娘が久しぶりに友人たちと顔を合わせます。大きくなったそれぞれの子供さんたちを連れてですから、JessieとTylerも一緒に朝から出かけていきました。風邪気味で頭がぼんやりの私にとっては、この静けさがなんともありがたいひと時です。
2011年、滋賀県内で3館連携特別展「神仏います近江」が開催されましたが、Tyler誕生の時期と重なって拝観の機会を失いました。神・仏が共存共栄した日本ならではの展覧会。特に門外不出の神像が100体以上そろうという前例のない展覧会でした。白洲正子さんのエッセーを始めいくつかの小説などでも触れてきた、興味尽きない世界でもあります。
戦国期の動乱をくぐり抜け、大切に守られてきた観音像が湖北地方には130体以上もあり、小さな社寺に分散して人知れず守られてきた名品も多いのだそうです。渡岸寺の十一面観音像(国宝)を、村人が地中に埋めて兵火から守った話は私も聞き知っています。また、かつて湖東三山を両親と一緒に巡った折にも、比叡山焼き討ちがあった際、類焼の災禍から村人こぞって仏像類を守った話を拝聴。地域に深く根を下ろし、地域信仰と強く結び付いた近江の仏像です。
湖北路の十一面観音雪中にこもりてひそと笑み給ふらむ 小西久二郎
一度訪れたことがある向源寺(渡岸寺観音堂)ですが、今回は湖北の赤後寺(しゃくごじ)の千手観音立像はじめ18体が企画展「観音の里の祈りと暮らし展 琵琶湖・長浜のホトケたち」(長浜市、東京芸術大学主催)で、東京で初めて公開されることを知りました。(3月21日~4月13日)
『星と祭』(井上靖著)のページを改めて追い直しながら、ぼんやりした頭のすき間で、いつにない思いが湧きます。