涼しくなると恋しくなる日本の温泉、春に行った塩原で「秘湯を守る会」の4冊目のスタンプ帳がいっぱいになっていたので、ご招待期限の来る前に、と近場の山梨へ。
本命は超絶ぬるすべ浴感の奈良田温泉だったのだが、なんと今年10月の台風で道路が分断されてしまって休館中(12月に入ってから再開した模様でほんの一足違い)。
そこでさらに行きやすい「雲峰荘」さんに無料宿泊をお願いした次第。
今回も友人との二人旅、出発はゆっくりとお昼過ぎの「かいじ」に新宿から乗車。
塩山へはお弁当を食べているとあっという間に着いてしまう。
塩山駅前からバス30分で大菩薩峠入り口。
3年ぶりに訪れたお宿の外観に変化はなし。
ご招待である旨を告げると宿のおばちゃん、「初めてじゃないならもうわかってるわね」と何の説明もなく、帳場からすぐの1階の部屋を開けて「はい、ここね」で案内終了。
この大雑把感がこの宿らしい、と笑いながら入ると
部屋は10畳で広々。やっぱりご招待はちょっと待遇がいいのかな。
テーブルの上にはタッパーがあって、開けてみるとなにやら石鹸かレンガのような紫色の塊。
説明を読むとこれが黒米のお餅。
ロビーの囲炉裏で焼いて食べよ、とあったが、お腹いっぱいになりそうなので持ち帰って食べたら、これがほんのりと甘くてとてもおいしかった。
さて、それではせっかくの紅葉の季節、暗くなる前に、と湯あみ着を借りて露天風呂へ。
幸いにして他のお客さんはおらず、ぬるめのお湯にどっぷり。
無色透明で匂いもないこちらのお湯、Ph9.9のアルカリ性だがつるつる感はそれほどなく、しかし柔らかいお湯はとてもリラックスできて、なにより飲むととてもおいしい。
夕食は大広間で18時から。
魚はアマゴのお刺身や塩焼き、もう寒いので暖かいうどんにお鍋がついて、他に野菜の煮物も来た。
デザートの桃のシャーベットがうまーい!
夜は小さなお風呂、朝は大きなお風呂に入って
朝食は黒米のごはんにアローカナの卵かけ。この宿の食事は出来合いのものなど一切出さず、素朴だけれど家庭的でほっとするおいしさなのがとてもいい。
ロビーの囲炉裏の前には相変わらず充実したお土産物売り場があって、この他にも柿やらかぼちゃやら、近所で採れた農作物も売られている。
前回おいしかったケーキもあったので、ジャムと一緒にお買い上げ。
で帳場で清算をしていると、「昨日はここから泥棒するお客さんがいたのよ。警察にも来てもらった」と言うのでびっくり。
聞けばなんと我々の隣の部屋に宿泊していた一人旅の中年男、夕食の最中に中座していたが、その時に野菜やら瓶物やらバッグに入れて持って行ったのをちゃんと防犯カメラで押さえていたらしい。
「うるさかったでしょ」と言われたがテレビでチコちゃんを見て笑っていた我々、まったく気づかず。
こんなにのんびりしたお宿でせこい泥棒するなんてとんでもない奴、と思うが、カメラで見張っているとは、宿も意外にしっかりしている(笑)。
強烈な個性はないがなにげに面白いこの宿、やっぱり好きだな、とチェックアウトして、バス停の前のお店でよもぎ餅を一つ購入。
これがまた中の餡子までおいしくて、のんびりしたい時はまたここに来よう。