ザンスカール旅行記が終わった所でツアーリーダーだった山本高樹氏からイベントの紹介があり、雨の週末にでかけてみた。
場所はほぼ縁のない町田。
駅前の繁華街を通り抜けて徒歩15分、急坂を下った先に会場の町田市立国際版画美術館があった。
市立とは言えかなり立派な建物。
まずは1階にある喫茶室でフルーツサンドとアイスティーのセット。
これで600円は良心的。
展示室は2階にあって、常設展は無料だけれど、お目当ての「ヨルク・シュマイサー展」は800円。
入口に珍しく「写真撮影可」の表示があって、学芸員さんの曰く「宣伝費がないのでSNSで拡散していただこうと思って」とのこと。なるほど。
不勉強にして知らなかったヨルク・シュマイサー氏はドイツ生まれの版画家。
ドイツの美術学校卒業後に京都に留学し、4年間滞在して日本女性と結婚したということで初期に日本を題材にした作品が多い。
技法はエッチングが多く、学生時代には中東で遺跡発掘の記録画家を務めたこともあると言うことで描写が細密。
オレンジ色をアクセントにするのがお好きだったよう。
これが特に中国を題材にした作品にはぴったりで
ニューヨークやヴェネチアもオレンジ色に染まる。
植物を描いた作品はいかにも記録画家らしく
作品の中に日記など細かい文字をたくさん書き込むのも特徴の一つだそうだが、文字が入ると古いドイツの印刷物のように見えるのが面白い。
オーストラリアに移住した画家は南極にも行ったそうで
晩年にかけて作風が変化して行くのが見えるのも回顧展ならでは。
さて、今回展示の180点のうち6点がラダック、ザンスカールを描いたもので
これらを前に山本氏と学芸員さんがギャラリートークをしてくださった。
シュマイサーがラダック、ザンスカールを旅したのは1984年のことで、6週間をかけすべて徒歩でまわったとのこと。
この絵の隅に日程が細かく書き込まれているのだが、山本氏でさえ「これはすごい」というほどの強行日程。
学芸員さんが「旅行中はサラミとチョコレートしか食べず、奥様によると帰って来た時はひどいにおいだったそうです」と言うのがリアルでおかしい。30年前には交通手段も宿も食べるところもなかったことだろう。
いくつものイメージを合わせた絵の中には元ネタのわかるものもあって
これは明らかにマンギュの観音像。
アルチ僧院の下の彼らはどこから来たのだろう。
ティクセ・ゴンパの絵はブリューゲルのバベルの塔のよう。
ザンスカールのバルダン・ゴンパは写真と比べるとおもしろい。
さらに正確なのはこちらの山の絵。
元々のタイトルに山の名前はなかったが、山本氏がカルギルからザンスカールへの途次にあるランドゥムの山と特定したそう。
確かに自分の撮った写真の中にもそっくりなものがあって、「ただ地層の方向が実際とは逆なんですよね」とさすが山本氏。
ギャラリートークはもちろん、予想以上に楽しめた「ヨルク・シュマイサー展」。
11月18日までの開催、と学芸員さんのために宣伝しておこう。
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場所はほぼ縁のない町田。
駅前の繁華街を通り抜けて徒歩15分、急坂を下った先に会場の町田市立国際版画美術館があった。
市立とは言えかなり立派な建物。
まずは1階にある喫茶室でフルーツサンドとアイスティーのセット。
これで600円は良心的。
展示室は2階にあって、常設展は無料だけれど、お目当ての「ヨルク・シュマイサー展」は800円。
入口に珍しく「写真撮影可」の表示があって、学芸員さんの曰く「宣伝費がないのでSNSで拡散していただこうと思って」とのこと。なるほど。
不勉強にして知らなかったヨルク・シュマイサー氏はドイツ生まれの版画家。
ドイツの美術学校卒業後に京都に留学し、4年間滞在して日本女性と結婚したということで初期に日本を題材にした作品が多い。
技法はエッチングが多く、学生時代には中東で遺跡発掘の記録画家を務めたこともあると言うことで描写が細密。
オレンジ色をアクセントにするのがお好きだったよう。
これが特に中国を題材にした作品にはぴったりで
ニューヨークやヴェネチアもオレンジ色に染まる。
植物を描いた作品はいかにも記録画家らしく
作品の中に日記など細かい文字をたくさん書き込むのも特徴の一つだそうだが、文字が入ると古いドイツの印刷物のように見えるのが面白い。
オーストラリアに移住した画家は南極にも行ったそうで
晩年にかけて作風が変化して行くのが見えるのも回顧展ならでは。
さて、今回展示の180点のうち6点がラダック、ザンスカールを描いたもので
これらを前に山本氏と学芸員さんがギャラリートークをしてくださった。
シュマイサーがラダック、ザンスカールを旅したのは1984年のことで、6週間をかけすべて徒歩でまわったとのこと。
この絵の隅に日程が細かく書き込まれているのだが、山本氏でさえ「これはすごい」というほどの強行日程。
学芸員さんが「旅行中はサラミとチョコレートしか食べず、奥様によると帰って来た時はひどいにおいだったそうです」と言うのがリアルでおかしい。30年前には交通手段も宿も食べるところもなかったことだろう。
いくつものイメージを合わせた絵の中には元ネタのわかるものもあって
これは明らかにマンギュの観音像。
アルチ僧院の下の彼らはどこから来たのだろう。
ティクセ・ゴンパの絵はブリューゲルのバベルの塔のよう。
ザンスカールのバルダン・ゴンパは写真と比べるとおもしろい。
さらに正確なのはこちらの山の絵。
元々のタイトルに山の名前はなかったが、山本氏がカルギルからザンスカールへの途次にあるランドゥムの山と特定したそう。
確かに自分の撮った写真の中にもそっくりなものがあって、「ただ地層の方向が実際とは逆なんですよね」とさすが山本氏。
ギャラリートークはもちろん、予想以上に楽しめた「ヨルク・シュマイサー展」。
11月18日までの開催、と学芸員さんのために宣伝しておこう。
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