ホルムズ海峡付近で発生したタンカー攻撃事件は、懸念された通り、この地域の緊張に油を注ぐことになりそうです。
アメリカとイランの対立など誰もが望んでいないことで、及ばずながらわが国首相が一肌脱ぐことで、たとえ半歩でも緊張緩和に役立てればとの期待があり、たとえ効果がなかったとしても無駄足以上の悪い結果はないと思っていたのですが、どうやらそれは、平和ボケの考えることだったのかもしれません。
事件発生とほとんど同時に「犯人捜し」が始まっています。
アメリカは、早々にイラン革命防衛隊の関与と発表しており、それも、然るべき情報筋などというレベルではなく、大統領自ら発言しているようです。当然、イランは否定し、アメリカ側の関与を主張しているようです。
ごく常識的に考えて、わが国とイランとの関係は悪いとは思われず、両首脳が会談している最中に事を起こすとは考えにくいと思われます。やはり常識的に考えれば、わが国とイランとの関係が強まることに反対している勢力と考えるべきだと思うのですが、そのいう勢力は、イラン側にもいるでしょうし、反イラン側にはもっといることでしょう。
但し、この推定は、狙われたタンカーがわが国に関係している船など承知していること、あるいはわが国とイランとの首脳会談に合わせて実行されたという前提に立っています。
この前提が崩れると、何が何だか分からないという結論に至ってしまいます。
今回の事件と、各地で報じられている紛争やテロといわれるものなどと同種のものと考えていいのかどうか判断がつかないのですが、同種と考えた場合には、明らかに犯行声明が出されるものと、偽の犯行声明も含めて、実行者が絶対に姿を見せないものとに分けられるような気がします。
そして、本当の実行者が声明を出さない事件は、まず、「犯人捜し」は未解決のままに終わるようです。それこそ常識的に考えて100%犯人だとして証拠を山ほど突き付けても、絶対に認めないという事件はたくさんあります。どんなルールがあろうが、それが条約であれ国際的な公約であれ、世界の平和などといったものは、そんなヤワなものでは実現できないみたいです。
まあ、天下の大事件を語るのは、当コラムでは荷が重すぎますが、スケールをもう少し小さくしてみますと、私たちの日常生活において、結構類似した問題があるようにも思います。
近隣のトラブルが、犯罪にまで発展してしまった例も少なくありませんし、泣き寝入りや、転居で解決したという人もいます。
サスペンスドラマなどは、相当残酷なものでも、1時間ないし2時間たてば解決するものですが、日常生活はそれほど残酷ではない代わりに、解決はなかなか難しい場合が多いようです。
いずれにしても、日常生活では、「犯人捜し」だけでは解決できない事が多いことを承知すべきのようです。そして、もしかすると、国家間のトラブルにも、同じ理論が存在しているかもしれません。
( 2019.06.17 )
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