全く乗っていないので当然のごとくゴールドの運転免許証更新で鮫洲へ。
身分証明書に使って来たけれどマイナンバーカードも一応作ったし、更新もこれで最後にしようかな。マイナカードと統合なんていつになるかわからないし。
お昼は品川アトレの「エル・カリエンテ」でメキシカン。
豆のスープはほんの少し入った香菜が効いておいしかったけれど、お肉いっぱいのブリトーはメキシカンというよりアメリカンっぽい。
汐留に移動して、久しぶりのパナソニックの美術館で
「ブダペスト国立工芸美術館名品展」
ブダペストにはもう20年以上前に一度行った。
以下の写真は館内撮影禁止のためネットから拝借
工芸好きなのでこの美術館にも行ったが、ジョルナイの鮮やかなタイル屋根など建物そのものの印象ばかりが強くて、情けないことに収蔵品は全く覚えていなかった。
今回の展示は陶器やガラス器ばかり、それもジャポニズムの影響を受けたものにテーマを絞っているのがわかりやすくてとてもいい。
ドームのこのガラス器など天目茶碗のようだし、ジョルナイの娘が日本の着物柄からデザインしたという図柄も面白い。
ティファニーのファブリルガラスというラスター彩のような光沢のガラスは特にきれいでうっとり。
アールヌーボーよりも好きなドイツのユーゲントシュティールも何点かあるが、ドイツ以上にスウェーデンやデンマークに日本的なデザインのものがあるのが発見で、北欧には日本に通ずるものが多いのだろうか。
パナソニック美術館は小さいのでさくっと回れるのがいい。
鑑賞後は新橋駅前にある岡山と鳥取のアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」の2階のカフェで
モンブランMiniパフェ。来てみたら予想以上に「ミニ」だったけれど、ほぼほぼマロンクリームと生クリームだけなのでこれで十分。
この後1階のお店を物色したことは言うまでもない。しかし考えて見れば岡山県は行ったことがないなあ。
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8月は1度上野に行っただけで本当におとなしく家に引きこもっていたが、月末に終了間近の展覧会を見るため、近場の目黒におでかけ。
大好きな東京都庭園美術館で「ルネ・ラリック リミックス」展。
アール・デコのこのお屋敷以上にこの展覧会が似合う会場があるだろうか。
建物内に入ってすぐにあるホールには朝香宮邸で一番有名な玄関のガラスパネルの1枚が横に置かれていて、女性の横顔も素敵。
応接室にはラリック初期のジュエリーが集められていて、やはりここが一番人気。
平日昼間でも若いお嬢さんたちが大勢来ていて、今回の展示は撮影OKなのでスマホのシャッター音があちこちで。
しかしお嬢さんたちは友人同士でもこそこそささやくだけで、東博のおしゃべりおばさんたちとは違う。
ダイニングルームのテーブルセッティングもこの部屋にぴったり。
2階の踊り場では大きな装飾パネルがまず迎えてくれて、これもいかにもラリックの乳白色のガラスが多数。
花瓶の展示が多いけれど、特に心惹かれたのは娘のシュザンヌがデザインしたというもの。
ちょっとエスニック入ったり幾何学的だったり、これぞアールデコでアールヌーボーよりこっちが好き。
2階の寝室には女性のためのものも多くて、このパウダーパフのデザインはツボ。
ロシアバレエ団のレオン・バクストのデザインでラリックと共作なんて素敵すぎる。
香水瓶もいろいろあって、これがまたいい。
展示は新館に続いて、こちらには1925年のアールデコ展の資料がいろいろ。
中に朝香宮ご夫妻が見学している映像まであって、この経験がこのお屋敷につながるのだから面白い。
1時間ほどで見学を終えたら新館のカフェへ。
チョコレートケーキをいただいたら中にはマンゴーのクリームとベリーのゼリーが入っていて、これがめちゃうま。以前見た時においしそうだと思った、その予想通り。
しかしこのカフェは展覧会チケットを買わないと入れないのだから敷居が高い。
優雅に過ごせる庭園美術館、次はいつになるだろうか。
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しばらく前のこと、お友達の元コッコロ・マダムが高松のイサム・ノグチ庭園美術館へ行ったとブログ記事をあげていて、それが大層面白そうだった。
イサム・ノグチが日米混血の彫刻家であることは知っていたが、あまり詳しいことは知らないので興味を持ち、アマゾンで探してこんな本を読んでみた。
ドウス昌代著「イサム・ノグチ 宿命の越境者」
ドウスさんの本を読んだのも初めてだったが、両親の書簡など古い資料を丹念に集め、まだ健在だったノグチを直接知る人たちにインタビューをして、実に説得力ある伝記になっていて一気に読んでしまった。
何と言ってもこの両親が全く普通ではない。何のつてもないのにアメリカに渡って、英語もそれほど得意そうではないのに英語詩で名をあげる父親に、子供の認知さえしてくれないのに日本へ来てしまう母親。
混血児が珍しかった時代に日本で散々いじめられて、アメリカに行ってもアイデンティティに悩むイサムが複雑な人間になるのも当然だろう。
そんな複雑な生い立ちながらイサム・ノグチは芸術家としては驚くほど恵まれていたように思う。
もちろん本人の才能あってのことではあろうが、人たらしでもあり、意外にちゃっかり憎む父親の名前を利用していたりもして、余計に彼の作品に興味がわいた。
そこで東京都美術館で開催中の「イサム・ノグチ 発見の道」展へ。
まずは1階の真ん中、たくさんの「あかり」を背景に「黒い太陽」に迎えられる。
左手には40~50年代のブロンズ作品が並び
ここいらへんは結構露骨に性的なモチーフが多くて、さすがモテ男の面目躍如。
右手の石の彫刻も面白いけれど
唯一結婚した淑子さん(山口淑子)の陶器の人形がかわいい。
2階に上がるとここにも「あかり」が部屋の隅を照らし
その間を埋める作品は鋼板を折り紙のように曲げたものが多く、日本の影響が濃い。
なぜかここだけ撮影禁止の3階には晩年の石の彫刻が庭のように置かれていて、題もほとんどついていない作品の数々はシンプルそのもの。最後に石そのものに回帰したようで、ノグチの遺骨が納められたという卵型の石の写真に感動。
基本二次元の表現物に反応するたちなので彫刻にはあまり興味なく、まして現代美術にはほとんど関心がなかったのだが、作家の伝記から作品に入るのもたまには面白いと感じた今回の展覧会。
会場では晩年になってもセクシーなノグチのインタビュー・ビデオを若い女性たちが熱心に見ていて、ずっと2,30代の美女にしか興味を示さなかったという作家もご満悦だろうと面白かった。
都美術館の隣では雨にもかかわらず動物園の入場に行列ができていたけれど
今回も上野駅2階の「騒豆花」で芋圓豆花を食べてさっさと撤収した。
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先月に続いて今月も上野へ。
まずは前回空振り気味だった不忍池の蓮を見に。
すると先月以上に蓮の葉が大きく生い茂って壮観だが
意外にも池一面に蓮の花が満開、という感じではなくてちょっとがっかり。
10時ごろに行ったのが遅かったせいもあるが、「蓮は一斉に咲くわけじゃないんだよ」とちょうどどこかのおじさんが解説していてなるほどと納得。いずれにせよ木陰のない池端は暑すぎて長くはいられない。
前回同様公園を突っ切って、国立博物館で仏像仲間(?)のTrintrinさんと合流。
本日の目当ては
「聖徳太子と法隆寺」展。
法隆寺からは昨夏、百済観音様がはるばるお越しになりながら、コロナによる閉館で結局そのままお帰りになってしまった。今回はそのリベンジ展ながら、門外不出の救世観音はもちろん、百済観音もおでましではない。
とは言え元々金堂にいらっしゃった薬師如来はおでましだし、飛鳥時代のかわいらしい仏さまがたくさん。
展覧会内撮影不可のため写真はネットから。
東博には法隆寺館があるので仏具などはそちらで見覚えのあるものも多く出展されているが、それ以上に奈良の法隆寺からたくさんの出展があって、特に後半の仏像勢揃いにはお寺は今や空っぽなのではと思うほど。
お宝だらけの中でも一段と素晴らしいのは、これは法隆寺の隣の中宮寺からの天寿国繡帳。
これの実物が拝めるとは!
驚くほど色鮮やかに残っている図柄を見ているとチベットやラダックの僧院の壁画を思い出す。
もう一つは橘夫人念持仏。
この床面と背後の部分が素敵で、思わず拓本を取らせてもらいたくなるほど。
橘夫人とは聖徳太子一族の怨念を法隆寺に封じ込めた(by 梅原猛)藤原不比等の奥さん。その旦那の権力をもってすればこれぐらいのものは当然よね、と不比等マニアのtrinさんと盛り上がる。
期待以上に中身の濃かった法隆寺展に続いては、東洋館の地下で開催中の「イスラーム王朝とムスリムの世界」展へ。
こちらは10年前に行ったことがあるクアラルンプールのイスラーム美術館からの出展。
来日している作品の数は多くないが、イスラーム王朝の変遷がとてもわかりやすく解説されているし
モスクの説明もある。
しかし宗教心のない不心得者はつい光物に目が行くし
大好きな陶器やタイル
超絶技巧の書や
美しい扉など、イスラム美術は本当に素晴らしい。
いつもほとんど見学者のいない東洋館ながら、このイスラーム展にはそれなりに人がいて、しかもそのほとんどが若い女性。なんだか頼もしい。
大満足して東博を出たらすっかりお腹が空いたので、上野駅公園口の2階にある台湾の豆花屋さん「騒豆花」へ。
トマト麺はニンニクも効いているがトマトの酸味が太麺によく絡んでおいし~。
そして双子パンダの誕生を祝ってついこんなものも。
赤ちゃんパンダはマスクなしで見られるようになるだろうか。
それにしても台湾、早く行きたいよお。
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Trintrinさん、スクムビットさんとまたおデートで今回は上野へ。
もうそろそろ蓮の花も咲くはず、と待ち合わせは不忍池。
JR上野駅のしのばず口から池端へ出れば
水面は蓮の葉がわさーと茂って一面の緑。
東京にはもう何十年も住んでいるし、頻繁に上野公園を突っ切って博物館に行っているくせに実は不忍池を見に来るのは初めてだったりする。こんなに盛大に蓮が繁茂しているとは、恥ずかしながら知らなかった
しかしお目当ての蓮の花にはまだちょっと早くて
大きな葉っぱの間を探してやっと花やつぼみが見つかる程度。これは満開の時期にまたリベンジしなければ。
とわずかに植えられた紫陽花を見ながら池の周りを歩き
蓮が植わっていない方の池のスワンボートを眺めて
弁天堂へ。
ここから公園の中を歩いて東京国立博物館には9時40分ごろ着いたが、開館早々の入り口には特別展に入ろうとする人たちが行列を作っている。
そこでまずは10時から開く庭園を散歩することに。
庭園内には茶室が5棟移築されていて
中央には池があり
他に人もいなくて静かなこの庭園内を歩いていると自分が今どこにいるのかわからなくなる。
しかし池の向こうに見える本館は改めてみると堂々として立派だ。
30分ほど歩いて正面玄関に戻れば、予想通り行列もなくなっていてすぐに入館。
本日の目当ては本館特別室で公開中の「聖林寺十一面観音 三輪山信仰のみほとけ」展。
で展示室に入ってTrinさんの第一声、「ちっちゃ!」
聖林寺には2年前に行って観音様の美しさはもちろんだが観音堂のお粗末さに驚いた。
まるで倉庫のような建物は入り口を入るとすぐ目の前に観音様が立っていらっしゃって、しかしそのおかげで見上げる形になってとても大きく感じられたのだ。
そんなわけで東博の大きな部屋の真ん中に置かれると随分小さく感じるが、すぐ足元まで近寄ればさすがに存在感があり、特に普段は拝見できない背面に回ると背中の肉付きがよくて、正面のお顔や指先の優美さとは印象が違って迫力があった。
今回の展覧会は例の粗末なお住まいを建て直すために観音様御自らプロモーションにお出ましになったもの。
しかし正直このご本尊以外には見るものがなくて、これで1400円は観覧料ではなく観音堂再建のための寄付と考えるべきだろう。
サクッと見学は終わってしまったが、そろそろお昼時なので3人で鶯谷へ移動して中華。
餃子の種類が多そうなので来てみた「鴻福餃子酒場」。
まずすぐに登場したのは炒飯と野菜たっぷり辛味和え。きゅうりとねぎ、香菜にピーマンかと思ったら青唐辛子が入っていて、これが思いのほか辛い。味の素が入りすぎだが、ごま油と塩で和えただけのこの料理、さっぱりして、今度家で作ってみよう。
ぺちょっとつぶれた野菜餃子は種が少なく皮ばかりでいまいちだったが
ラムの焼き餃子はかじると肉汁が飛び出し、豚と海老の蒸し餃子もおいしい。
当たりはずれが激しそうなメニューだけれど、飲み物はセルフで飲み放題、これで一人1000円ちょっととCPがいいのはさすが鶯谷。
と店を出てふと脇を見ると、路地の奥に気になる家がある。
蔦に覆われた洋館は傷みが激しいが、脇にかかっている説明書きによると明治時代の外務大臣、陸奥宗光が一時期住んでいた家だそうな。今も人が住んでいるようだが、きれいに修復できればいいのに、とちょっともったいない。
毎度のことながら、trintrinさん、スクムビットさん、お付き合いありがとうございました。
また次回よろしく~。
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岩波ホールで映画を見、神保町でランチをしたら歩いて竹橋へ移動。
やって来たのは東京国立近代美術館。日本の近代絵画には実はあまり興味がないのでここに来たのは初めて。
それでも足を運んできたのはこの「あやしい絵」展が気になったから。ネット広告で目に付いたのだが、平日昼間にしては若めのお客さんが多かったのはPRがうまかったからだろうか。
会場に入るとまずは案内役の猫が出迎えてくれて
その先にいる等身大の女性は呉服屋さんが作ったものらしいがリアルすぎて確かにちょっと怖い。
この先はテーマごとの展示になって、ほとんどの作品は撮影可なのがありがたいが、一番惹かれた青木繁は撮影禁止なのが残念。
大きな作品は大正時代のものが多いけれど、一番インパクトがあるのは甲斐庄楠音の「畜生塚」。秀吉が秀次の妻子を皆殺しにしたことをテーマにしたもので、裸婦群像ではあるけれどちょっと宗教画のようにも見える。
大きな日本画の他には「高野聖」など本の挿絵が多く
ビアズリーの影響がありありなものが多いのは、よほど日本人の嗜好に合っていたものと見える。
鏑木清方や上村松園などの他は知らない画家が多かったので興味深かったが、思っていたほど「あやしい絵」ではなかったかも。
と言っているうちにコロナの緊急事態宣言で美術館は閉じてしまったから、この日に見に行けたのはラッキー。
小学校の社会科見学以来の毎日新聞社の建物の前を通り、
お堀端のつつじの満開を見て東京駅から帰った。
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チベット映画祭に続いて、今度はブータン映画を見にまた岩波ホールに行ってきた。
「ブータン 山の学校」 Lunana, A Yak in the Classroom
お話はティンプーの「都会」育ちで無気力な青年がいやいや標高4800mのど僻地の学校に赴任し、ひと夏を先生として村で過ごすというもの。
ストーリーはほぼ予想通りに展開し、悪い人は誰も出てこないし、他愛ない話と言えばその通り。
しかし資本こそ台湾が絡んでいるものの監督・脚本も撮影もブータン人で、特にブータン奥地ルナナの景色がとにかく素晴らしくて、これを見ているだけでも幸せになれる。
主役の青年は日本のそこいらへんにいそうな顔で、持ち物から行動まで全く外国人が旅行に来たみたいなのが笑える。演じる役者は初めての映画出演だそうだが演技が自然でうまい。
ポスターの顔になっている学級委員役の女の子はクリっと大きな目にえくぼがかわいくて、しかしこの子は本当にルナナ村の子で家庭は崩壊しているとか。賢そうなだけに余計映画のテーマが現実的に感じられる。
ブータンに初めて行ったのは1996年、その頃はまだテレビ放送もなかった。
今ではちょっとした町なら携帯にネットは当たり前になっているだろうし、僻地の子が町に出たがるのは当たり前、それだけ国のアイデンティティを守るのも難しくなっているだろう。
最後にブータンに行ったのは2008年でもう13年も経っている。
この映画を見たら里心が付いてしまったし、国がどう変わっているか、また旅行できるようになったら絶対に行かなきゃ。
さて、ブータン映画の後はブータン料理でも食べたいところだが、さすがに神保町でもブータン料理屋はない。
そこで選んだのは狭ーい螺旋階段を地下に降りた所にあるロシア料理屋。
サラファン
定番ボルシチに続いて登場したのはウズベク風ピラフ。上にたっぷり載っているのは牛肉、全体にクミンの香りが強くてちょっとピリ辛。ウズベキスタンで食べたプロフとは違うけれど、せっかく外食するならこういうエキゾチックなものがいい。
ちょっと怖いウェイターのおじさんも老舗の味だろうか。
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昨年7月に予定されながら延期になっていた東京国立博物館の「鳥獣戯画展」、ようやく開催になったので早速行ってきた。
前回、2015年に全巻展示された時はものすごい長蛇の列でとても行く気になれなかったが、今回は人数制限付きで日時事前予約制。海外の大きな展覧会では以前から行われていたことがコロナのおかげでようやく日本にも導入されたわけで、こういうプレッシャーがなければ変えられないところがいかにも日本のお役所っぽい。
予約した1時間のスロット内に行けばいいので30分経ったところで行ってみたが
平成館前にはまだ行列。一度にどっと入館しないよう調整しているためで、ここで10分弱待っただろうか。
会場に入っての目玉はもちろんおなじみのウサギやカエルが登場する甲巻。
これに今回は動く歩道に観客を乗せて一定速度でさばくという画期的展示法を採用しているのだが、この歩道に乗るまでにまた15分ほど並ばなければならない。
しかし絵の前まで到達すれば観客は全員行儀よく一列に並んで停滞する人も割り込む人もいないし、歩道の動く速度もよほど入念に調節したのだろう、すぐ近くの絵巻物をかなりしっかり見られて、この展示法を考えた人はえらい!
甲巻は筆の躍動感が素晴らしく、動物たちの表情が見ているだけでこちらまで笑ってしまうほど生き生きしている。周りに描かれた草木も美しくて、これはさすが国宝。
動く歩道を降りた後には乙丙丁が通常展示されているのだが、こちらを見ると甲巻との質の差がはっきりわかる。
乙巻の馬や牛の表情は面白く、想像上の動物も楽しいが、丙巻の動物たちは甲巻の筆に比べるとダイナミックさがないし、丁巻などはまるで落書きのように大雑把な筆致。これはこれで味があると言えばあるが。
この後は断簡が5枚の他は摸本が続き、最後の部屋は明恵上人関連の書などが多いのでサクッと見てしまって、いつもは2時間ほどもかかる特別展を1時間で終了してしまった。
出口にはショップがあって、ここはいつも以上の大盛況。当然素通りはできなくて
何種類もあるマスクの一つに
ミッフィーと高山寺のうさぎコラボの扇子なんて買ってしまった。
展覧会の後はトーハク仲間のtrintrinさんと合流して、上野駅近くの晴々飯店でランチ。
以前来た時に気になった「成都オールスターセット」とおいしかったリアル回鍋肉を二人でシェア。
成都オールスターはどれも花椒の香りがとても良くて、麻のしびれはあるが辣は心配したほど辛くなく、汁なし担々麺はモチモチ、御飯がすすむ麻婆豆腐はこの店で一番人気のようだが、それより酸味が効いた麻辣水餃子が気に入って、次回はこれにしようとまた来る気満々。
trintrinさん、またトーハクでデートしましょ。
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何年ぶりになるだろうか、ずいぶん久しぶりに神保町の岩波ホールに行ってきた。
お目当てはもちろんチベット映画。
毎日4本づつ上映されているので、昼間の2本を続けてみてきた。
まず1本目。
「巡礼の約束」
監督のソンタルジャさんは先日見た「羊飼いと風船」のペマ・ツェテン監督の撮影と美術を担当した人だそうで、そのためか映画のテイストはかなり良く似ている。
お話は重病を隠してラサへ五体投地巡礼に出る奥さんと旦那さん、前夫との子供のこと。
この設定から想像できる通り、奥さんは道半ばで倒れてしまうのだが、再婚だった旦那さんが奥さんを大切にしていたのがよくわかる。
しかし奥さんの実家には前の結婚でできた息子がいて、一緒に暮らしていないのはどうもこの旦那さんのせいらしい。愛しているからこその嫉妬、子供の恨みなど、旦那さんがいい人らしいだけに何とも切ない。
主人公たちが住んでいるのはギャロンと言うセリフがあるからチベット文化圏の東端。ここからラサまで五体投地で行こうとすれば半年から1年もかかる。道中は雨が多くて青空が見えることはなく、キャンプ道具なども必要なので友達二人が付き添いで出発するが、つらくて途中で逃げ出してしまうのも切ない。
「羊飼いと風船」と比べるとちょっとしたユーモアもなくて全体に暗いが、抑えた表現で繊細な感情がよく描写されていると思う。
途中から登場する子ロバがかわいい。
そして2本目は
「オールド・ドッグ」
今はどうなのか知らないが、一時期は漢民族のペットとして大ブームになり、一匹何百万円とも言われたチベッタン・マスチーフを飼う遊牧民の話。
これまた東チベットが舞台なので放牧地には顔の黒い羊やヤクがいっぱいいてなんとものどか。
が町に出ると舗装もされていない道はドロドロ、バイクや工事の音が響き渡って耳をふさぎたくなる。
薄汚くてやかましい東チベットの田舎町は行ったことがあるのでにおいまでしてきそうなリアルさだが、対比を強調するためにわざと音を大きくしているのだろう、全体の流れが悪くて正直かなりだるいので、88分の短い映画ながら最後まで見るのはつらかった。
「羊飼いと風船」の監督なので期待していたのだが、テーマはとてもよくわかるものの出来は素朴すぎるもの。しかしこの映画が作られたのは2011年、「羊飼い」は昨年の映画なので10年ですごく進化したわけだ。
映画の後はチベット料理ならぬ台湾料理屋で
台南担仔麺。
早くまたチベットや台湾に行きたいよお。
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年に何回か寄らせてもらう上野の東京国立博物館、数年前からメンバーズプレミアムパスなる物を買っていた。
これは5000円で全国4か所の国立博物館が何回でも入場無料、それに東京の特別展については無料観覧券が4枚つくというもので、昨年から平常展でも入場料が1000円に値上がりし、特別展は2000円になっていたのでとてもお得。
ところがこの4月から会員制度が変更になって、このありがたいプレミアムパスは今年の3月いっぱいで廃止になってしまうという。
そこで1年有効のこのパスを買っておこうと特別展がなく静かな東博へ。
そしてせっかく来たのだからと、久しぶりに本館の平常展を一回り。
入ってみればたくさんの収蔵品は頻繁に展示替えされているので見たことのないものがいっぱい。
一番好きな彫刻室は展示の数は少ないがいつ来ても逸品ぞろい。
これも大好きな焼き物部屋には竪野系薩摩焼と言うのが出ていて、江戸時代のものだがモダンな感じで素敵。
一部屋はこの時期なのでお雛様の特別展示。
古い時代のお雛様が素朴な顔でかわいくて
左右に並ぶ犬筥、ほしい。
立派な衣装のお人形も素晴らしいのだが
小さな雛道具のマニアックさがすごすぎる。
ところでこのお雛様展示、去年企画したものの臨時休館で1日しか開けられなかったもののリベンジなのだそう。
その際に作られた担当学芸員の紹介ビデオが愛とくやしさにあふれているので、いつまで見られるかわからないがリンクを貼っておく。
【オンラインギャラリーツアー】三田研究員が語る、特集「おひなさまと日本の人形」 - YouTube
二階に展示されている着物も春らしい柄。
そして以前に覗いたことのある高円宮の根付コレクションをまた見てみると
棚の中の作品がすべて入れ替わっていて、今回も超かわいい。
このコレクション、全体でいくつあるのだろうか。
本館は建物自体も魅力的で
特に庭に面したこの休憩スペースが素敵すぎる。
ここで写真を撮っていると監視員のお姉さん、「ここは建物好きの皆さんに人気があるんです」とうれしそう。
照明器具もかっこよくて、今年もパスで通わないと。
上野公園では噴水の脇の寒緋桜がきれいだった。
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