マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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別所町極楽寺二日酒

2012年10月06日 07時58分24秒 | 奈良市(東部)へ
金刀比羅神社の月次祭を終えれば社務所で直会。

2時間ばかりの宴である。

おもむろに極楽寺にあがった寺三役。

マツリのトーヤ4人もあがって席に着いた。

三役の前には大きな太鼓と鉦が置かれる。

トーヤ衆が手を合わせて拝む先は別所の殿さんの墓とされる方向だ。

二老であるO氏が語った別所の殿さんの謂れ。

殿さんと呼ばれる人は山田道安の弟にあたる別所宗治。

その息子は半衛門で、その息子を幾千代だと話す。

殿さんが居た時代は戦いに巻き込まれた騒乱の時代。

いつしか別所を離れることになった。

その際に殿さん一族が残した財産は別所の山や田地。

それを元に供養をしてくれと村人に頼んだ。

八月二日は殿さんが亡くなった日と伝えられて毎年供養を営む「二日酒」。

財産とされる田地は耕して収穫する。

作物は年貢。

替金流用して酒を買った。

その酒をトーヤが供えて始まった二日酒のナンマイダ。

直前に花を飾った吊り燈籠に火を灯す。

ローソクと線香に火を点けた。

殿さんの墓に向かって「ナムアミアダッ」と唱えながら二老が打つ太鼓のドンに合わせて一老がチャンと鉦をひと叩き。

次に「ナムアミアダッ」と唱えて太鼓と鉦を二つ叩き。

最後に「ナムアミアダッ」と唱えて太鼓と鉦は三つ叩き。

三仏(さんぶつ)を申した二日酒は12秒間。

こうして殿さんの供養を終えたのである。

それと同時に直ちに吊り燈籠の火を消された。

それでお終いかと思えば、打った太鼓をゴロゴロと境内に転がしていく。



営みを終えるのを待っていた子供らは太鼓を打つ。

なんとも素朴な行事である。

かつては二日酒の夜はイセキの盆踊りがあった。

戦前のことだと云う。

当日の朝は井戸浚えをしていたという。

本来ならば7日の井戸浚え。

集まりやすいこの日に行われたという七日盆の井戸浚えだ。

吊り燈籠の刳り抜き穴は日に月。

イセキ(会式が訛った)の盆踊りがあったというから「殿さん供養」とも呼ぶ二日酒は法要も兼ねた盆の行事であったと思われる。

(H24. 8. 5 EOS40D撮影)