Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

西モンゴルの旅 3 ザナバザル美術館

2019-08-13 18:08:51 | チベット文化圏

7月18日 続き

歴史博物館の前をまっすぐ、しばらく行くと見えてくるのがこちら。
 ザナバザル美術館

今回の旅で実は一番来たかったのがここ。
そんなわけで9時の開館時間の少し前に玄関前に到着したのだが、時間になっても扉が開く気配はなく、脇の門から従業員らしき人が中に入っていく。
開館時間とは出勤時間らしいが、それでもまだ扉が開かないので脇の門の中を覗いて催促、5分ほど遅れてやっと中に入れてもらえた。

 入館料は8000トゥルグ(約320円)だが、写真の撮影料はなんと45000トゥルグ(1800円)と高額。それでもお目当てがあるので支払って中へ。

こっちから見ろと指示された1階には考古学系の出土品や副葬品など。
  
 
何かのゲームやチェスの駒がモンゴルっぽくて面白い。

しばらくしてから2階に上がることを許されたのは掃除が終わっていなかったらしい。
 そこで早速向かったのがザナバザル美術の部屋。
ザナバザルとは17世紀、モンゴルで初めて活仏と認められ、初代ジェブツンダンパとして宗教、政治の指導者となった人。
チベットで仏教を修め、自ら仏像を作ることを得意とした、ということで
 
そのお宝がここにずらり。

中でも中央に安置されているのが一番の傑作とされている白ターラ像。
 
もう何年前になるだろうか、NHK-BSで「仏像100選」と言ったようなタイトルの番組があり、その中でまだ現役横綱だった朝青龍が「一番好きな仏像です」と紹介していた。
その時から一度お目にかかりたいと思っていたターラ女神、ザナバザルが幼い頃に引き離された母親を思って作ったと言われている。

このターラ像はもちろんたおやかで美しいのだが、この左手に並ぶ4菩薩がそれ以上に素晴らしい!
   
 
手や装飾品、衣の模様までうっとり。

 部屋の隅にはザナバザルの手形なるものがあったが、指が長くて繊細な手だ。

続く部屋にはタンカがあるが
 
大きな壁画はどこの寺にあったものか残念ながら状態が悪く、他は20世紀初頭のものが多い。

それよりも次の部屋が圧巻。

ここにあるのも仏画だが、すべてアップリケと刺繍で作られたもの。
チベットやブータンなどでも巨大なタンカがアップリケで作られているが、ここにあるものは技巧が細かく
 
この曼荼羅もすべて刺繍。
 
生き生きとした馬の表現なども素晴らしくて、モンゴルにこのようなものがあるとは知らなかった。

 
これもチベット仏教圏ではおなじみのツァムの衣装だが
 
面がサンゴでできていたりして、これは重くて大変そうだ。

 
階段の上には立体曼荼羅があって、周りに並べられた動物などなんともユーモラス。

 最後はモンゴル絵画の部屋。
ここにあるのも19世紀末から20世紀初めのものだが
 
一つの絵の中に様々な場面を書き込むのが伝統的な表現らしく、
 
やっぱり羊とかラクダとか動物の姿が秀逸。

 中でも一番有名らしいマルザン・シャラフと言う画家の「モンゴルの一日」というこの絵。
 
よく見ると子供の生まれる前(笑)から死んだ後まで、モンゴルのいろいろな場面が書き込まれていて、ユーモアもモンゴル風だろうか、見れば見るほど面白い。
シャラフさん、革命後はプロパガンダ・ポスターなどを描かされることになったそうで、ユーモアを持ち続けることはできたのだろうか。

最後はまたザナバザルさんの仏像をじっくり見せていただいて、この美術館を堪能。
仏像以外にも見どころが多くてとても良かったが、2時間近くいて訪問者は最後まで自分一人。
もったいない。


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コメント (3)
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