「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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国際私法:外国会社との契約において、どの国の法律を準拠法とするか。その選定は重要!(通則法7-9条)

2012-07-10 23:00:00 | シチズンシップ教育
(例題)

会社X社(A国法に準拠して設立、かつ、A国内に主たる営業所有り)

会社Y社(日本法に準拠して設立、かつ、日本国内に主たる営業所有り)


Y社の製造した製品をY社がX社に販売する旨の契約を締結。

この契約の締結に至るまでの交渉、契約書の起案、締結の署名などはすべて、Y社の日本国内の営業所において行われた。

この契約には、「契約の成立に係る紛争については、A国法による」との条項が存在しており、この条項の規定について、X社とY社との間で争いはない。


X社は、この契約の本旨に従った履行がなされなかったと主張して、Y社を相手として、日本の裁判所に損害賠償請求訴訟を提起した。

なお、A国は、いわゆる「ウイーン売買条約」の締結国でない。

*設問の各問は、独立したものである。


設問1.X社は、本件請求について適用すべき法はA国法である、と主張している。

(1)Y社は、その適用すべき法は日本法である、と考えているが、この考えを、どのように主張することができるか。

(2)裁判所は、本件請求について適用すべき法に関する争いに対して、どのように処理すべきであるか。


(1)回答:
 本件の請求の法律関係の性質は、契約の「効力」に係る事項である。

 X社の主張は、契約の「成立」について適用すべき法が、「準拠法単一の原則」に従って、契約の「効力」についても適用すべき法である、という考え方に基づくものである。

 これに対して、Y社としては、契約の「効力」について適用すべき法が契約において明示に指定されていないから、その点についての黙示の意思を探求すべきであると考えられる。

 この契約の締結に至るまでの交渉、契約書の起案、締結の署名などはすべて、Y社の日本国内の営業所において行われた客観的な事実から、日本法に準拠する黙示の意思があったと考えられ、本件の契約の「効力」について適用すべき法は日本法であると、主張することができる。


(2)回答(の方向性):
 「準拠法単一の原則」にそうべきか、契約の準拠法の「分割指定」を肯定するかを、その是非を判断したうえで、いずれが妥当であるかを示し、それを本件に当てはめて回答する。


設問2.X社は、「A国法による」との規定を撤回するとの意思を表示し、Y社は、これを承諾した。そして、X社は、日本法を新たな準拠法として指定する意思を表示し、Y社は、これを承諾した。

(1)この撤回の合意に錯誤があった場合に、裁判所は、その合意の有効性を何国法によって判断すべきであるか。

(2)この新たな準拠法の指定の合意に錯誤があった場合に、裁判所は、その合意の有効性を何国法によって判断すべきであるか。


(1)回答:
 撤回についての合意に錯誤があったのであるから、準拠法の選択(という行為)それ自体の有効性が問題となる。

 この問題は、抵触法において独自に判断すべきとの見解によると、日本の民法上の基準を考えることになるであろうが、実質法と抵触法とでは適用の次元が異なり、基準としてはあいまいであるから、契約の基準法であって変更前のものによるのが妥当であろう。

 それは、本件では、準拠法の分割指定を否定する場合には、A国法によることとなるが、それを肯定する場合には、日本法によることととなる。


(2)回答:
 新たな準拠法の指定についての合意に錯誤があったのであるから、準拠法の選択それ自体の有効性が問題となる。この点は、新たな準拠法の指定であるから、成立と効力との準拠法の分割指定について論ずる必要はなく、仮に準拠法の事後的変更が有効であった場合には、準拠法として指定されることととなるべき、その法によるのが妥当であろう。
 それは、本件では、日本法である。



************
判断において関連する法:

法の適用に関する通則法
平成十八年六月二十一日法律第七十八号

(当事者による準拠法の選択)
第七条  法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。

(当事者による準拠法の選択がない場合)
第八条  前条の規定による選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による。
2  前項の場合において、法律行為において特徴的な給付を当事者の一方のみが行うものであるときは、その給付を行う当事者の常居所地法(その当事者が当該法律行為に関係する事業所を有する場合にあっては当該事業所の所在地の法、その当事者が当該法律行為に関係する二以上の事業所で法を異にする地に所在するものを有する場合にあってはその主たる事業所の所在地の法)を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定する。
3  第一項の場合において、不動産を目的物とする法律行為については、前項の規定にかかわらず、その不動産の所在地法を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定する。

(当事者による準拠法の変更)
第九条  当事者は、法律行為の成立及び効力について適用すべき法を変更することができる。ただし、第三者の権利を害することとなるときは、その変更をその第三者に対抗することができない。


 
 
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