今年はなぜか異なる航空会社に次々に乗ることになった。
2月のエアアジアを手始めに、タイ航空、ノックエア、ルフトハンザ、エールフランス、KLM、JAL、ANA、ジェットエアウェイズ、エアインディア、シンガポール。
そして今回のイタリアへは今年12社目のアリタリア。
常に経営危機で、現在もまた破産状態らしいこの航空会社に乗るのは覚えている限り初めて。
出発は羽田には入れてもらえないらしくて成田から。
好きじゃないスカイチーム塗装のB777。
エコノミーは3-3-3の座席配列で狭苦しく、欧米人と日本人でほぼ半々の機内は満席。
結構しっかりと厚手の毛布と共に袋詰めされた枕が面白くて、真ん中を途中まで2つに割ると首を入れてネックピローにすることができる。
ただし実際に使ってみると首を絞められるようで苦しく、妙に出っ張ったヘッドレストも邪魔になって、枕は腰のクッションにした方がいい。
飛び立ってしばらく経っても飲み物のサービスはなく、先に機内食を配ってからスナックと冷たい飲み物が来るとは、こういうところがつぶれる会社か。
食事のチョイスも機内後方では当然のごとくなくて、有無を言わさず日本食を渡されたが
この和食は意外にまとも。特にキノコが少し入った味付きご飯がおいしくて、メインの揚げ魚のあんかけも副菜もまあまあ。これなら許せる。
これを食べながら映画鑑賞の始まり。
まずはメジャーなハリウッド映画から。
オーシャンズ 8
実はジョージ・クルーニ―のオーシャンズ・シリーズは一本も見ていないのだが、これはジョージの妹のサンドラ・ブロックが女性ばかりのチームを作ってお宝を拝借しようと言うお話。
サンドラがいかにも頭良さそうだし、ケイト・ブランシェット姐さんがいつもとは違ういでたちでこれまたかっこいい。
仲間にインド系、アフリカ系、アジア系が入る所がいかにも今風だが、それぞれ「らしい」役割が割り振られ、普段は小汚い恰好ながら一ヶ所全員にゴージャスなイブニング・ドレスを着せる場面があって、これも女性客に受けそう。
見るたびに顔の道具が大きすぎると思うアン・ハサウェイがいつも以上に派手だが、今回はこの映画でも一番の儲け役。しかし彼女もうまい。
これぞ正統派ハリウッド娯楽映画で、理屈抜きに楽しめた。
続いてはこれもアメリカ映画だが、ぐっとシリアスに
タリーと私の秘密の時間
美人女優のシャーリーズ・セロンは本当に演じる役の幅が広くて、今回は3人の子育てで心身ともに疲れ果てたお母さんの役。
思春期入口の娘、問題行動のある息子、それに生まれたばかりの乳児の世話をする姿は見ているこちらが苦しくなるほど。
これをこの役のために相当体重を増やしたのだろう、シャーリーズが贅肉たっぷりのおなかをさらしてリアルに演じる。
夜間だけのベビーシッターに助けられる話はラスト、なるほどとなるが、お母さんはどこの国でも大変だなと納得させられる。地味だけれどいい映画だ。
せっかくイタリアの飛行機に乗ったのだから、この後は日本ではもうあまり見られないイタリア映画を選択。
Come un Gatto in Tangenziale (Like a Cat on a Highway)
これはEUのシンクタンクに勤める男の娘と、移民だらけの団地に住む女の息子が仲良くなって、親同士がやきもきしながら近づくというコメディー。
イタリアは階級社会だというのがよくわかって、外国人としては実に興味深い。
中学生ぐらいの子供たちが堂々と付き合って、でも親がどこにでも付いて行くのも面白い。
これが結構面白かったので、同じ男優が主演と同時に監督もした映画も見てみた。
Contromano (Back Home)
真ん中のハゲのおじさんが監督・主演のアントニオ・アルバネーゼ。
ラインナップに2本もあるぐらいだから現在のイタリアの人気俳優なのだろうか。
このおじさん、今度はミラノの靴下屋。老舗らしき店で靴下だけを商っているが、店先でセネガル人が安い靴下を通行人に売り出して商売あがったり。怒ったおじさんはセネガル人を誘拐して車に乗せ、アフリカに送り返そうとする。
一応コメディーだがあまり笑えるところはなくて、やはりヨーロッパの移民問題の深刻さが際立つ。
アフリカと言っても車とフェリーで行けちゃうし、イタリアは移民に寛容で、法の不備を移民に突かれても対応が遅いからますます増えるんだとか。
それにしても靴下だけの店って、商売になるのかな。
4本の映画を見ている間には
おにぎりかサンドイッチのスナックが出て
ローマ到着前にはこんな軽食。
ハムがおいしければ長時間のフライトの後はこんなものでちょうどいい。
やたらに多い料理関係のテレビ番組(すべておじさんが料理人)を見るうち、12時間でローマ到着。
乗り継いだバーリ行きのA320は飛行時間50分なので飲み物が一杯でただけでも良かったとしよう。
帰路も同じ飛行機で
当然飲み物一杯。
成田行きB777は沖止めで、今度はお客の9割が日本人ながらやはり満席。
今度のフライトでは食事の前に飲み物サービスがあったが、
その後に出たこの機内食はひどかった。
またもやチョイスなしで渡された和食のご飯はべちょべちょ、チキンは薄味というより味がなく、副菜には猫の餌のようなツナが載っている。
友人が食べたイタリアンはトマトソースと少しのチーズが乗ったパスタがカピカピでさらにひどかったらしく、ホームベース発でこの機内食はグルメ国の名がすたるだろう。
と文句を言いながらまた映画。
今度は韓国映画で
ゴールデン・スランバー
2010年の日本映画の翻案だそうだが、オリジナルは見ていない。
お人よしで事件に巻き込まれる主人公をオリジナルでは堺雅人が演じていたと聞くと、今回の主演のカン・ドンウォンもその演技を踏襲している感じ。
国家のために、と称して情報部が民間人を犠牲にするこのストーリー、日本より韓国の方がリアリティがあるんじゃないだろうか。
スピーディーな展開で、なかなか楽しめた。
さらにまたイタリア映画を一本。
またコメディーで
Io Sono Tempesta (I am Tempesta)
テンペスタとは主人公のおっさんで、投資家というか実業家で大富豪ながら脱税したり、政治家と癒着したりとあくどい事をしている。
弁護士などをこき使ってうまく法の目をかいくぐって来たが、ささいな脱税をどうしても逃れられなくてホームレス救済所で社会奉仕をすることになる。
社会奉仕でホームレスの体を洗ったりしながら、この富豪のおじさんがいつも素敵なシャツやスーツを着ているところがいかにもイタリア。
たわいもないストーリーが甘くて興ざめだが、おっさんのおしゃれを見ているだけでも結構楽しい。
それにしても最近のイタリア映画、若い男前スターはいないのかな。
この後しばらくウトウトしている間にはスナックのサービスもあったようだが、到着1時間前に朝食。
小さなモッツァレラが付いているところがかろうじてイタリア?
しかしこのフライト中、クルーは水一杯配りに来ることなく後部のギャレーでイタリア人乗客と盛り上がり、サービスははっきり言って今年乗った数々の航空会社の中でも最低。
初めてのアリタリアはなぜ破産状態になるのかが実感できるフライトだった。
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2月のエアアジアを手始めに、タイ航空、ノックエア、ルフトハンザ、エールフランス、KLM、JAL、ANA、ジェットエアウェイズ、エアインディア、シンガポール。
そして今回のイタリアへは今年12社目のアリタリア。
常に経営危機で、現在もまた破産状態らしいこの航空会社に乗るのは覚えている限り初めて。
出発は羽田には入れてもらえないらしくて成田から。
好きじゃないスカイチーム塗装のB777。
エコノミーは3-3-3の座席配列で狭苦しく、欧米人と日本人でほぼ半々の機内は満席。
結構しっかりと厚手の毛布と共に袋詰めされた枕が面白くて、真ん中を途中まで2つに割ると首を入れてネックピローにすることができる。
ただし実際に使ってみると首を絞められるようで苦しく、妙に出っ張ったヘッドレストも邪魔になって、枕は腰のクッションにした方がいい。
飛び立ってしばらく経っても飲み物のサービスはなく、先に機内食を配ってからスナックと冷たい飲み物が来るとは、こういうところがつぶれる会社か。
食事のチョイスも機内後方では当然のごとくなくて、有無を言わさず日本食を渡されたが
この和食は意外にまとも。特にキノコが少し入った味付きご飯がおいしくて、メインの揚げ魚のあんかけも副菜もまあまあ。これなら許せる。
これを食べながら映画鑑賞の始まり。
まずはメジャーなハリウッド映画から。
オーシャンズ 8
実はジョージ・クルーニ―のオーシャンズ・シリーズは一本も見ていないのだが、これはジョージの妹のサンドラ・ブロックが女性ばかりのチームを作ってお宝を拝借しようと言うお話。
サンドラがいかにも頭良さそうだし、ケイト・ブランシェット姐さんがいつもとは違ういでたちでこれまたかっこいい。
仲間にインド系、アフリカ系、アジア系が入る所がいかにも今風だが、それぞれ「らしい」役割が割り振られ、普段は小汚い恰好ながら一ヶ所全員にゴージャスなイブニング・ドレスを着せる場面があって、これも女性客に受けそう。
見るたびに顔の道具が大きすぎると思うアン・ハサウェイがいつも以上に派手だが、今回はこの映画でも一番の儲け役。しかし彼女もうまい。
これぞ正統派ハリウッド娯楽映画で、理屈抜きに楽しめた。
続いてはこれもアメリカ映画だが、ぐっとシリアスに
タリーと私の秘密の時間
美人女優のシャーリーズ・セロンは本当に演じる役の幅が広くて、今回は3人の子育てで心身ともに疲れ果てたお母さんの役。
思春期入口の娘、問題行動のある息子、それに生まれたばかりの乳児の世話をする姿は見ているこちらが苦しくなるほど。
これをこの役のために相当体重を増やしたのだろう、シャーリーズが贅肉たっぷりのおなかをさらしてリアルに演じる。
夜間だけのベビーシッターに助けられる話はラスト、なるほどとなるが、お母さんはどこの国でも大変だなと納得させられる。地味だけれどいい映画だ。
せっかくイタリアの飛行機に乗ったのだから、この後は日本ではもうあまり見られないイタリア映画を選択。
Come un Gatto in Tangenziale (Like a Cat on a Highway)
これはEUのシンクタンクに勤める男の娘と、移民だらけの団地に住む女の息子が仲良くなって、親同士がやきもきしながら近づくというコメディー。
イタリアは階級社会だというのがよくわかって、外国人としては実に興味深い。
中学生ぐらいの子供たちが堂々と付き合って、でも親がどこにでも付いて行くのも面白い。
これが結構面白かったので、同じ男優が主演と同時に監督もした映画も見てみた。
Contromano (Back Home)
真ん中のハゲのおじさんが監督・主演のアントニオ・アルバネーゼ。
ラインナップに2本もあるぐらいだから現在のイタリアの人気俳優なのだろうか。
このおじさん、今度はミラノの靴下屋。老舗らしき店で靴下だけを商っているが、店先でセネガル人が安い靴下を通行人に売り出して商売あがったり。怒ったおじさんはセネガル人を誘拐して車に乗せ、アフリカに送り返そうとする。
一応コメディーだがあまり笑えるところはなくて、やはりヨーロッパの移民問題の深刻さが際立つ。
アフリカと言っても車とフェリーで行けちゃうし、イタリアは移民に寛容で、法の不備を移民に突かれても対応が遅いからますます増えるんだとか。
それにしても靴下だけの店って、商売になるのかな。
4本の映画を見ている間には
おにぎりかサンドイッチのスナックが出て
ローマ到着前にはこんな軽食。
ハムがおいしければ長時間のフライトの後はこんなものでちょうどいい。
やたらに多い料理関係のテレビ番組(すべておじさんが料理人)を見るうち、12時間でローマ到着。
乗り継いだバーリ行きのA320は飛行時間50分なので飲み物が一杯でただけでも良かったとしよう。
帰路も同じ飛行機で
当然飲み物一杯。
成田行きB777は沖止めで、今度はお客の9割が日本人ながらやはり満席。
今度のフライトでは食事の前に飲み物サービスがあったが、
その後に出たこの機内食はひどかった。
またもやチョイスなしで渡された和食のご飯はべちょべちょ、チキンは薄味というより味がなく、副菜には猫の餌のようなツナが載っている。
友人が食べたイタリアンはトマトソースと少しのチーズが乗ったパスタがカピカピでさらにひどかったらしく、ホームベース発でこの機内食はグルメ国の名がすたるだろう。
と文句を言いながらまた映画。
今度は韓国映画で
ゴールデン・スランバー
2010年の日本映画の翻案だそうだが、オリジナルは見ていない。
お人よしで事件に巻き込まれる主人公をオリジナルでは堺雅人が演じていたと聞くと、今回の主演のカン・ドンウォンもその演技を踏襲している感じ。
国家のために、と称して情報部が民間人を犠牲にするこのストーリー、日本より韓国の方がリアリティがあるんじゃないだろうか。
スピーディーな展開で、なかなか楽しめた。
さらにまたイタリア映画を一本。
またコメディーで
Io Sono Tempesta (I am Tempesta)
テンペスタとは主人公のおっさんで、投資家というか実業家で大富豪ながら脱税したり、政治家と癒着したりとあくどい事をしている。
弁護士などをこき使ってうまく法の目をかいくぐって来たが、ささいな脱税をどうしても逃れられなくてホームレス救済所で社会奉仕をすることになる。
社会奉仕でホームレスの体を洗ったりしながら、この富豪のおじさんがいつも素敵なシャツやスーツを着ているところがいかにもイタリア。
たわいもないストーリーが甘くて興ざめだが、おっさんのおしゃれを見ているだけでも結構楽しい。
それにしても最近のイタリア映画、若い男前スターはいないのかな。
この後しばらくウトウトしている間にはスナックのサービスもあったようだが、到着1時間前に朝食。
小さなモッツァレラが付いているところがかろうじてイタリア?
しかしこのフライト中、クルーは水一杯配りに来ることなく後部のギャレーでイタリア人乗客と盛り上がり、サービスははっきり言って今年乗った数々の航空会社の中でも最低。
初めてのアリタリアはなぜ破産状態になるのかが実感できるフライトだった。
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