Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

スコットランド紀行 22 Unst島ツアー前編

2024-07-29 15:27:58 | ヨーロッパ

5月30日

Unst島の緯度は北緯60度、昨年11月に行ったNZの亜南極の島々よりも高緯度にある。
なのでこの時期、日の入りは22時過ぎ、朝の4時前には日の出なので夜中に目を覚ましても外は真っ暗ではない。夏至の頃にはほぼ白夜になるらしい。

眼は早く覚めるが、朝食は7時45分から。
 
この宿のオーナーは70代の男性だが、自ら朝食を用意してくれる。
聞けば生まれも育ちのこの島、最初は昨日行った店でパンを焼いていたが、その後はこの島にあった軍基地でヘリのパイロットをしていたとか。奥さんを亡くして今は一人でこのB&Bの切り盛りをしている。

8時45分になって、お願いしてあったこの島のネイチャーガイドが車で来てくれた。
今日一日案内してくれるのはイングランド出身の中年男性。鳥好きが高じてこの島に移住したそうだが、日本にも鶴居村のタンチョウなど、鳥を見るために何度か来たことがあるとのこと。

出発して最初に車を停めたのは宿から遠くない桟橋。この辺りでカワウソが見られるかもしれないということで寄ったのだが
 
桟橋で日向ぼっこをしていたのはアザラシたち。

もう一か所、カワウソ・スポットはバイキングの家と船が再現されている所。残念ながらここでもカワウソの姿は見えなかったが
  
 
シェトランド人はバイキングの末裔を自任していて、冬にはこの島も含めてあちこちで「Upp-Helly-A」と呼ばれる火祭りが行われるのだそうだ。

次に向かったのは島の北端にある Harmaness自然保護区。
  
門を入った先には木道がずっと整備されていて
 
  
周りは秋になればヒースでピンクに染まるとのこと。ところで「ヒース Heath」とは厳密にはここのような低灌木の生える荒れ地のことで、ピンクの花が咲く植物は「Heather」なのだそうだ。知らなかった。

 ワタスゲなど見ながら歩くこと1時間ほど。
 
高い崖の上に出た。

  
 
崖っぷちでは羊たちがのんきに海を眺めていたりするが
 
ここから見える岩の上の灯台、Muckle Flugga こそ英国最北端。ここは島になっていて、作家のスティーブンソンのおじさんが設計した灯台は今でこそ自動制御だが少し前までは灯台守がいて、海が荒れた時など何週間も閉じ込められることもあったとか。
ここまで天気のおかげでシェトランドに来ても思いのほか暖かかったが、さすがにここは北極からの風が直接吹いてきて寒い。

さて、この崖の上には他にも観光客がたくさんいるが、ここが有名なのは鳥、中でも Gannet の大営巣地だから。
 
頭が黄色く、目の青い Gannet は飛ぶ姿もカッコよく、少し先の崖の下を覗くと
  
白いゴマ粒はすべて Gannet。
 
 
鳴き声と糞の匂いがすごくて圧倒される。

もう一つ、ここはかわいい Puffin もたくさん見られる所、のはずだったのだが、この日はどういう具合か一羽も見られず。
「この間は草地にいっぱいいたんだけどねえ」とガイド氏。空港近くで撮った花の中の写真を見せると「こんな写真を撮りたくて何日もここに通う人もいるよ」と、初日はよほど運が良かったらしい。

 来た道を戻ると草地にいたのは Skua (トウゾクカモメ)。
これもたくさんいたらしいが、最近の鳥インフルエンザの影響で今年はとても少ないとか。

緯度は高いがこの島はメキシコ暖流のおかげで冬でもほとんど雪は降らないとか、自分たちのように他から移住してくる人間もいるが若者は高等教育のために島を離れるとやっぱり帰ってこないとか、ガイドさんと歩くといろいろ聞けて面白い。


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コメント (2)
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