京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

生きている間に蓄えたものが

2024年10月16日 | 日々の暮らしの中で

    冷たしや式部の名持つ実のむらさき     長谷川かな女

宇治市が主催し、女性が執筆する文学作品に贈られる「紫式部文学賞」に、皆川博子さんの歴史小説『風配図 WIND ROSE』が選ばれたことを知った。
100歳におなりでは?思ったものだが、94歳での受賞で、歴史小説に戯曲を組み込んで書かれているらしい。
何かの機会にお名前を知っただけなのだが、1986年に『恋紅』で直木賞を受賞。デビューは1972年だから、長く作家の道を歩まれて素晴らしい人生だなと感じ入っていた。

山口市の瑠璃光寺五重塔を舞台にした『見残しの塔』を遺された久木綾子さんは、89歳での作家デビューだった。
今夕、テレビ番組の中で新人絵本作家として91歳の中橋幸子さんという方が紹介されていて、象の話が絵本になっているようだった。
90歳を過ぎて絵本作りに取り組まれ、絵本教室に通って学んでいるとかで、「狭くなった自分の考えを広げてもらえる」と。

ああ、年齢など関係ないのだなあ。久木さんは、年齢は考えたことがないと言われていた。
でも、どなたもいきなり輝かしい「今」があるわけではない。それが問題だ…。

〈人の終り方はさまざまだが、生きている間に蓄えたものが最後は先導してくれる〉
乙川勇三郎氏の作品にあった言葉を身にしみこませよう。
人の一生は決して見通せない。けれど、晩年は自分に楽しい収穫の時期に。そうありたいなと思っている。



ムラサキシキブの変種で白い実をつけるのでシロシキブと呼んでいるが、正確にはシロミノムラサキシキブと呼ぶべきだろう、とどなたかが書かれていた。

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