「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

救われた命を守るために、今、なすべきこと。心のケア体制の早急な整備を!

2011-09-28 11:16:27 | 医療
 救われた命を守るために、今、すべきこと。

 心のケアの体制の早急な整備であると考えます。


 いまから述べます心のケアの場所や施設は、『心のケア施設』などの看板を出して設置したところへ、受ける側も「『心のケア』をお願いします。」と言いながら訪れることは、ほとんどないと思われます。『まちかど保健室』程度の銘を打ち、行っていく事業かと思っています。
 ただ、不可欠な施設であると考えています。


 仮設住宅、在宅避難地区、新しく街を整備する地区など被災地のすべての地域に心のケアを行う場所がきちんと設けられているでしょうか。

 たとえば、

○心のケアを行う場所、施設が設けられていますか。

○その施設の運営主体は、行政ですか?民間ですか?

○心のケアを行う場所での、スタッフの構成はどうなっていますか?
・医師が、定期的に来ますか。頻度は。
・精神科の医師ですか。
・同一の医師が来ますか。

・臨床心理士が、定期的に来ますか。
・同一の臨床心理士が来ますか。

・保健師・看護師が、定期的に来ますか。
・同一の保健師・看護師が来ますか。

・常駐のスタッフは、いますか。
(医師、看護師、保健師、臨床心理士、社会福祉士、その他)

○心のケアを行う場所では、子どもへの対応も可能ですか?

○その地区には、町会・自治会などの組織は立ち上がる/機能していますか。

○その地区には、お祭りや住民交流の行事が開催されていますか。

○その地区には、住民交流のスペースはありますか。

 

 これらの問いに対して、
(回答例)
○心のケアを行う場所、施設が設けられていますか。⇒施設がある。

○その施設の運営主体は、行政ですか?民間ですか?⇒行政/NPOが行う。

○心のケアを行う場所での、スタッフの構成はどうなっていますか?
・医師が、定期的に来ますか。⇒定期的に来る、一ヶ月に一度
・精神科の医師ですか。⇒精神科/心のケアをプライマリーに診ることができる医師
・同一の医師が来ますか。⇒同一の医師である。

・臨床心理士が、定期的に来ますか。⇒定期的に来る
・同一の臨床心理士が来ますか。⇒同一である。

・保健師・看護師が、定期的に来ますか。
・同一の保健師・看護師が来ますか。

・常駐のスタッフは、いますか。
(医師、看護師、保健師、臨床心理士、社会福祉士、その他)⇒看護師、保健師、臨床心理士、社会福祉士らの常駐

○心のケアを行う場所では、子どもへの対応も可能ですか?
⇒心のケアをプライマリーにする小児科医が来ることで可能である。

○その地区には、町会・自治会などの組織は立ち上がる/機能していますか。
⇒立ち上がっている。

○その地区には、お祭りや住民交流の行事が開催されていますか。
⇒祭り、もちつき、クリスマス会、歌や演芸を観る機会など実施している。

○その地区には、住民交流のスペースはありますか。
⇒住民交流のスペースがある

などの回答があれば、理想的であると思っています。

 
 万が一、不十分と思われる地区がございましたら、ご連絡をください。
 どうすべきか、一緒に考えて行きたいと考えます。

 ⇒医療法人小坂成育会 こども元気クリニック
  小児科医師 小坂和輝
  メール: kazuki.kosaka@e-kosaka.jp
 


 災害後時間が経過した後で生じる心身の障害には、
 1)ストレスに基づく健康障害

 2)心理的問題
 身内や近隣の人間関係を失ったことからくる孤独感
 生活基盤の再生が困難なことに基づく絶望感

 3)逸脱行動
 酒におぼれる、けんかをする

 4)さまざまな精神疾患
 うつ病、アルコール依存症、PTSD(外傷後ストレス障害)
 パニック障害

 *PTSD(外傷後ストレス障害)
 生命を脅かされるような事態に直面した後、精神的な苦痛が持続する状態。
 ・その体験を繰り返し思い出し、不安・恐怖などを感じ、そのときと同じ気持ちがよみがえる(フラッシュバック)
 ・その体験の記憶や実感がとぼしくなり、感情の動きが鈍くなる
 ・物音や周囲の言動に過敏になり、気持ちが張り詰め、不安で落ち着かず、いらだちやすくなる


   また、

 
 実際に、阪神淡路大震災の時は、長引く被災地生活によって、一年後までに84人もの孤独死が生じたということです。
 その特徴は、
 ・壮年期の男性に多い
 ・死亡原因には肝疾患、心疾患が多い
 ・特に肝疾患はアルコール依存症との関連があり
 ・失業者に多い


 私たちは、上記、心身の障害や孤独死を防ぐため、心のケアができる施設を整備し、以下、援助技術をもって対応していくことが望まれます。

 *自立支援、できることは自分で、できないことはお手伝い

 *関係性の確立 

 *継続性

 *ニーズに応じて多様化、個別化

 *任意性と責任性:一緒に考え、つらさを受け入れる 



 災害時のひとの心の動きを以下にのべます。 

 私たちが、まず、理解すべきこととして、
 「災害のあとの人々の反応は、“異常な”事態に対する“正常な”反応である」ということです。

 
 災害発生時のひとの心理的反応として、どうしようもない不安と精神の麻痺が生じます。
 具体的には、強い恐怖感、無力感、喪失感、バランス感覚の喪失、自分をコントロールする能力の喪失です。
 急性ストレス症状といわれるものは、
 ・感情がなくなる
 ・現実感の喪失
 ・外傷体験の回避
 ・神経の過敏
 ・不眠やイライラ
 子どもの場合は、
 ・よく泣く
 ・夜泣き、おねしょをする
 ・眠れなくなったり、食欲がなくなったりする
 ・ささいなことにおびえる
 ・赤ちゃん帰りをする
 ・怒りっぽく、機嫌が悪い
 ・反抗的・攻撃的になる
 ・気が散りやすくなる
 ・表情に乏しく、ぼんやりしている
 ・親の気を引くようなふるまいをする

 実際の避難者で見られたことは
 ・血圧測定、消化器症状、筋肉痛、感冒症状などの身体的な訴え
 ・その過程で、自らの状況を話す人もいた
 ・中には、急性ストレス症状や強い不安を訴えるひとがいた
 ・被害が大きかった人ほど口が重い印象
 ・避難生活の不満を訴えるひとはあまりいなかった

 その後の人々がたどる心理的プロセスは、一般的に、心理学的には、
 以下といわれています。

第1期 英雄期 災害直後
人々は、危険を顧みない勇気ある行動を示す。

第2期 ハネムーン期 1週から6ヶ月
連帯感、援助の期待などが高まる時期

第3期 幻滅期 2ヶ月から2年
いらいら、怒り、失望、憤慨が生じる時期

第4期 再建期 数年
落ち着きを取り戻す 生活再建、地域全体の復興

 以上。


(平成23年度中央区民カレッジ講座
「東日本大震災を考える 第1回災害後の生活再建とこころのケア」を受講し、
 
 私なりに理解をした形で記載
  
 講師:東洋大学ライフデザイン学部 生活支援学科 白石弘巳先生)
 
コメント
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