雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

世界の中の日本 ・ 小さな小さな物語 ( 1208 )

2019-12-08 15:46:27 | 小さな小さな物語 第二十一部

八村塁選手の米プロバスケットボールNBAのドラフト会議での1巡目指名は、テレビや新聞などで大きく取り扱われていますが、米国ではさらに大きなニュースになっているようです。
八村塁選手は、父が西アフリカのベナン出身、母親が日本人で富山県で育った八村少年は、小学生の時にはすでに野球で抜群の素質を現わしていたそうです。中学からバスケットに転じ、高校は宮城県、そしてアメリカの大学に進み、今回の快挙に繋がりました。
新聞の記事を参考に紹介させていただきましたが、八村塁選手の21年余りの経歴は、「NBA 日本人初の快挙」などと騒ぐのは、少々的外れのような気がしないでもありません。八村塁選手は、すでに日本人などという枠で考える時期は飛び越えてしまっているように思うのです。

スポーツ界には、すでに世界を舞台に大活躍をしている選手がたくさんいます。野球界では、米大リーグでトップクラスの選手として活躍している人が何人もいます。サッカー界では、ヨーロッパの国々をはじめ世界中に羽ばたくのはすでに珍しいことではないほどです。
プロ選手としてではなくても、柔道やバレーボール、野球などでも指導者として、その競技の後進国の指導に尽力されている人も少なくありません。
そうした方々の目的は様々なのでしょうが、結果として、「世界の中の日本」という立場に光を当ててくれているのではないでしょうか。

それは何もスポーツ界に限ったことではなく、音楽などの芸術界などでも同じことが言えるでしょうし、研究者となれば、海外に出て活躍されている方も少なくないのでしょが、海外の方が研究環境が優れているという理由が多いという声が聞こえてくるのが残念ですが、そういう場合も含めて、「世界の中の日本」に貢献してくれているのでしょう。
また、海外など全く縁がないという人であっても、たまたま出会った外国人の人に、ちょっとした親切、ちょっとした心遣いが、意外に大きく「世界の中の日本」を輝かせているかもしれません。

もっとも、そうまでして「日本、日本」と主張する必要があるのかという声があります。
しかし、わが国は、アジアの片隅に位置しているという立地から逃れることは出来ません。近隣国との軋轢は絶えませんし、今のところ直接関係していないとしても世界中で紛争が多発しています。先進国とされる国々でも、国内での価値観の対立が激しくなってきています。ここ数年、わが国を訪れる外国人の数は急増しています。それは、外国という存在を無視してわが国が存在することの難しさが増しているということでもあります。
先日行われた国会における党首会談の内容を見ていますと、「2000万円、2000万円」と叫ぶのも結構ですが、外交についてももう少し勉強してほしいと感じました。
折から、大阪でG20が開催されます。会合の成果もさることながら、わが国も「世界の中の日本」としてしか存在して行くことが出来ないことを、勉強したいと思うのです。

( 2019.06.23 )


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 二千万円はともかく ・ 小... | トップ | 立ち止まる勇気を ・ 小さ... »

コメントを投稿

小さな小さな物語 第二十一部」カテゴリの最新記事