し理解していただくためのリスクコミュニケーションも進めてまいります。」と7月26日付け「食品安全委員会委員長からのメッセージ」で述べられているところですが、国民への説明とそれをもとにした意見交換はとても大切です。
厚生労働省においても、規制値を定める場合に、きちんと国民とリスクコミュニケーションを行ったのちに定めるべきことを厚生労働省に示すべきであると考えます。
以上
今後の規制値をつくるもとになる考え方が、内閣府の食品安全委員会から出され、パブリックコメントが実施されました。
それに対し、多くの声が届けられた模様です。
その声が反映されて始めて、意味を持ちます。
これからも、注意深くフォローせねばなりません。
私が食品安全委員会へ届けた内容も最後に再掲します。
******日経新聞(2011/09/05)*****
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E2E6E2E39A8DE2E7E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
食品の放射線量限度「生涯100ミリシーベルト」に意見殺到
3000件超、食安委の答申ずれ込みも 2011/9/5 9:44
食品中の放射性物質の健康影響をめぐり、内閣府の食品安全委員会が7月にまとめた「生涯の累積放射線量の限度は100ミリシーベルト」とする評価書案のパブリックコメント(意見公募)に、8月末までの約1カ月で3千件を超える意見が寄せられたことが5日までに、食安委への取材で分かった。
放射性物質や食の安全に対する国民の関心の高さが表れた形。食安委の担当者は「賛否両論あるが、具体的内容は精査中で明らかにできない」とした上で「過去の意見公募と比べても突出して多く、極めて異例だ」と驚いている。
集約に時間がかかるため、9月上旬に予定していた厚生労働省への答申はずれ込む見通し。東京電力福島第1原発事故後に定めた食品中の放射性物質の暫定規制値の見直しに向けた厚労省の作業も遅れそうだ。
厚労省の諮問を受けた食安委は7月26日「自然放射線や医療被曝(ひばく)を除き、内部被曝と外部被曝を合わせた生涯累計で100ミリシーベルト以上で健康に影響が出る」「小児はより影響を受けやすい可能性がある」との評価書案をまとめた。〔共同〕
********新聞記事以上****
*****食品安全委員会委員長コメント 食品安全委員会ホームページより****
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/15a8fcda8cc3e3435d5bac41ef4a4f1c
食品安全委員会委員長からのメッセージ
~食品に含まれる放射性物質の食品健康影響評価について~
1
福島第一原子力発電所の事故に伴う食品の放射性物質による汚染に関し、平成23年3月17日から厚生労働省で食品衛生法上の暫定規制値を設定し、管理が行われています。この暫定規制値は、緊急を要するために食品安全委員会の食品健康影響評価を受けずに定めたものであったことから、3月20日の厚生労働大臣からの諮問を受け、食品安全委員会では3月29日に緊急とりまとめをまとめました。この緊急とりまとめでは、放射性物質の発がん性のリスクや胎児への影響等に関する詳細な検討、ウラン等の暴露状況を踏まえた上での評価等が今後の課題となっておりました。
このため、4月21日から放射性物質の専門家等を含めた「放射性物質に関する食品健康影響評価のワーキンググループ」において緻密で詳細な審議が行われてきました。客観的かつ中立公正に科学的知見に基づいて審議をするため、国際機関等による評価を参照するだけではなく、その元となった文献にも遡って科学的知見を検証すべく、国内外の放射線影響に関する非常に多くの文献(3300文献、総ページ数約3万ページ)にあたりました。これまでに9回のワーキンググループ会合を重ねて食品健康影響評価書案が取りまとめられ、本日、食品安全委員会としてもこれについてパブリックコメントの手続きを行っていくことを決定しました。今後国民の皆様からのご意見をお聞きした後、評価書を確定していくことになります。また、国民の皆様へわかりやすく説明し理解していただくためのリスクコミュニケーションも進めてまりります。
2
今回の評価書案のⅩⅠⅠⅠに記載されていますが、放射線による健康への影響が見出されるのは、現在の科学的知見では、通常の一般生活において受ける放射線量を除いた生涯における追加の累積線量として、おおよそ100mSv以上と判断されています。小児に関しては、甲状腺がんや白血病といった点でより影響を受けやすい可能性があるとされています。
食品安全委員会が行うのは食品健康影響評価ですので、この値はあくまで食品のみから追加的な被ばくを受けたことを前提としていますが、この根拠となった科学的知見については、収集された文献に内部被ばくのデータが極めて少なく評価を行うには十分でなかったため、外部被ばくも含まれた現実の疫学のデータを用いることとしました。
累積線量としておおよそ100mSvという値は、生涯にわたる追加的な被ばくによる線量の合計がこの値を超えた場合に、この被ばくを原因とした健康上の影響が出る可能性が高まるということが統計的に示されているもので、大規模な疫学調査によって検出された事象を安全側に立って判断された、おおよその値です。文献において、明らかに健康上の影響が出始めると考えられる数値的データは錯綜していましたが、この値は、それらも踏まえて検討されたものです。累積線量としておおよそ100mSvをどのように年間に振り分けるかは、リスク管理機関の判断になります。
3
本年3月29日にまとめた食品安全委員会の「緊急とりまとめ」は、緊急時における取扱いを示したものであり、累積線量で示した今回の考え方は、緊急時の対応と矛盾するものではありません。緊急時には、より柔軟な対応がもとめられることも考えられます。
4
なお、100mSv未満の線量における放射線の健康への影響については、放射線以外の様々な影響と明確に区別できない可能性や、根拠となる疫学データの対象集団の規模が小さいことや暴露量の不正確さなどのために追加的な被ばくによる発がん等の健康影響を証明できないという限界があるため、現在の科学では影響があるともないとも言えず、100mSvは閾値(毒性評価において、ある物質が一定量までは毒性を示さないが、その量を超えると毒性を示すときのその値。「しきい値」ともいう。)とは言えないものです。
5
「食品に関して年間何mSvまでは安全」といった明確な線をひいたものになっていませんが、食品安全委員会としては、科学的・中立的に食品健康影響評価を行う独立機関として、現在の科学においてわかっていることとわかっていないことについて、可能な限りの知見を誠実に示したものとご理解いただければと考えます。今後は、パブリックコメントの手続きを経て本評価結果がまとめられますが、その結果を踏まえ、食品からの放射性物質の検出状況、日本人の食品摂取の実態を勘案しながら、リスク管理機関において適切な管理措置がとられることを期待しています。
平成23年7月26日
食品安全委員会委員長
小泉 直子
*****私のパブリックコメント******
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/afb4a9ba93e0cbcae1fd5e36611d4cc6
放射性物質食品健康影響評価に関する審議結果に対するパブリックコメントをお届け致します。
よろしくご検討いただけますようにお願い申し上げます。
東京都中央区月島3-30-3-2F
小坂和輝(小児科医師、医学博士)
場J内容や構成に関して
1)中学生相当の知識で読めるように、用語解説をわかりやすくお願いいたします。
2)使用した3300文献の供覧について
国内外の放射線影響に関する非常に多くの文献(3300文献、総ページ数約3万ページ)にあたり、評価書がつくられたということですが、食品安全委員会で、それらすべての文献に私達国民もあたることができるように、ホームページ上や内閣府の資料室で供覧できるようにしていただけますようにお願いいたします。
3)参考にした文献における用いたデータの評価書内の引用記載
それぞれの核種の健康への影響を述べる場合に、参考にした文献のどのデータを用いたのか、そのグラフなり表なりのデータも評価書に掲載いただけますようにお願いいたします。
4)パブリックコメント及びそれへの考え方の記載
今募集をされているパブリックコメントで、どのような質問が出され、それに対して食品安全委員会としてはどのような考え方であるのかをきちんと整理して、最終の評価書に掲載していただけますようにお願いいたします。
5)文献の信頼度評価 「その他」とは?
最後のページに文献の信頼度を評価しています。カテゴリーは、3つ、「A」「B」そして「その他」となっています。「その他」が意味する内容を記載いただきたいと考えます。
すなわち、「信頼できない」と評価したのであれば、そのように表記願います。
場K今後の食品安全委員会に行っていただきたいこと
1)リスクコミュニケーションでの質疑応答内容の記載
評価書(案)を用いて、一度、国民へのリスクコミュニケーションをなされています。
そのときに、質疑応答もなされましたが、どのような質問が出され、それに対してどのように回答したか、掲載をいただけますようにお願いいたします。
2)今後厚生労働省の出してくる規制値がこの食品安全委員会の評価書を満たしているかのチェックを行うこと
厚生労働省が今後規制値を定めますが、その定めた規制値が、食品安全委員会が作られた評価書に合致しているか、国民の健康を守ることができる規制値であるか、何か問題点はないか、食品安全委員会としての見解を出していただけるようにお願いいたします。
場L食品安全委員会の考え方について
1)暫定規制値の与える健康影響について
今用いられている暫定規制値は、「緊急を要するために食品安全委員会の食品健康影響評価を受けずに定めたもの」でありました。この暫定規制値が続く場合、どのような健康影響評価を与えると考えるか教えていただきたい。
場M厚生労働省への注意事項として(要望事項として)申し送るべき点
1)100mSv未満は、「健康への影響があるともないとも言えない」ことをきちんと厚生労働省に伝えること
この評価書案で述べられているもっとも大切なことは、7月26日付け「食品安全委員会委員長のメッセージ」にもありますが、「累積線量としておおよそ100mSvという値は、生涯にわたる追加的な被ばくによる線量の合計がこの値を超えた場合に、この被ばくを原因とした健康上の影響が出る可能性が高まるということが統計的に示されている」、「100mSv未満の線量における放射線の健康への影響については、現在の科学では影響があるともないとも言え」ないということです。
100mSv以上は、健康上の影響が出る可能性が高まるから絶対に避けねばなりません。このことは、誰もが認める事実です。
では、100mSv未満はどうであるのか、「健康への影響があるともないとも言えない」このとこをしっかりと事実として受け止めねばなりません。
決して、この評価書案は、100mSv未満は、安全であるとは述べていないのです。
さらに、言うのであれば、「「小児に関しては、甲状腺がんや白血病といった点でより影響を受けやすい可能性がある」ということです。
健康を害さない、十分な余裕をもって、厳しい(低い)規制値を設定するように、厚生労働省に規制値を定める方向性を示すべきであると考えます。
2)高線量被ばくのひとの健康を守る規制値をつくるべき点
今後、厚生労働省において規制値を決めていきますが、それを定める上でのあるべき方向性は示すべきと考えます。
高線量の外部被ばくを受けたと考えられる地域では、規制値をさらに厳しく(低く)定め、食品からの内部被ばくをできるだけうけないようにすべきであると考えます。
もしくは、高線量の外部被ばくを受けたひとを基準に、健康影響を受けない量を、食品の規制値として定めるべきであると考えます。
3)小児や胎児の健康を守る規制値をつくるべき点
上記と同様な観点で、大人よりも小児、胎児への放射線が与える影響は、大きいです。
よって、小児、胎児(妊婦)の規制値は、成人の規制値より厳しく(低く)定め、食品からの内部被ばくをできるだけうけないようにすべきであると考えます。
小児、胎児(妊婦)の規制値と成人の規制値を分けて作成するか、小児、胎児(妊婦)に対して安全な規制値として設定するように、厚生労働省に規制値を定める方向性を示すべきであると考えます。
4)食品からのすべての放射性物質の検出状況を勘案すべき点
現在、食品に含まれる放射性物質の測定や公表は、ヨウ素、セシウムのみなされており、ウラン、プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種の測定及び公表を見かけません。
「食品からの放射性物質の検出状況、日本人の食品摂取の実態を勘案しながら、リスク管理機関において適切な管理措置がとられることを期待しています。」と7月26日付け「食品安全委員会委員長からのメッセージ」で述べられているところですが、含まれる可能性があるすべての核種の検査(ヨウ素、セシウムのみではなく、ウラン、プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種の測定)を行い、規制値を定めていくべきであると考えます。
5)日本人の食品摂取の実態を勘案すべき点
「食品からの放射性物質の検出状況、日本人の食品摂取の実態を勘案しながら、リスク管理機関において適切な管理措置がとられることを期待しています。」と7月26日付け「食品安全委員会委員長からのメッセージ」で述べられているところですが、日本人が毎日食す食材について(例えば、米)は、規制値をさらに厳しく(低く)定め、食品からの内部被ばくをできるだけうけないようにすべきであると考えます。
6)規制値の見直しをする年数をあらかじめ決めておくべきである点
規制値は、想定の中で、決められています。
今後、年数が経過して、万が一、多くの甲状腺がん、白血病、膀胱がん、先天性奇形、染色体異常を伴った児の出生などの発生率が上昇し、想定とは異なる状況になってきた場合には、食品の規制値を見直すことも必要になってきます。
よって、あらかじめ、何年かごとに、想定にあっているかを評価し、食品の規制値も必要があれば見直すようにすべきことを厚生労働省に示すべきであると考えます。
7)リスクコミュニケーションの場をもつべき点
「国民の皆様へわかりやすく説明し理解していただくためのリスクコミュニケーションも進めてまいります。」と7月26日付け「食品安全委員会委員長からのメッセージ」で述べられているところですが、国民への説明とそれをもとにした意見交換はとても大切です。
厚生労働省においても、規制値を定める場合に、きちんと国民とリスクコミュニケーションを行ったのちに定めるべきことを厚生労働省に示すべきであると考えます。
以上