晴、12度、41％
黒い色のはちみつを買ったのはずいぶん以前の香港でした。フォッションの「松のはちみつ」でした。フォッションの紅茶の缶が金色の頃、新生フォッションになる前のことです。当時はアップルティーに凝っていましたので、足繁くお店に通いました。お値段が安くなっていたので買い求めた「松のはちみつ」です。興味津々で家に持ち帰りました。蓋を取ると松ヤニの匂いがします。かなり強い匂いです。ぐっとこらえて一口、甘いのですがスモーキーなその匂いに圧倒されます。美味しいとかいう前の匂いです。主人にも息子にも出さず、一人でひと瓶食べました。今だったら料理の艶だし、隠し味にと使ったに違いありません。滅多に見ない黒っぽいはちみつですが、以来苦手だと思っています。
主人が香港から持ち帰るのはスペイン産のはちみつです。とても滑らかで種類も豊富でどれを取っても純度の高いはちみつだと感じます。先日持ち帰ったひと瓶に黒っぽいはちみつがあります。松のはちみつではありません。「森のはちみつ」、特定できない木々の花から作られたはちみつです。色が黒いのでおそるおそる開けてみました。匂いは松のはちみつのように強くはありませんが、ウッディな香りです。一口食べるとこれまた癖のあるお味です。お味も「松のはちみつ」ほど癖があるわけではありません。「オレンジ」「ユーカリ」の澄んだ黄色のはちみつより先にこれを喰べあげようと思います。毎日二さじほどペロペロ。味の癖はコクに感じます。匂いは燻製のチップの香り。この黒っぽい「森のはちみつ」が好きになりました。癖に虜にされました。大雑把に言えば、黒砂糖と白砂糖の違いです。
手元にあるはちみつです。スペイン産が3つ。頂戴した「HATI」のローズマリーのはちみつが一つ。日本の「HATI」のはちみつはびっくりするほどお値段が高いものばかりです。大事に取ってあります。はちみつと一緒に石鹸もいただきました。
毎日、はちみつをペロペロしていますと、それぞれの味や香りの違いに目覚めます。ハチがセッセっと作ったはちみつを横取りして申し訳ないと思います。ヨーロッパでは黒い色のはちみつは当たり前に作られているそうです。はちみつ一つで、スペインの森や草原に想いを寄せます。
