中崎山荘でお湯を堪能した後、ロープウェイ駅の前から今夜の宿に電話。
一番近いバス停まで迎えに来てもらえると思ったら「そこまで迎えに行きます」とのこと。
10分も待たずに若旦那とおぼしきお兄さんが来てくれておしゃべりするうち宿に到着。
「秘湯を守る会」の提灯と狸が迎えてくれる「槍見館」
記帳をするとすぐに囲炉裏端に案内されるが、築200年の庄屋屋敷を移築したと言うこちらの天井が美しい。
案内を聞きながらいただいたクッキーとホットレモンも美味。
帳場の前には飲み物が冷やされているが、これは飲んだら帳場のノートに記入する自己申告制。
階段を上がって小さな読書スペースの脇の今夜のお部屋へ。
10畳のお部屋にはすでに布団が敷かれ、暖房がよく効いているうえにこたつまである。
この部屋も天井の梁が立派で、窓からは宿の前を流れる川の対岸が見えるだけだが、窓際に置かれた椅子の座り心地がとてもいい。
一息入れたら早速お風呂へ。何しろこの宿にはお風呂がたくさんあるのでのんびりしてはいられないのだ。
食事処の前の長い廊下を通り、階段を2つほど降りて、内湯の脇をさらに降りていく。
外湯への階段には大きな石が並べられているが、これは草履では危なっかしくて、ここは足の悪い人には厳しそう。
まず向かったのは混浴ながらこの宿自慢の「槍見の湯」。 脱衣場はちゃんと男女で分かれているし、部屋には湯浴み着が用意されているので女性専用時間でなくても問題なし。
大きさは15,6人は入れるだろうか、思ったほど大きくはないが確かに前方に槍ヶ岳が見えて、40℃のお湯なのでゆっくり入っていられる。
温泉は無色透明、無味無臭の単純泉。くせがなさ過ぎて真湯のようだが、この景色は代えがたい。 よく見るとさっき乗ったロープウェイもしっかり見えて、向こうからも望遠鏡でも使えば見えるだろう(笑)。
幸いにして他のお客さんはどなたもいらっしゃらなかったが、 すぐ隣にあるので女性専用の「岩見の湯」にも行ってみる。
こちらは周りをしっかりよしず張りの壁で覆われているのだが、正面にはちゃんと槍ヶ岳が見えるように作られていて、洞窟の中のようなこの岩風呂はおこもり感が気持ちいい。 さらにもう一つの混浴露天、「まんてんの湯」へ。
こちらもちゃんと脱衣場が分かれていて、女性側から入ると途中に大きな岩があるので入りやすいが
浅くて大きいせいかお湯がぬるくて、川べりにカップルもいらっしゃったので早々に退散。 この先はそれほど広くはない敷地だが4つも貸切風呂があって、ちょうどどれも空いていたので写真を撮らせてもらい、夜から明朝までにすべて入ってきた。
まずは「渓流の湯」。
貸切風呂はどれも「空いています」の札があれば入ることができ、この札を鍵にする。
この仕組みは北海道の「銀婚湯」と同じ。お風呂の造りなどもおそらくあちらを参考にしたのではないかと思われる。
ここは名前の通り川のすぐそば。八角形の湯舟は二人でやっとという大きさだが、その分かけ流しのお湯の新鮮さはたぶんここが一番。
もう一つ川沿いにある「播流の湯」。
こちらは4,5人は入れる大きさで、石造りではあるが中に木のベンチがあるので座り心地よし。 こちらは露天ではない「森の湯」。
ブランコや滑り台があって子供連れを意識しているような造りだが、すべて木の浴槽が気持ち良くて夜入ると落ち着く。
最後の「ほたるの湯」も屋内の貸切。風情のある造りだがコンクリートの浴槽は座ると肌触りがあまり良くなくて、ここはいまいち。
最後に内湯はこちら。男女で上下になっているが入れ替えはなし。
浴槽が2つある、大きい方は自家源泉の槍見の湯でこちらはちょっとぬるめの単純泉。小さい方は共同の混合泉で炭酸水素塩泉だそうだが、1,2℃温度が高い他はあまり違いは感じず。
ここも大きな窓から槍ヶ岳がばっちり見えて、槍見館の名前に偽りなし。
あちらこちらと入りまくって、夕食は18時半から食事処の個室で。
まずはどぶろくととんぶりのかかったモッツアレラをいただき、
前菜は山菜がいろいろ。土瓶蒸しにはイワナと鶏肉が入っていて、お出汁がおいしい。 お造り代わりに飛騨牛の冷しゃぶサラダ。
炭火焼のイワナの上に載っているのは紅ショウガのてんぷら。
牛すじと野菜のスープ仕立てが来て、囲炉裏の陶板で焼かれていたのは漬物焼き。岐阜の名物だそうだが、漬物に溶き卵をかけてバターを乗せて焼くのでまるで漬物っぽくない。 さらに飛騨牛のすき焼きが来て、この2日間でどれだけ飛騨牛を食べたことか。普段さしの入った牛肉は好きではないのだが、しつこさを感じずにペロリと食べてしまったのはさすがブランド牛だからか。
最後にイチゴプリンまで完食してしまって、もうお腹ははちきれそう。
どの料理もとてもおいしくて満足だったが、残念だったのはお給仕の中国人のお姉さんが料理の説明などまったくできず、漬物ステーキなどどうやって食べるのかわからなかったところ。
しかし記帳の時に若旦那とスタンプ帳にあった「白根館」の話になり、人手が足りなくて閉館するらしいと言うと「うちもそうです~」と辛そうに言っていたのを思い出すと責める気にもならない。
料理長のためにも、お姉さんにはがんばっていただきたい。 ←人気ブログランキングへ一票、お願いします。
槍愛あふれる記事で感動しました。
真っパでお湯につかりつつカメラを構えるLuntaさま
かっこいいです!
秘湯を守る会はどんどん少なくなってますね。
秘湯を守る会を守る団体が出てきてほしいです。
お風呂用に、というわけじゃないけどコンデジも完全防水仕様。
日本の温泉旅館は世界の宝ですからね、がんばっていただかないと。
しかしこちらの槍見館でさえ日によっては外国人ばかりのこともあると聞きびっくり。
現在のコロナ騒ぎで旅館がますます減るのではないかとまじで心配しています。
この辺りの人にとって、槍ヶ岳は富士山のような存在なんでしょうね。
最近外国人の店員さん、多いですよね。
そういえば私が高い山を訪れた時も、仲居さんの一人は中国の人でした。
中国からの観光客が多いからなのかと思っていたけれど、人手不足ということもあったんですね。
観光業界、コロナで大打撃でしょうね。
旅館で外国人の仲居さんは本当にもうどこへ行っても当たり前になりつつあります。
拘束時間が長くて重労働、地方ではそもそも若い人がいなかったりするので人手を確保するのが大変なのだそうです。
それでなくてもいい旅館の閉館が続いているので、コロナはえらいことです。とにかく早く終息してほしい。