Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

「ポンペイ」展@東京国立博物館

2022-03-06 13:32:23 | 機内食・映画・美術展

昨年買ったトーハクのメンバーズプレミアムパスももうすぐ期限切れ、鑑賞券が一枚残っていたので晴天の上野に行ってきた。

 
現在開催中なのはナポリ国立博物館からやってきた「ポンペイ」展。

 
入るとすぐに噴火の様子を伝えるビデオがあり、倒れた人型の石膏像。子供の頃、考古学の本を読むのが好きで、被災した人の形に残った穴に石膏を流したと読んだっけ。
しかし悲惨な展示はこれだけ、後はもちろん灰に埋もれたおかげで保存されたローマ時代の町からの出土品で
 今回はありがたいことにすべて写真撮影可。なので場内はカメラを持ったお客さんで一杯。

ローマ遺跡は地中海沿岸にいっぱい残っているので、イタリアはもちろん、トルコやアルジェリア、リビアとずいぶん見てきた。しかし町の遺跡自体は金太郎あめのようにほぼ同じ造りなので、いくつか見ると正直飽きてしまう。
興味を感じるのは床に残っているモザイクぐらいなのだが、さすがポンペイでは保存状態が良くて
 
  
 
見事な細工の絵柄も多彩で楽しい。

面白いのは「猛犬注意」のモザイク。
 
右が特に有名らしいが、これなら犬がいなくても飾りたくなっちゃう。

ポンペイならではなのは普通では退色してしまうフレスコ画の美しさ。
  
 壁は赤く塗られることが多いらしく
 
お屋敷や部屋の再現模型がわかりやすくて良い。

調度や工芸品もさすが贅沢な品が多いが
  
  
 
ブロンズ製とは言え水道のバルブなど現代の物かと思うほどだし
 
タコ焼き機(笑)や調味料入れは今でも使えそう。

  
 
装飾品などこのままほしい。

女性像に残る金箔の飾りもとてもおしゃれだけれど
 
有力者だったらしい男性は頭部と男性器だけというのが独特の趣味。ポンペイは男性器信仰が強くて、現地に行ったことのある同行の友人によるとナポリ博物館にはいっぱい展示があるそうだが、東京ではこれだけ。文部省推薦、お子様OKの展示内容だ。

予想以上に充実した展示を見終えてお土産売り場を覗くと
 
炭焼きになったパンのクッションって、この趣味もよくわからない。

ナポリにも行きたいが、コロナが落ち着いても今の状況ではヨーロッパに遊びになど行けるようになるかどうか。
誰かプー公をどうにかしてくれ。


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22年厳冬の東北 5 津軽鉄道ストーブ列車

2022-03-05 17:03:17 | 国内旅行

1月19日

ヤマニ仙遊館の朝食は本館の1階で、雪のお庭を見ながらいただく。
  
 
「津軽のかっちゃおかず」はひじきや切り干し大根の煮物など名前の通りかあちゃんの定番おかずだけれど、大鰐温泉もやし炒めとお味噌汁にもたっぷり入っているのがうれしい。

チェックアウトをしたら駅前の鰐.comへ。
 こちらの売店でまたもやしを買おうとやって来たのだが、なんと朝一ではまだもやしが納品されていないという。何時になるかわからないと言うが、列車の時間ぎりぎりまで待とうと他の商品など見て時間をつぶしていると、うれしや、9時半にもやしが入荷。
 
ついでに町の味噌醤油屋さんのりんご醤油なども買って荷物が重くなった。

次の列車は9:50発なので急いで駅に行くと、秋田方面が大雪とのことで列車は20分遅れ。
次の弘前での乗り継ぎが元々21分なので間に合うかどうか、気が気ではない。
 雪まみれの列車に乗り込んで、
弘前駅に着くと出発3分前、階段を駆け上がり駆け下りてぎりぎりで五能線に乗り継げた。
 
ホッとして見るリンゴ畑の向こうの岩木山の美しいこと。

乗車40分で五所川原駅到着。
  
ここから11:50発のストーブ列車に乗るためにどうしても先の列車に乗る必要があったのだ。

 ストーブ列車の津軽鉄道の駅はJRの駅のすぐ隣にちんまりとくっついている。
 
待合室にもストーブが置かれ、時刻表はいまだに漢字表記。
 
五所川原から終点の津軽中里までは870円、他にストーブ列車券が500円かかる。

この小さな駅舎内には売店があって、津軽鉄道グッズの他に五所川原農業高校の商品もいろいろ売っている。
  
 
さらに駅舎の隣のこれまたレトロな建物内にも売店併設のカフェがあるので、出発までの時間はつぶせた。

出発の10分ほど前に改札が開き、JRの駅をまたいで津軽鉄道のホームへ。
  
ストーブ列車の入り口ではアテンダントのお姉さんがお出迎え。
 その先のもう一車両にはストーブがなくて地元の人たちが乗り込む。

 この車両は一体何年使われているのだろう、木の床に網棚、天井の丸い蛍光灯も懐かしい!
 
そして売り物のストーブは1車両内に2つ、車掌さんが石炭をくべる。おかげで車内はホカホカ、ストーブの前の席では暑すぎる。

この日、この車両のお客さんは8人だけ。いささか寂しいが、おっちゃんの4人組がお酒も入っていい気分、アテンダントのお姉さんにいじられて笑いを提供してくれる。
 
他に車内販売のお姉さんもいて、自分は150円の冷たいリンゴジュースをいただいたけれど、売りはもちろんスルメ。
 
これを軍手をはめたお姉さんたちがストーブで炙るので車内はスルメの香りが充満。車掌さんは「経営の厳しい津軽鉄道です」とグッズの販売もして忙しい。

 ゆっくり進む車窓は雪で真っ白。この時期に岩木山が見えるのは珍しいのだそうで、「窓枠も入れて撮った方がいいですよ」などアテンダントさんは写真のアドバイスまでしてくれる。

このアテンダントのお姉さん、出発からずっとしゃべり続けるのだが、「実際沿線にはたいしたものはないんです。ネタをしぼりだしてご案内しています」などと実にうまくて退屈させない。

 
途中には20年以上も前にスマップの香取慎吾がTVの企画でペイントした車両があったり
 
金木駅の手前からは太宰治の生家の屋根(大きな赤屋根の隣)が見えたり。
 
この金木駅ではおばあちゃんがハーモニカで客を迎え、行き違う列車のために駅員さんは今時珍しいタブレットを持っている。

 
雪に埋もれた駅舎など過ぎるうちに岩木山も遠くになり
 
終点の津軽中里駅に到着。ここまでわずか20キロ、41分の乗車時間だったが期待以上に面白かった。

 一緒に乗って来た皆さんはどうやらまた来た道を戻るようだが、自分は乗合タクシーをお願いしておいた。ここから新幹線駅の奥津軽いまべつまで、以前はバスがあったそうだが利用者が少なすぎて廃止になったとのこと。
 雪道を50分、メーターで行けば1万円以上はかかる所を2400円で行けるのだから助かる。

道中お話し好きの運転手さんとなぜかお相撲の話になって、地元出身の宝富士は息子の同級生、阿武咲はその後輩とのこと。宝富士は子供の頃から体は大きいけれど優しくて気が弱く、阿武咲は有名な悪ガキだったのを相撲部屋の親方に更生してもらったとか、うちわ情報は面白い。

 
到着した奥津軽いまべつ駅は北海道新幹線のために2016年にできた駅だが駅前には何もなく、全国の新幹線駅の中でも利用者が最も少ない駅なのだとか。
 
エレベーターで上に上がり、改札を通るとまたエレベーターでホームに降りなければならなくて、写真を撮っていたりしたらまたギリギリになってしまって焦った。何しろこの駅、1本逃したら次は2時間後なのだ。

乗り込んだのはたぶん自分一人、降りた人が2,3人で、さすが一日の乗降客が60人の駅。
なにかとギリギリの一日だったけれど
 
車内で五所川原のカフェで買った若生おにぎり弁当を開いてホッ。

今回も楽しい大人の休日だった。


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日比谷でイギリス映画二本立て

2022-03-01 12:32:17 | 機内食・映画・美術展

めったに映画館に足を運ばないくせに、一本見ると予告編につられてまた来ちゃうといういつものパターンで日比谷へ。

まずは日比谷シャンテで
 「ゴヤの名画と優しい泥棒」 The Duke

日本語タイトルがダサいが、原題のDukeとはゴヤが描いたウェリントン公爵のこと。
ナショナル・ギャラリーが当時としては大枚をはたいて買取り公開した所、わずか19日後に盗難にあってしまったという、これは実話なんだそうだ。

時は1961年、その頃は防犯システムも何もなくて、はしごでトイレの窓から侵入、誰にも見られることなく絵を運び出すなんて、今では考えられないほどのんびりしている。

映画の冒頭、タイトルバックからしてスプリットスクリーンに文字のフォントまで60年代っぽい。
途中に登場するロンドンの街頭風景は古いフィルムを加工し、役者をはめ込んでいるのだろうがこれがうまい。特殊技術とはこういう風に使う物よ。

主人公は60代のおっさんなのだが、売れない戯曲を書き、社会正義を語る変わり者。
その主張の一つがBBCの受信料を老人にはタダにせよ、ってどこかでも聞いたことがあるようなものなのだが、このおじさんの場合には年季が入っているし筋も通っている。
ただし家族はたまったものじゃなくて、苦労する奥さんの役を実際にはゴージャスなデイム・ヘレン・ミレンが地味~な装いで演じていて、おかげで一見軽いこの映画に重みが付いている。すごい。

クライマックスはおっさんの裁判場面なのだが、「これはコメディアンのオーディションじゃない」と裁判長に怒られるほどおっさんの発言はふざけていて、しかしセリフのいくつかは実際の裁判での発言だというから驚く。イギリス人って本当に面白い。

裁判場面では弁護士役で「ダウントンアビー」に出ていたマシュー・グードがかっこよく決めるし、一家の息子役のフィオン・ホワイトヘッドもかわいい。
小品だけれど気持ちよくみられる映画。

と気分よく映画館を出て、今日のランチは久しぶりにファラフェルを食べようと以前に行ったことのある中東料理屋に行ってみると、運の悪いことにお休み。
さてそれではどうしよう、と歩いていると、泰明小学校のお向かいにポルトガル料理屋を見つけた。
 地下にある「ヴィラモウラ」

店内はちょっと驚くほど広くて、しかし12時少し前に入ったら先客は1組しかいない。
ちょっと不安を感じつつオーダーをすると、すぐに出てきたサラダはたっぷりの量でこれはうれしい。
 
メインのフェイジョアーダは豆が少なくて予想していたブラジル風の物とはずいぶん違うけれど、ほろほろに煮込まれた豚肉がいっぱいでとてもおいしい。
このお店は今まで知らなかったけれどいい感じ。次は鱈を食べに来よう。

で毎度のことで映画のはしご、次はミッドタウンに移動して
 「オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体」

副題が語っている通り、死体に偽文書を持たせてドイツ軍に渡し、シチリア上陸作戦から敵の目をそらせたという、これも実話だというからびっくり。しかも作戦名が「ひき肉」ってブラックすぎると思うがこれも実際の名前だそうで、まったくイギリス人って。

作戦の第一歩が適当な死体探しと言うことに驚いたが、その後の偽のアイデンティティ作りが周到を極めていて、相手の裏の裏のそのまた裏までかこうとするところ、日本人には絶対にまねできないと思う。

情報局の将校にイアン・フレミングがいてMやQが出てきたり、途中で「本を書かない将校はいないのか」なんてセリフがあって笑う。
死体がスペインに計画通り漂着しながら、なかなか思うようにドイツ側が動いてくれなくてやきもきするあたりもスリリングながらおかしい。
しかし全体のトーンはかなりシリアスで、これはもっと軽くしても良かったのじゃないだろうか。

主演のコリン・ファースはさすがに年を取ったと思うが海軍士官の制服姿はかっこよすぎ。
制服フェチにはたまらないが、部下の女性とのロマンスはいらなかったと思う。

いささかもったいないところはありながら、元ネタの面白さで最後までだれることなく見られる。

2本続けて見て、やっぱりイギリスは面白い。


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