今日の中国新聞社説で、またしても呆れた主張が掲載されていた。パリ協定が発効したことに対して、日本は出遅れ挽回せよという記事だ。もちろん、パリ協定の批准に出遅れたことは、我が国の外交政策上もデメリットが大きく、早期に批准しないと、諸外国からの風当たりは強くなるのは間違いないだろう。
しかし、記事の内容はおそまつだ。2030年に、13年より温室効果ガスを26%減らすという政府目標に関して、石炭火力40基以上の新増設計画があることや30年の原子力割合が20~22%となっていることに異論を唱えている。そして太陽光などの再生可能エネルギーが22~24%になっているのがいかにも少ないという書きぶりは、反原子力マスコミには、お決まりといっていいものだろう。
しかし、現在の電力需要を再生可能エネルギーで賄うことは不可能だ。広い範囲で荒天が続くような場合には、太陽光も風力も発電できなくなる。それを補うだけの火力発電設備は不可欠だが、普段は動かないような設備を誰が持つのか?
そして、一番の問題は、再生可能エネルギーのコストの高さだ。現在FIT制度という悪法で、とんでもなく高い電気を買わされている現状をなぜもっと報道しないのか。再生可能エネルギーを増やすのも結構だが、電気代の高くなった分や、再生可能エネルギーが発電できなくなったときのための火力発電所の費用を中国新聞が出すというのならわかるが、とてもそのような覚悟はないだろう。
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