京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

「コーディネートの秋」

2016年10月26日 | こんな本も読んでみた

18世紀に整備されたという鷺ノ森神社の参道で立ち止まり一息ついていると、はらはらと肩に触れて落ちた1枚。綺麗だとは言えない桜もみじは、もうおしまい。1.5センチほどの小さなどんぐりも3つ拾って、ポケットに入れて持ち帰った。そして、こんな句を見つけた。

      拾ひたる椎の実のある読書かな  千葉 晧史

『空にみずうみ』(佐伯一麦著)に続いて『還れぬ家』を読んでいるのだが、後先になってしまったのは著者、著書を知らなかったから。これもあと少し。明日からは読書週間が始まる。もう1作と思って、3作目に『鉄塔家族』を準備した。


私小説といわれる。「自分の内面をほじくり出して暴いていくのはあまり得意ではない。自分を取り巻いているものを書くことによって、自分というものを描けないかと思います。」「人間というのは80歳ぐらいの老人になっても矛盾のかたまりなわけだよね。私小説というのは自分も含めた人間の持つ、割り切れない矛盾を、そのかたまりのままにだせるんですね。こんな人間もいるんだから…と」「10で割ったら9余ってしまうようなものをどれだけ込められるのか」などと佐伯一麦さんは語っておられた。

「些細とも思える日常の出来事を通し、じわじわと生命の匂いが漂ってくる。外界のあれこれに興味を持ち、みつめ、いとおしむことができるのがまさに生の証なのだ。」
書評の一部だが、佐伯作品と私をつなげてくれた発端だった。

紅葉に劣らぬ美しさを見せるい赤い木の実。
コメント (6)
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