Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

「Gogo 94歳の小学生」&「羊飼いと風船」

2021-01-27 17:17:58 | 機内食・映画・美術展

めったに映画館に脚を運ばないくせに、一本見ると予告編に誘われてまた行きたくなる。
そこで緊急事態宣言下でもがんばって営業を続けている映画館を応援すべく、平日昼間のシネスイッチ銀座へ。

朝一の一本目、10人ちょっとのお客さんと見たのは
 「Gogo 94歳の小学生
Gogoとはスワヒリ語でおばあちゃんのこと。ケニアのプリシラおばあちゃんは94歳にしてひ孫たちと寄宿舎に寝泊まりして小学校の勉強をしている。
先生は孫の年齢、気を使ってくれるけれどおばあちゃんは耳も遠くなっているし、目は白内障で良く見えなくて、小学校の卒業試験に合格するのは難しい。

元々助産婦として女性たちを見てきたプリシラさん、自分が子供の頃には女の子に勉強をさせようなんて言う親はいなかったし、今はいい時代になったと言う。
それなのに早くに妊娠してしまって学業を続けない(続けられない)女の子たちが多いことに心を痛め、自分が範を示そうと入学した、これはドキュメンタリーなのだ。

ケニアといえども広くて、Gogoのクラスがマサイマラに1週間(!)の遠足に行くと象やライオン、キリンを初めて見たとみんな大喜びする。
その景色が素晴らしく、学校の生徒たちはクリクリとした目が可愛くて、特にGogoのひ孫は美少女だ。

プリシラさんは94歳とはとても思えないほどかくしゃくとして、何よりもその意識の高さが素晴らしい。だからこそこのドキュメンタリー映画を作ったのだろうが、「ありのままを撮った」という監督の言葉とは裏腹、ひ孫や校長の言葉は明らかにセリフだし、学校の近所に住むGogoの友達のおばあちゃんも学校に入学するというのも本当とは思えない。
映画のハイライトにはプリシラの名前を冠した新しい寄宿舎が完成するところがあるのだが、明らかにスポンサーがいるその経緯は何も説明されず、そういうところこそドキュメンタリーなんじゃないか。

フランスのドキュメンタリー映画は以前「皇帝ペンギン」を見た時にも思ったが、映像は素晴らしいが演出が作為がありすぎてくさい。
ラスト近く、おばあちゃんが白内障の手術を受けて喜ぶあたりは本当に自然で、全編がそんな感じだったらずっといいドキュメンタリーになっただろうと惜しかった。

お昼は期待通りゆったりと空いている和光のティーサロンで
 
正統マカロニグラタンにアールグレイのアイスクリーム、うまし。

そして二本目は公開初日だった
 「羊飼いと風船」
こちらは珍しいチベット映画。
チベット人監督に俳優たちもチベット族でセリフもチベット語。今の中国でもこういう映画が撮れるんだ、とうれしい驚き。

舞台は東チベットだろう、広々とした草原で羊を飼っている家族、その子供たちが親の隠していたコンドームを風船だと思って遊んでしまう所からストーリーは始まる。
その結果として望まない妊娠をしてしまって、と言うあたりは予想通りの展開。
しかしそこにチベット人ならではの死生観、家族観、さらに現代中国ならではの社会情勢が絡まり、シンプルなストーリーながらすべての要素がまるでジグソーパズルのようにはまる、見事な脚本。

羊の種付けのユーモラスなシーンもきっちり意味を持つし、チベット人俳優の皆さんは子役まで自然な演技でうまい。

そして何よりチベットの風景、うわ~、行きたいよ~。

失礼ながらチベット映画がこれほど質が高いとは思わなかった。
3月には岩波ホールでチベット映画特集があるらしいので、これはまた行かなきゃ。


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銀座でロシアな一日

2020-12-22 16:54:33 | 機内食・映画・美術展

コロナの感染拡大が止まらないのに相変わらず出歩いている人が多いな、とニュースを見ながらつぶやきつつ、映画を見に銀座に出かけた。言行不一致もいいところ。

まずはシネスイッチ銀座で
 「ニューヨーク 親切なロシア料理店」 The Kindness of Strangers

亭主の家庭内暴力に怯える若い母親が男の子2人を連れてニューヨークに逃げてくる。
車はあるけれどクレジットカードも持たず、寝泊まりしていた車も駐車違反でレッカー移動されてしまって路頭に迷う。
普通だったら警察にでも保護を求めれば良さそうなところ、暴力亭主が警察官なのでそれができないのがつらく、この一見誠実そうな男前の亭主が恐ろしい。

食べるものに困るとデパートで万引きしたり、ホテルのバンケットに忍び込んで食べ物をくすねるお母さん、どんな育ち方をしてきたかがさりげなくわかる。
結局は教会ボランティアの救済所で着るものや食べ物をもらうことになるのだが、日本で同じような羽目に陥った場合、こんな救済所はあるのだろうか、と考えてしまった。

日本語タイトルから主人公はロシア料理店で働くことになるのかと思ったがそうではなく、英語タイトルの通り親切な人たちに助けられて逃げ込むのがその料理店。狂言回し的な場所で、そのオーナーを演じるのがビル・ナイ。
実はこの映画を見ようと思ったのは彼が出ているから。出演場面は多くないのだがつらい話の中のコメディリリーフ担当、とは言え北欧の監督らしく微妙なユーモア、それをビル・ナイはほんのわずかな表情で絶妙に演じて見せる。さすが。

地味なキャストながら他の出演者たちもうまく、ありがちなストーリーではあるが気持ちよく見られる。

もう一本はしごして、次はヒューマントラストシネマ有楽町で
 「声優夫婦の甘くない生活」 Golden Voices

こちらはイスラエル映画なのだが主人公の初老夫婦は1990年にソ連から移住してきたという設定。なのでセリフはほとんどロシア語、ヘブライ語は語学教室の一場面で聞こえるだけ。

実際ゴルバチョフ政権末期のこの時期に大量のロシア人が移住したそうで、監督も主演の二人もソ連からの移住者。現在ではイスラエルの人口の20%がロシア語話者だそうで、だからタイトルの通りの声優や、奥さんが働くことになるロシア語のエロ電話サービスなんてものも成り立つわけだ。

この映画の監督はフェリーニがお好きらしく、夫婦の若い頃の写真にはフェリーニ監督の顔が入っているし、主人公夫婦もフェリーニ夫婦にちょっと似ている。
セリフにもちょこちょこ登場し、最後の重要な場面は映画館で「ボイス・オブ・ムーン」を上映中という設定なのだが、ほんの少し映るこの映画、もっと見たい!

映画自体はフェリーニというよりアキ・カウリスマキに雰囲気が似ているが、ストーリーはわかりやすく、特に独りよがりな旦那に黙ってついてきたが不満を募らせている奥さんを演じる女優さんがとてもうまい。

イスラエル映画と言えばちょうど1年前に「テルアビブ・オン・ファイア」を見た。
ニュースではイスラエル政府の強引さばかりが目立って好きになれないが、文化的には様々な所からの移民による多様性があるのだろう。映画は面白い。

と、2本のロシアがかった映画の合間にはロシア料理を食べた。
 
銀座メルサ7階にある老舗、「ロゴスキー」。

平日限定のランチをお願いすると
 まずはカラフルなサラダが登場。
 
揚げたてパリパリのピロシキはひき肉とゆで卵入り、真っ赤なビーツ入りの田舎風ボルシチは野菜がたっぷりで、どれもとてもおいしい。

ここでロシアパンを買って帰ろうと思っていたのだが、レジのおじさん、「残念ながら今日はないんです」って、無念。

ところで「ロゴスキー」のあるメルサ7階、レストランが4店舗入っているはずなのにあとの1店は休業、2店は撤退で閉まっている。
映画館は平日昼間のせいではあろうが、どちらも20人ほどしかお客が入っていない。
出歩いても密じゃない、と喜んでばかりもいられない。


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「パピチャ 未来へのランウェイ」

2020-11-13 16:37:47 | 機内食・映画・美術展

上野から秋葉原を回って有楽町。
博物館に続いては久しぶりの映画館。なんと今年の2月に「パラサイト」を見て以来だ。

ヒューマントラストシネマ有楽町の小さなスクリーンで見たのは
 「パピチャ 未来へのランウェイ」 Papicha

映画の舞台は1990年代のアルジェリア。
登場する女の子たちは寮に住む大学生でクラブで踊ったり、おしゃれをするのが大好き。タバコを吸ったりちょっと不良がかっているが、ごく普通の女の子たちだ。

しかしこの時代のアルジェリアはフランスからの独立後の政治不安が激化、テロが横行し、イスラム原理主義グループの活動も盛んになるばかり。
主人公の女の子は普通の洋装をしているが、しだいにそんな恰好をするな、スカーフをかぶれ、と抑圧され、背景がよくわからないがジャーナリストのお姉さんは殺され、学校もひどいことになって、それらを語るのが普通の女の子目線だからこそ生々しく恐ろしい。

アルジェリアには2007年に行ったことがある
その時には内戦状態も落ち着いたということでタッシリナジェールの岩壁画が見たくて行ったのだが、何事もなく帰って来たものの道中のあちこちでやたらに検問はあるし、行程の一部ではツアーバスに警察の護衛が付いた。
その6年後には日本人9人が殺害される事件も起きて、アルジェリアはまた行きにくい国になってしまった。
しかしそれ以前のアルジェリア国内がいかにひどい状態だったか、この映画を見るまでわかっていなかったとはまったく能天気だった。

服装についていえば、2007年のアルジェリアではアルジェでこそスカーフもかぶらず普通のスカート姿の女性たちもいたが、地方に行けば頭にスカーフ、長いコートを着ている人ばかり。
特に保守的なムザブという地方では頭からすっぽりと白い大きな布をかぶって片目だけを出している姿も見たが、このスカーフは映画の中でも重要なアイテムとして登場するので感慨深かった。

この映画の監督はアルジェリア内戦時にフランスへ移住した女性だそうで、ちょっと冗長じゃないかと思うシーンもあるものの、自身の経験に基づいているからこそメッセージが明確で強い。
主役を演じた藤田ニコルによく似たリナ・クードリという女優もアルジェリア出身だそうで、国を出て活躍しているからこそ「私はこの国を離れる気はない」という主人公のセリフが悲痛に響く。

ちなみに「パピチャ」とは「常識にとらわれない自由な女性」という意味のスラングとか。
この映画、アルジェリアでは上映禁止だそうだ。


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「桃山ー天下人の100年」@東京国立博物館

2020-11-12 15:54:26 | 機内食・映画・美術展

昨年の9月に買った東京国立博物館のメンバーズパス、春に3か月間休館だった分を延長してくれたし、特別展の鑑賞券もまだ一枚残っていたので上野へ。

 正面の大きなユリノキも黄色くなりかけている中
 今回見に来た展示は「桃山ー天下人の100年」

室町末期から江戸時代初期まで、各地の大名たちが天下取りで戦いの絶えなかった時代なのになぜこんなに華やかなのか。
一番見たかった上杉家本は展示が終わってしまっていた(詰めが甘い!)が、少し時代の下る舟木家本など他にもいくつもある「洛中洛外図屏風」が楽しくて、大きな障壁画がたくさん出ているのも迫力満点。
長谷川等伯の「松林図屏風」は何度見てもうっとりするし、狩野派の元信、永徳、探幽が横並びにされているのも時代の差がわかってとても面白い。

絵画の他に茶道具がたくさん出ているのも興味深く、茶道はまったくわからないが、千利休が朝鮮の雑器やゆがんだような器に付加価値を付けたのってかなりへそ曲がりだったんじゃないのか、なんて思ってしまう。

時代が時代なので甲冑や刀も多く出ていて、これもまた価値はわからないが、今ちょうど司馬遼太郎の「関ケ原」を読んでいるので知った名前が出てくると「おお」と思う。

平日のお昼に行ったがいつもより男性客の割合がずっと多く、一人で来ている人がほとんどなので会場内はとても静か。
推奨鑑賞時間は90分だがとてもそんな時間では見終わらず、出るのに2時間半もかかってしまった。
期待以上の充実した内容で満足。

ところでこの展覧会、普通に鑑賞券を買うとなんと2400円もする。
メンバーズパスは5000円で鑑賞券が4枚付くが、来年には大幅値上げをしそう。
値上げの前にまた買っておかないと。

桃山美術は満喫したが、お腹は空いているので秋葉原へ。

 
ものすごく久しぶりに来た肉の万世の1階で
 パーコー麺。あっさりしたスープで太麺がするする入るが、本場台湾のパーコーが早くまた食べたい!

ところでわざわざ秋葉原で降りたのは実はここに来たかったから。
 高架下の「Chabara」。
  
日本各地の特産品が売られていて、日本一の缶詰売り場があったり、戦国武将の醤油があったり、こういう所は大好き。

 ほしかったのは長崎県で作られているこの抹茶バター。
100gで950円といいお値段なのだが、抹茶が濃くておいしい。

と、これだけを買うつもりだったのに
 思わぬ散財をしてしまった。


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「黒部の太陽」

2020-09-06 12:12:32 | 機内食・映画・美術展

黒部ダムが期待以上の迫力だったので、TsutayaでDVDを借りてきた。

「黒部の太陽」

1968年制作のこの映画、タイトルは有名だがTVの名画劇場などでも見たことがなかった。
それというのも上映権を持っていた石原裕次郎が劇場公開にこだわってビデオにすることも許さなかったからだそうで、そもそも上映時間が196分もあるので映画館で再上映されることもあまりなかったらしい。

今はDVDになっていたのはラッキー、しかも50年以上も前の映画なのに画質が良くて色も自然。そもそもこの映画は白黒だと思い込んでいたので、冒頭の鮮やかな夕陽の色に驚いた。

もう一つ驚いたのはこの映画が「裕次郎映画」ではなかったこと。
もちろん彼も主役の一人ではあるのだが、もう一人の主役である三船敏郎に完全に負けている。
この映画は石原プロと三船プロの合作なのだが、先輩である三船に遠慮したのか。そもそも存在感も演技力も40代半ばの三船が圧倒的、30代半ばにしては浮腫んだ顔の裕次郎はいまいちだ。

しかし何より驚いたのはこれがダム建設の話というよりトンネル掘りの話だったこと。
大町から黒部まで、今は電気バスが通っている関電トンネルの真ん中に破砕帯があり、ここが最大の難所だったということで映画のほとんどがこの箇所の工事のこと。
バスで通る道にも破砕帯の表示があり、車内放送でも説明していたのはこのことだったのか、と深く納得。

崩落は起こるわ、ものすごい量の浸水が続くわのこの工事場面、今のようにCGを使うわけではないからすべてセットを組んでの実写でさすがの迫力。
エキストラの数もすごくて、もう日本でこんな映画は作れまい。

関西電力やら熊谷組、間組などが実名で出るのも興味深く、幹部は水でびしょびしょになるトンネル内の視察にもレインコートの下は白シャツにネクタイ。やたらにタバコを吸って、料亭では社長が土下座をする。
なにより仕事に支障をきたすから、と娘が病気で余命1年なのを会社の人間が「彼には言わないでおこう」って、昭和にはそれが美徳だったか、と時代を感じる。

正直映画としての出来は長すぎるし、中盤が平たんで退屈。
トンネルが開通した後はあっという間にダムができてしまって拍子抜けするが、吉村昭の「高熱隧道」に描かれた戦時中の黒三ダム工事の話も出てくるし、アルペンルートを通った後ではやはり興味度が違った。

見られてよかったけれど、やっぱりもう昭和は遠い。


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「バンクシー展」@横浜アソビル

2020-08-22 17:16:37 | 機内食・映画・美術展

ゲリラ的にメッセージ性の強い落書きアートを残すことで有名なイギリスのバンクシー、横浜で展覧会が開かれていることを知り、どんなものかと行ってみた。

 会場は横浜駅南東口から繋がっているアソビル。
横浜中央郵便局別館が去年の春にエンタメ施設に模様替えしたのだそう。

 事前予約制でチケットはオンラインで購入済みなのですぐに2階の会場へ。
 
アーティストのアトリエと称するコーナーを通り、中に入ってみると思いのほかに来場者が多くてびっくり。年齢層は圧倒的に若い。

展示はオリジナルと言ってもリトグラフ、あとは写真やビデオなので写真撮影が許されている。
 
まずは反商業主義の作品。「こんなクソを買うなんて、お前ら馬鹿じゃねえの」のキャプションが皮肉だが、そんな彼の作品がいまやとんでもない値段で取引されているんじゃないの、と思っていたら展示の最後の方に
 
一番有名な風船を飛ばす女の子の絵がオークションで1億5千万円で売却された途端、作者がこっそり仕掛けたシュレッダーが作動するという作者自ら撮影したらしいビデオが流されていて、これには笑った。もっともこのシュレッダー、途中で止まってしまって、おかげでこの絵の価値がさらに上がってしまったとはこれまた皮肉。

 
イギリスを皮肉り
  
 
警察や軍隊を否定するが、「命令されたことをやっているだけ」が一番の問題とのメッセージには深く同意する。

 
パレスチナの分離壁前に作られたというWalled Off Hotelの再現部屋とか
 
某ネズミ国をパロったイベントのビデオとか、こんな活動もしているのかと興味深く、その主張には共感するところが多い。その絵に何千万もの価値があるかどうかは疑問だが。

 出口前の表示も気が利いていると思ったら、これはバンクシーが撮った映画のタイトルだそうで、知らなかった。

ところで会場となっているアソビル
  
 
こちらの壁面も落書きアートだらけでなんともカラフル。
 これだけは元郵便局らしいが、これもアート作品。
 1階は飲食店街になっているが、居酒屋風の所が多くてお昼には食指をそそられない。

そこでスカイビルまで足を延ばして、28階のメキシコ料理屋へ。
 
見事に晴れた横浜の景色を見ながら
 
タコスとトスティーダ、エンチラーダのコンボプレートをいただくとこれがおいしい。
特にフレッシュなサルサともちもちのトルティーヤがおいしくて、家の近所では食べられないものを、と選んだ甲斐があった。

 帰路には駅の崎陽軒で「シウマイまん」。
 
こんなものは初めて見たが、肉まんの皮にシウマイが入っているもの。
蓋を開けるとあの独特のにおいがぷーんとして、温めずに食べてもおいしい。
一口サイズながら10個も入って510円の値段もうれしく、さすが崎陽軒。
 そう言えばスカイビルから本店がよく見えた。


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「きもの」展@東京国立博物館

2020-07-03 13:00:28 | 機内食・映画・美術展

6月からようやく再開した東京国立博物館。
購入してあるメンバーズパスはお休みしていた期間分延長してくれるそうだが、すでに2つ見たかった特別展が飛んでしまったことだし、まだ残っている観覧券を使うべく、久しぶりの上野へ。

するとホームから公園口へ上がったところでなんだか今までと様子が違う。
 改札口がずれているし、出ると今まで横断歩道を渡らなければならなかったところがまっすぐ公園の中まで歩道になり、道路は工事中。駅舎の上部もなにやらおしゃれな外観になっていて驚いた。
動線の悪い上野駅はまだまだ改善の余地大だが、とりあえず公園へ楽に入れるようになったのはめでたい。

会期をずらしてようやく開幕にこぎつけた西洋美術館の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」を横目に国立博物館の門までたどり着くと、ロープがいっぱい張られてスタッフがいっぱい。
入場に日時指定の予約が必要になったためだが、暑いのにご苦労様なことだ。

今回は午後の3時に行ってみると、予想通り人出は少なくて楽々。
ヨーロッパの美術館ではもう常識になっている事前予約、いつが混んでいるか申し込む前に分かるし、一定以上は混まないと保証されているのでとてもいい。
今後はコロナがあろうとなかろうとずっと続けていただきたいもの。
  
というわけでやってきた平成館。
「きもの展」は当初4月から6月に予定されていたものが6月30日から8月23日にずれたもの。

展示は鎌倉時代の小袖から始まってほぼ年代順に並んでいるが、下着が上着になり始めた戦国時代から江戸初期が一番魅力的。
 
着物の写真はHPより

今見ても大胆なデザインで華やかなものが多く、日本人って元々は派手好みだったんじゃないの、と思う。
ついこの間読んだばかりの谷崎潤一郎先生の「陰翳礼讃」に言わせれば薄暗い燭台の元で暮らしていたから派手な金糸の縫い取りが必要だったということになるけれど、安土桃山時代の明るさはお日様の下が似合うような気がする。

 
尾形光琳の手書きの着物にはうっとりするし、豪商の娘の婚礼衣装も友禅で豪華。
300年以上も昔の衣装が残っているのはもちろん庶民のものではないけれど、町方のためのスタイルブックのようなものを見ても粋なデザインがいっぱいで、現代の目で見ても本当におしゃれ。
逆に大奥で着られていた衣装などはびっしりと刺繍が施されてどれだけ贅沢だったんだと思うが、デザインとしてはもっさりとして堅苦しい。


中で天璋院篤姫が着ていたという着物には好きだったという雀がいっぱい飛んでいてかわいく、もしかしたら本人がデザインしたかもしれない信長の山鳥の羽毛をびっしり付けた陣羽織は奇抜で、秀吉の陣羽織の方は当時とんでもなく高価だった布が使われているとか、なんとなくこの人たちの性格が出ているようで面白い。

 男物は江戸の火消半纏の、これは火を消した後に裏返して着た裏地だそうで、他にもびっしりと刺繍した豪華な下着とか、どこで見せるためのものだったのかと思わず想像してしまう。

最後には大正期から現代まで、久保田一竹の豪華な辻が花や岡本太郎、呉服屋の長男というYoshikiの着物まで展示されているが
 現在の三越の包み紙は人間国宝によるこの着物の柄を採用したもので、包み紙が着物になったわけではないそうな。

と最後の方はかなりはしょったものの、博物館推奨の90分ではとても見られなくて2時間たっぷりかかった。
お着物の女性も多く、皆さんじっくり見ているが空いているのがうれしく、期待以上に楽しめた。
午後の遅い時間ならおしゃべりおばさんも少ないので、これからは午後に来ることにしよう。

ミュージアムショップでは着物柄のグッズに心ひかれつつ
 またこんなものを買ってしまった。

帰りは千駄木に出て
 
「おにぎりカフェ 利さく」で早い夕食。
夜外食するのもずいぶん久しぶりだ。

 谷中の延命地蔵に手を合わせて、西日暮里から帰った。


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「東京モダン生活」@東京都庭園美術館

2020-06-13 17:49:33 | 機内食・映画・美術展

6月に入ってようやく東京の博物館も再開しだしたので、まずは近場の目黒、東京都庭園美術館へ。

 
「東京モダン生活」展と名打たれているが、見どころは本館である旧朝香宮邸の再現展示。
普段は禁止されている館内の写真撮影ができるということで、カメラを持ってやってきた。

この建物はパリ滞在中にアールデコに魅了された朝香宮夫妻がフランス人アンリ・ラパンに設計を依頼し、宮内省監修のもと戸田建設が手掛けて1933年に完成したもの。

 
玄関のタイルやガラス扉からうっとりするが、ガラス彫刻はルネ・ラリックのもの。

 
入るとまずは天井の照明が印象的なホールがあり、右手の部屋に立っているのはアンリ・ラパンがデザインした香水塔。上部の照明で温められる部分に香水を入れて部屋に香りを漂わせていたというおしゃれさ。

その先に大客室と大食堂が続いて
   
  
 
壁から照明、扉まで凝りまくり。

特に暖炉が素敵で、これが各部屋にあるのだが

正面のグリルの模様が一つ一つ違い、他に部屋の周りにはラジエーターがあってこれらにも凝った細工がされている。

大食堂の奥には小食堂があり、こちらは家族が普段の食事に使っていたところ。
 ここだけは木材が多く使われて和風で、やっぱり普段はこういうところが落ち着いたのだろうか。

二階へ上がる階段は2つあって、小食堂に近いのはおそらく普段使い用。
  
大広間から続く方にはこれまた凝った金物装飾があって、この階段下はトイレだったと思うが洗面台までおしゃれだ。

 二階の踊り場の周りは家族の寝室やそれぞれの居間などプライベート空間。
   
 
バスルームのタイルまでかっこいい。

  
  
 
殿下の書斎の机は日の入り具合に合わせて回るように作られているとか。

 
夫婦専用のベランダまでまあ、おしゃれで
 
通風孔までこの凝りよう。

ラジエーターグリルやら照明器具、タイルなどは宮内省内匠寮のデザインだそうで、細かく見だすときりがないほど素敵な細部はこちら↓

ところで一度住んでみたいと思わせるこの素敵なお屋敷の発注者、朝香宮ご夫妻。
 
妃殿下はなんとこの建物の完成後わずか半年で亡くなられたそうで、殿下も14年後には皇籍離脱でこの家を出られたとか。
旧皇室の贅沢とも言えるが、センスにあふれ、住み心地も良さそうなこの家がその後は迎賓館などにしか使われなかったとはもったいない気もする。

 本館の奥にはこんな新館があって、こんなところがあったっけ、と思ったら2014年にできたそう。
こちらのギャラリーでは1930年代の写真や絵などの展示があったが、モボモガがもてはやされたこの時代、東京でも洋装の女性は10%ぐらいしかいなかったというのが意外で面白かった。

 
建物の前には広い庭があって、
 
日本庭園に茶室もある。

「いつもより空いています」と言われた通り、ゆっくり見学できて大満足の庭園美術館。
新館のカフェのケーキがとてもおいしそうだったのに食べ損ねたので、ここはまた来ないと。


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「ミケランジェロ・プロジェクト」&「大列車作戦」

2020-05-12 16:44:23 | 機内食・映画・美術展

先日読んだ「The Monuments Men」の映画化、ツタヤにDVDがあったので引きこもりのお供に借りてみた。

 日本語タイトルは「ミケランジェロ・プロジェクト」だが、原題は原作通り「The Monuments Men」。

原作、というか実在の人物とは登場人物の名前を変えているが、本で取り上げられている主要メンバーはほぼ網羅されていて、その配役が監督・主演のジョージ・クルーニーをはじめ、マット・デーモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマンから「ダウントン・アビー」のヒュー・ボネビルまで、渋いけれど豪華。
原作の弱みである各メンバーがバラバラに行動しているので全体に散漫な印象も、実際よりも主要メンバーが集合して活動しているように変えているのでチーム感は出た。

しかし盛沢山のエピソードをかなり詰め込んでいるので、せっかくの豪華メンバーながらそれぞれの見せ場は少なくてもったいない感じ。
中で紅一点、フランスの美術館内でドイツ側の動きを見張っていた女性を演じたケイト・ブランシェットはその意志の強そうな所とか、この映画の中で一番印象的。どんな役を演じてもうまい人だ。

坑道の中に大量の金塊や美術品が目の届く先まで積まれている場面など映像ならではの所はあるし、全体に軽くユーモアをまじえているので気楽に見られる映画ではある。
しかし軽すぎて悲惨な戦場であったはずのノルマンディーへの上陸からドイツ軍を東へ追っていく過程まで、まるでピクニックに行っているか、せいぜいボーイスカウトのキャンプみたい。

あくまで娯楽映画に仕上がっているので、これは映画を見てから原作を読んだ方がいいかもしれない。


そしてもう一本、原作の中に軽く触れられている列車による美術品持ち出し阻止のエピソード。
 これを映画化した「大列車作戦」The Trainは1964年の作品。
ツタヤにお取り寄せながらちゃんとあって感激。
こちらは監督がジョン・フランケンハイマー、主演がバート・ランカスターなのでバリバリ硬派なアクション映画。

連合軍によるパリ解放の直前、盗難美術品をジュ・ド・ポーム美術館に集めていたドイツ軍将校がこれを列車でドイツに移送しようとした。これをこの美術館で見張っていたのがミケランジェロ・プロジェクトにも登場するフランス人女性で、移送計画をフランスのレジスタンスに通報し、フランス国鉄内のレジスタンス勢力が列車の進路を変えたり、車両を脱線させたりして見事に妨害したという、これは史実。

映画はこのエピソードを元にしながら登場人物の名前も変えるなど史実通りではないフィクションだそうだが、ドイツ国境へ向かうはずの列車の進路をポイント切り替えで変更すると、同乗しているドイツ人たちにばれないよう途中通過駅の駅名表示を次々に変えてしまうところなど、まるで犯罪か詐欺の映画のようで面白い。

1944年のお話なので登場するのは蒸気機関車。これをクライマックスでは進路妨害のために派手に衝突して脱線させたり、空爆シーンでは駅がめちゃくちゃに破壊されたりするのだが、なんとこれらはフランス国鉄で廃棄予定の本物をぶっ壊して、一発勝負で撮影したのだとか。今では考えられないことだろう。

サボタージュがばれると鉄道員をはじめレジスタンスのメンバーは次々に殺されてしまって、ここいらへんは上の映画とは対照的な厳しさ。
しかし考えてみるとこの映画が製作された1964年は終戦から20年しか経っていない。ナチスの恐怖もまだ生々しかったのだろう。

迫力満点のアクション映画で美術品は途中忘れられたようになるが、なぜフランス人は命を懸けて美術品を守ろうとするのか、なぜドイツ人将校は無理に移送しようとしたのかもちゃんと触れられている。
古いけれど見ごたえのある映画だ。


ところでどちらにも登場する美術館勤務のフランス人女性、本名はローズ・ヴァランといって戦後も略奪された美術品の返還に尽力し、その功績を認められたとか。
本人が書いた手記もあってその中に移送列車阻止のエピソードも登場するらしいが、残念ながらフランス語版しかないよう。
この人の話だけでも一本映画が作れそうだ。


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「人、神、自然」展@東京国立博物館

2020-02-06 16:16:57 | 機内食・映画・美術展

去年「正倉院展」を見に行った時にチラシを見て、どこでやっているのだろうと聞いたら「まだやってません」と冷たくあしらわれた展覧会に閉会間際になって行ってきた。


「人、神、自然」 ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界

 
アール・サーニさんとはカタールの王族だそうで、この人の集めた主に中東、中央アジア出土の古代工芸品117点が東洋館で展示されている。

会場はふだん大谷探検隊が持ち帰ったシルクロードの出土品が飾られている所。なのでそれほど広くないスペースだが、展示品は小さいものが多いのでコンパクトにまとめられ、暗い会場内にスポットライトがうまく当てられてとても見やすい。

それぞれ小さいとは言え展示品はどれもすばらしいものばかり。
古いものは紀元前3000年から、新しくても5,6世紀のものまで、時代も場所も異なるものがテーマごとにまとめられているので比較ができてとても面白い。

以下は展覧会HPより
 
小さな女性像も、精巧な鹿の形をした酒の容器も、紀元前2000年、つまり今から4000年前に作られたとは信じられないほどの細工の美しさ。

権力の象徴であった金の装飾品は特に凝っていて
 このブレスレットをはじめ、今使ってもまったく違和感がない、どころか現代のデザインよりもしゃれている。

しかし今回の展示で一番気に入ったのはこちら。
 紀元前3000年ごろにアナトリア半島で作られたという大理石製の女性像。どのような目的で作られたのかは不明だそうだが、抽象化された頭に小さな耳が付いているのがかわいくて、これに「スターゲイザー」と名付けたセンスが素晴らしい。

コンパクトながら本当に質の高いものばかりで予想以上に楽しめたこの展示、博物館の通常の観覧料だけで見られるのもありがたい。入場無制限のメンバーズカードを持っているので追加料金なしで見られたのだ。
アール・サーニ・コレクションはこの春からはパリのコンコルド広場の特設会場で公開されるそうだが、今回展示されたもの以外にもいろいろあるのだろうか、気になるところ。

この日は東洋館の見学だけでサクッと切り上げ、お昼はなんとなく中華の気分だったので上野駅入谷口からすぐの晴々飯店へ。
 この素敵すぎる店構え、上野の人気店だそうだが、このご時世なので空いているかと思いきや1時過ぎでも日本人のお客さんで満席。中国人らしき人は店員さんたち以外には見当たらず。
 四川料理のこちらで「リアル回鍋肉定食」を頼むと、キャベツなし、たまねぎとインゲン、ねぎと豚肉がラー油と豆鼓で炒められていて、これがとてもおいしくてご飯がすすむ。
満足度が高くて、ここはトーハクから定番コースになりそう。

上野駅に向かうと大きなスーツケースを転がす団体、先頭の子供は青天白日旗を振りながら歩いていた。その気持ち、実によくわかる。
日本人も海外を歩くときは当分日の丸振りながら歩いた方がいいんじゃないだろうか。


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コメント (2)
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