ジョセフィン・テイという作家をご存じだろうか。
イギリスの作家で1896年生まれというからアガサ・クリスティーよりも6歳若く、ミステリー小説を書き始めた時期もほとんど同じ。
最も有名な作品は脚を折って入院中の警部が王子殺しの汚名を着せられたリチャード3世の謎に挑む「時の娘」。この小説は歴代ミステリー小説の1位に選ばれることもあるほどの傑作で、大昔の学生時代に読んでとても面白かった。
この作家の他の小説が読めるとは思ってもいなかったのだが、ミステリーファン Yam Yam さんのブログで他にも翻訳があることを知り、さらにアマゾンを物色していたらKindleで原語の全著作集を、しかもたったの294円で入手可能と知ってすぐにダウンロードした。
全著作集と言っても作者は50代半ばで亡くなっているので小説は12作。
1920年代に書かれたものはさすがに古さを感じるが、特に1940年代以降に書かれたものはどれも今読んでも十分に楽しめる。
ミステリーと言っても最近のもののように無駄に残酷な描写はなく、中には殺人さえ起らないものもあるのだが、それでもページをめくる手が止まらなくなり、一気に読んでしまった。
12作中6作にはアラン・グラント警部が登場する。詩集を出したりもするインテリでハンサム、おばさんの遺産でお金に不自由しないけれど警察の仕事を続けているというパーフェクトな男なのだが、この人が美女たちに遭遇しながら結婚しようとはしない。The Singing Sand (歌う砂)では結婚しそうになりながら逃げおおせてほっとしているし、長い付き合いの舞台女優は「私は結婚に向かないの」なんて言っているし、これはジョセフィン・テイの結婚観の表れなのだろうか。
他の作品でも登場する女性たちが独立心旺盛なところが魅力的で、クリスティの作品の登場人物たちが古典的なロマンスに落ちるところ、この人は時代の先を行っていたように思う。
全12作中、個人的に特に気に入ったのは「時の娘」の他に
The Franchise Affair フランチャイズ事件 - いきなり見も知らぬ少女に「この家に拉致監禁された」と訴えられる母娘がどう疑いを晴らすか
Miss Pym Disposes 裁かれる花園 - 女子体育学校の寄宿舎内の人間模様。変わった舞台は作者の実体験に基づくものだそう
Brat Farrer 魔性の馬 - 子供の頃に死んだ双子の片割れになりすまして家族の中に入る男の話。生き返ってきた男は本物か、という物語はよくあるが、最初からなりすましと明かしながらもうひとひねりしたストーリーが面白い。
作者が早世して12作しかないのが実に残念。
新書で読める邦訳もあるので、機会があればぜひ。クリスティ・ファンなら絶対に楽しめる。
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2020年1月にボルネオから帰国以来、実に2年6か月ぶりに待望の国外脱出に成功。
成田空港は相変わらず閑散としていて飛行機もガラガラ。
しかしおかげでサービスはいいし、座席は使い放題で横になって行けるし、久しぶりの長時間の飛行もこれなら楽々。
今回の渡航先、旅行を思いついた3か月前の時点では渡航前にPCR検査が必要だったし、旅行保険の加入やその国独自のコロナ対策アプリのインストールも必要だった。しかしいずれも7月までに不要になって、ワクチン接種の証明を見せるだけでいとも簡単に入国できるようになった。
入ってしまえばマスクをしているのは学校で決められているのだろう、制服姿の学生だけ。
着用を求められたのも空港と大型スーパー、某ブランド店の1つだけ。
まったくマスクをしないで過ごせることのなんと快適なことか。
唯一面倒だったのは日本帰国時に必要とされているPCR検査、そしてそれ以上にMySOSなるアプリの登録。
このアプリ、本来なら最後に回答しなければ意味ないだろう渡航先での健康状態申告に答えなければ次のワクチン接種証明書のアップロードができず、しかもこれが接種証明書アプリとは連動していないのはどういうわけか。証明書アプリの二次元コードをダウンロードして使ったけれど、それでいいのかの説明もなし。
さらに現地で受けたPCR検査の陰性証明をアップロードしなければならないのだが、アップロードするとファイル名が出てその横に大きな✖印、その下には英語でNo File chosenとあるので失敗したかと思ってしまった。
が何のことはない、ファイル名が出ればOK、✖印はファイル削除のため、その下になぜまだNo Fileと出るのかは不明。
まったく使いづらく不親切なアプリで、これは年配者の多いツアーにでも出たら添乗員はさぞ大変だろう、と変な心配をしてしまう。
しかしなんとか必要書類のアップロードに成功して数時間後に申請が通るとアプリの画面が青に変わり、こうれを帰国時の検疫で黄門様の印籠のように見せればいとも簡単に通過できて、おかげで飛行機のタッチダウンから税関通過までたったの30分で終了してしまった。
国内の温泉めぐりはもちろん楽しいけれど、久しぶりの海外はやっぱりワクワクと違う楽しさがある。
某C国人観光客もいなくてまだ空いている今のうちに、また海外に行かなくちゃ。
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フェイスブックに「食べるぞ!世界の地元メシ」というグループがある。
元海外旅行添乗員で作家の岡崎大五氏が2021年1月に立ち上げたグループなのだが、旅行好きが外に出られなくなって1年以上、みんなフラストレーションが溜まっていたのだろう、世界中で経験した基本ごく庶民的な食べ物の話が次々に投稿されて実に面白いグループになった。
自分も何回か投稿させていただいたのだが、このフェイスブック・ページが今回「地球の歩き方」の1冊として書籍化され、投稿した記事の一つが掲載されたということでお礼として本が送られてきた。
取り上げてもらったのは台湾のライチ狩りの話。
222本の1つに選んでいただけたとは、光栄の至り。
初めは限られたメンバーの小さなグループだったものが今では参加者47,000人だそうで、その分ディープさはいささか減ってしまったものの、旅先で出会った知らないものについて投稿、質問するとたちまちどなたかが答えてくれるところがすごい。
旅好きはそろそろ動き始めた今日この頃、これからは旅の思い出ばかりではなく新しい話題も増えてくるだろう。
旅立ち前の予習として、ご一読あれ。
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最近、続けざまにインドを舞台にしたミステリー小説を読んだ。
まず1冊目
「ボンベイ、マラバー・ヒルの未亡人たち」 The Widows of Malabar Hill
舞台はタイトルにある通り、1919年のボンベイ。主人公はオックスフォード卒でインド初の女性事務弁護士。本人はインドでも少数派のパールシー、つまりゾロアスター教徒で、イスラム教徒の家で起こった殺人事件に関係して3人の未亡人たちと絡むことになるのがみそ。
主人公は開明的な家の出身ながら結婚に失敗していて、その背景が殺人事件の展開と交互に明かされる仕組み。
家から一歩も出られず、男性との接触も一切できないムスリムの未亡人たちの描写も含め、100年前のインド女性の状況が本筋のいささか他愛ないミステリーより興味深い。
2冊目は英語版を読んでから翻訳が出ていると知ったこちら。
「カルカッタの殺人」 A Rising Man
こちらは同じ1919年ながら東のカルカッタが舞台。主人公はイギリスからインドに赴任したばかりの警察官で、インド人の部下を使いながらイギリス支配下のインドで白人の殺人事件を解決しようと奮闘する。
ミステリーとしてはこちらの方が本格的ながら、やはり独立運動が盛んになりつつある背景や少数のイギリス人による支配の論理などに興味が行く。
前者の作者はインド系とドイツ系の両親の元、イギリスで生まれてアメリカで育った国際人の女性作家。
後者はスコットランド生まれで会計士をしていたインド系イギリス人。
どちらもインドにルーツを持ちながら西洋人の目で100年前、独立以前のインドを描いているのが面白く、インド人はこれらの本をどう評価するのだろう。
どちらもシリーズ化されているようなので、特にカルカッタの方はまた読んでみよう。
こちら、ちょっと訳ありのイギリス人警部と、ケンブリッジ出のお坊ちゃんインド人部長刑事のチームがいかにもBBCのTVドラマになりそうで面白いのだ。
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自由人になって以来、GWには旅行に出ていなかったのだが、昨日まで佐渡に行っていた。
その佐渡である郵便局に立ち寄った所、面白いものを発見。
ご当地フチ子、しかも郵便局のフチ子さん!
2バージョンあって、一つは佐渡金山、もう一つは朱鷺なので朱鷺バージョンをお買い上げ、680円。
佐渡の郵便局は熱心で、「トキの森公園」という観光地にも臨時営業所を開設中。
そこにもフチ子さんがいたのだが、郵便局員のお姉さんが「この子はちゃんと郵便局員の制服を着ているんですよ」と言うのでよく見ると
おお、袖に郵便マークが付いている!
お姉さんと一緒だ。
しかも台紙についているのは本物の切手とのこと、てっきりただのデザインだと思っていたので危うく捨てるところだった。
この郵便局のフチ子さん、2018年から東京、神奈川と作られて佐渡バージョンは第三弾なんだそうだ。
レア物ゲット!
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もう一つNetflixネタで「クリミナル」というドラマのこと。
これもまたイギリス発の刑事ものなのだが、舞台が取調室とその裏のモニター室、部屋の外のエレベーターホールに限定されていてそこから一歩も出ない。回想シーンなども一切なくて、一人の容疑者または証人へのインタビューだけで事件の真相が見えてくるという、実に渋いがよくできたドラマ。
さらにすごいのが全く同じセットを使ってイギリス版の他にドイツ版、フランス版、スペイン版も作られていて、それぞれの国のスタッフ、俳優で作られているのでお国柄を比べられるという、なんとも頭のいい企画。
見比べてみるとさすが一番面白いのは本家のイギリス版で、捜査チーム内の力関係やら協力関係もちゃんとわかるし、なにより役者たちがうまい。
ドイツ版は全体に地味な印象で、扱う事件に社会問題の色が濃い。
フランス版はさすが個人主義の国というか、他の国に比べるとチーム内の対立が強くて、警察がこれで大丈夫なのかと思ってしまう。しかし女性リーダーの着ているジャケットなどがなにげにすごくおしゃれで、さすがおフランス。
意外、と言っては申し訳ないが、イギリス版の次によかったのはスペイン。ストーリーも意外性があるし、役者もうまい。
面白いのは4か国とも尋問チームのリーダーが女性になっているところで、このドラマに限らず、最近の刑事ものは上司が女性と言う設定が多いが本当にそんなに女性上長が多いのだろうか。
このドラマでは特にフランス版、スペイン版のリーダーが女性だからと批判やプレッシャーにさらされていて、やはりヨーロッパといえども女性のキャリアは大変そう。
お金をかけなくても頭を使えばおもしろい番組は作れるという証明のようなこのドラマ、おすすめ。
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コロナ自粛が始まって1年目の昨年春、友人の勧めもあってNetflixに加入した。
当初の目当ては評判になっていた韓ドラを見ること。
「愛の不時着」と「ヴィンチェンツォ」は思っていたよりずっとコメディー要素が強くて、たくさん登場する脇役たちが達者なこと。
「不時着」の方は北朝鮮をギャグのネタにしつつ、意外に悪く描いていない所が気を使っているようでうまいなと思う。
この2作以上に良かったのは「賢い医師生活」。
韓ドラの医療ドラマというとフルメイクにハイヒールの女医が走り回ったりするものが多いのだが、これはちゃんとしたお医者さんたちの話で、スターは出ていないが脇役まで含めてとても良かった。
欧米物を入れても医療ドラマでは一番好きかもしれない。
もう1本、予想外に面白かったのが「刑務所のルールブック」。
大リーグ入り目前の野球選手があることから刑務所に入ることになってしまうので舞台は刑務所、登場人物たちもほぼ受刑者と刑務官なのだが、これも個性的な脇役たちが退屈させない。
床に布団を敷き、ちゃぶ台でご飯を食べるのは日本の刑務所と同じだろうか、食事にキムチが出る所だけが違うのかもしれない。
他にもドキュメンタリーや正統派ユダヤ人のドラマなど興味深いものはいろいろあるのだが、最近一番嵌ったのはイギリスBBCの「ライン・オブ・デューティー」という刑事ドラマ。
刑事と言っても警察内の汚職を捜査する部署なので他の部署からは毛嫌いされる、それでも不正を暴こうと奮闘する部員たちの話で、各6話5シーズンをほぼ一気見。第6シーズンもWowowでは既に見られるようなので、Netflixで見るのが楽しみ。
刑事ものなどのミステリーはやっぱりイギリスのものが圧倒的に完成度が高くて面白い。
韓ドラはマンガや劇画、イギリスのは本格小説と言う感じだろうか。
他にケーブルにも加入しているので、普通のテレビはニュース以外ほとんど見なくなってしまった。
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昨日3回目のコロナワクチン接種を終了。
モデルナなら早い予約ができたので選んだら、さすがに今回は注射した所に筋肉痛を感じる。
しかしそれ以外には何の不都合もなく、熱も出ないので近所で河津桜が咲いているという林試の森公園へ。
公園に着いていつもソメイヨシノがいっぱい咲く広場へ行ってみると、こちらはまだ小さなつぼみが硬くて枯れ枝状態。
河津桜はどこかいな、と公園をぐるっと歩いてみると、さすがにまだ花は少なくて
水仙と
北見福寿草とリュウキンカ(by Picture This)ぐらいしか見えない。
大勢の犬を散歩させる人たちとすれ違いながら公園の反対側まで来ると
おお、ここに咲いていたか、満開の河津桜。
つい先日、TVを大画面にするついでに店員にそそのかされてスマホをiPhone13miniに変えたのだが、カメラ師匠のスクムビットさんによるとカメラ機能がいろいろ充実したというので試してみた。
なかで一番感心したのは超広角撮影。
左が広角、右が超広角でこれはいいかも。
縦位置にしても今までとは違って見える。
ボケも表現できるというのでf値を変えて撮ってみると
確かに背景がボケるけれどなんだか不自然。
広告ではスマホを使ってプロが素敵な写真を撮っているけれど、あれはやっぱり知識とセンスの差だよなあ、と改めて実感。
大体iPhoneには説明書も付かないので、露出補正やf値の変更もネットでお勉強しなければ知らないで終わってしまったに違いない。
なんてぼやきつつ、途中で買ったキュウリサンドで花見ランチ。
最近開店した総菜パン専門店だけれど、きゅうりとキャベツのマヨネーズあえがフワフワのパンに合っていける。
花の下には幼稚園児に保育園児、スカーフ姿の外国人グループも楽しそうに写真を撮っていて、日本の平和のありがたさを改めて感じる。
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とうとうやらかしてくれた。
今ちょうど半藤一利さんの「昭和史」を読んでいて、ウクライナの状況は日本が満州や中国に侵攻した時によく似ているなあ、と思っていた所だった。歴史は繰り返すのか。
大体ロシアのプーといい、中国のプーといい、権力者は独裁体制を達成すると誇大妄想になるのだろうか。
ソ連時代の覇権を、あるいは乾隆帝時代の大領土を復活して歴史に名を残そうというのか。
ナポレオンや秀吉も最後は誇大妄想だった。
これがまさか第三次世界大戦なんてことになりはしないだろうか。
二人の誇大妄想プーが仲良くしているのが気にかかる。
第一次も第二次も、一般民衆がそんなことはあるまいと暢気に構えているうちに事態は雪だるまのように転がって戦争は始まってしまったのだ。
コロナが収まったらロシアに行こうと思っていたけれど、こんな状態ではとても行けそうにない。
このTシャツももう人様の前では着れないよ~。
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