9月12日
キツネ村から次のバスまでは1時間もあるが、お茶を飲むところもないのでタクシーを呼んでもらい、10分ほどで今夜の宿泊地、鎌先温泉へ。
やってきたのは「最上屋旅館」さん。
寛政元年創業の老舗だそうで、風格ある本館は昭和の初めの建物ながら江戸時代の骨組みが残るのだそうな。
チェックインしたフロントの前には立派な階段があるが、日本人かと思うほど流暢な日本語のネパール人と思しきお兄さんに案内されたのはさらに奥の階段を上がった新館のお部屋。
この狭い廊下に面した扉を開けて入るとまずは低い応接セットがあって
その横の元押し入れと思われるところにトイレ、隣に洗面台。
8畳の部屋の2面がバルコニーになっていて
すぐ隣がお風呂のある自炊棟、その先にも建物が続いていて横に細長い大きな旅館だ。
裏には大きなホテルが見えるが、後で確認するとここは既に廃業していた。
風格ある建物なのでまずは館内見学をさせていただくと
きれいにリフォームされた洗面所の先が本館の廊下。
こちら側の方が建具など凝った造りで、開いていた入り口からちらりとお部屋を覗かせていただくと部屋ごとに意匠が違って雰囲気がある。トイレなしでもこちらのお部屋にすればよかったかも。
さらに温泉街も散歩してみようと外へ。
最上屋さんの前にも別の旅館があり、そのお向かいにはおしゃれなカフェ兼売店があるが残念ながらこの日は定休日。
その先には大きな駐車場があって、端にバス停が見える。
待合所の中にはいつからあるのか、古い本がいっぱい。
近くにはこけし工人案内の看板も見えるが、他にはお店などまったくない。
宿の前に戻って自炊棟の先へ行ってみると
右手にはモダンな建物、左手には立派な木造3階建ての建物が見えて
その隣の建物も大正から昭和の初めに作られた登録有形文化財とのこと。こちらは「湯主一條」さん。現在の宿泊棟は最近建てられたモダンな建物だけれど、食事処は旧館の中にある、と玄関にでてきたお兄さんが説明してくれた。
温泉街は予想以上に小さくて、これで散歩は終わり。
それでは鎌先温泉に入りましょう、と浴場へ行くと
簡素な廊下の先、レトロな洗面台の並ぶ向いに男女別の浴室が2つ。
夕方に女風呂になっていたのは「三宝の湯」。
扉を開けると真ん中の衝立の左右に脱衣棚があり、浴室への扉も2つある。
お風呂は一度に10人ほどは入れそうなほど大きく、浴室に入ると金気臭が鼻を突く。
茶色い薄濁りのこちらのお湯は含芒硝食塩泉とのことで、お湯をなめてみると金気よりも塩気を感じる。源泉は36℃ほどなので加温しているそうだが消毒や循環はなし。入れば柔らかくて気持ちのいいお湯だ。
食事は1階の個室で。
入ってみると広い部屋に飾り物がいっぱい。
料理はほぼすべて既に並べられていて、ご飯のお櫃が発泡スチロールの箱に入っていたのには驚いた。
前日の凝ったお料理に比べると家庭料理っぽく可もなし不可もなし。
夜は暑くて冷房が必要だった。
9月13日
朝は浴室が入れ替わって「東光の湯」。
こちらは三宝の湯の3分の2ほどの大きさだがお湯の気持ち良さは変わらず。こちらにはおなじみ「秘湯を守る会」の提灯がかかっている。
朝食も前夜と同じ個室で。
スタンダードな旅館の朝食だが、お料理がどれも手作りなのはうれしい。
大きな旅館だけれど現在使われている部屋はかなり少なそうで、それでも手が足りないのだろう、かなりそっけない対応だったのはいささか残念。
しかし3泊、まったく違う泉質のいい温泉に入れたので移動した甲斐があった。
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