矢田垣内のオショウライサン迎えは13日の夕刻だと聞いていた。
家人が叩く鉦の音が聞こえてくれば「うちも始めよう」と云って門を出る。
M家のご婦人が鉦を叩いていた。
カン、カン、カンの音色が集落に響き渡る。
家先の辻に向かったご家族。
ご主人は藁の松明を持っている。
叩き続ける鉦の音が響くなか松明に火を点けた。
火が点けば松明を大事に抱えて家に戻っていく。
そして、玄関先で線香に火を移す。
その絶え間なく鉦を叩き続けている。
ご先祖さんを迎えた線香は仏壇に置かれた。
当家の縁廊下には台座がある。
そこには大きな葉が一枚。
ハスでもなくドロイモの葉でもない。
奈良大和で見られるオショウライサン迎えの葉はハスやドロイモだけだと思っていたがそうではなかった。
その葉は家先に植生している桐の葉だという。
この時期になれば隣近所の人たちが貰いにくるという桐の葉にはササゲのオカイサン(お粥)を一杯。
小皿に盛った。
スイカは御供だ。
オショウライサンの線香は二本。
台にしたナスに挿す。
ローソクを灯して手を合わせる。
コーヤマキを飾った台は「ホウカイサン」と呼ぶ。
「ホウカイサン」は「オショウライサン」の荷物持ち(運ぶ人)だと話す母親。
昔からこうしているという。
「ホウカイサン」とは一体何者なんだろうか。
家人は充てる漢字も判らないという「ホウカイサン」。
もしかとすればだが、「ホウカイ」は「ホッカイ」が訛ったと考えた。
「ホッカイ」は大重(おおじゅう)とも呼ばれる重箱の一つでホッカイ(行器)ではないだろうか。
四角い形もあれば円筒形もある。
食事の容器などを納める塗りの箱だ。
塗りは黒や朱色が多く見られる。
寄贈された行器は県立民俗博物館で展示されたこともある。
そうと考えれば「ホウカイサン」が見えてきた。
ササギ(ササゲ)豆のオカイサン(お粥)は先祖さんを祀る仏壇に9杯供える。
お盆につきもののソーメンもある。
手前には大きな水器。
シキビを添えている。
今夜は家族揃って仏壇の前でご詠歌若しくは般若心経を唱えるそうだ。
垣内では15日の夕刻に同じような作法で藁松明に火を点けてオショウライサンを送るという。
今では稲藁になったが、昔は麦藁だったと母親は話す。
当時は二毛作であったのだろう。
取材を終えて立ち去ろうと思ったときだ。
「良ければオカイサンを食べていき」の一言。
同家のありがたいご厚意を受けてよばれたササギ(ササゲ)豆のオカイサン。
アズキの味と違ってコクもあり、さっぱりして美味しいものである。
この場を借りて御礼申しあげる。
さて、当家の玄関に貼られていたお札に目がいった。
「十二月十二日」のお札だ。
話によれば、親戚筋が結婚式をあげた菊水楼にあったという。
そこで聞いた話が泥棒除けだった。
ありがたいお札を貼っていたが現在は中断しているという。
(H24. 8.13 EOS40D撮影)
家人が叩く鉦の音が聞こえてくれば「うちも始めよう」と云って門を出る。
M家のご婦人が鉦を叩いていた。
カン、カン、カンの音色が集落に響き渡る。
家先の辻に向かったご家族。
ご主人は藁の松明を持っている。
叩き続ける鉦の音が響くなか松明に火を点けた。
火が点けば松明を大事に抱えて家に戻っていく。
そして、玄関先で線香に火を移す。
その絶え間なく鉦を叩き続けている。
ご先祖さんを迎えた線香は仏壇に置かれた。
当家の縁廊下には台座がある。
そこには大きな葉が一枚。
ハスでもなくドロイモの葉でもない。
奈良大和で見られるオショウライサン迎えの葉はハスやドロイモだけだと思っていたがそうではなかった。
その葉は家先に植生している桐の葉だという。
この時期になれば隣近所の人たちが貰いにくるという桐の葉にはササゲのオカイサン(お粥)を一杯。
小皿に盛った。
スイカは御供だ。
オショウライサンの線香は二本。
台にしたナスに挿す。
ローソクを灯して手を合わせる。
コーヤマキを飾った台は「ホウカイサン」と呼ぶ。
「ホウカイサン」は「オショウライサン」の荷物持ち(運ぶ人)だと話す母親。
昔からこうしているという。
「ホウカイサン」とは一体何者なんだろうか。
家人は充てる漢字も判らないという「ホウカイサン」。
もしかとすればだが、「ホウカイ」は「ホッカイ」が訛ったと考えた。
「ホッカイ」は大重(おおじゅう)とも呼ばれる重箱の一つでホッカイ(行器)ではないだろうか。
四角い形もあれば円筒形もある。
食事の容器などを納める塗りの箱だ。
塗りは黒や朱色が多く見られる。
寄贈された行器は県立民俗博物館で展示されたこともある。
そうと考えれば「ホウカイサン」が見えてきた。
ササギ(ササゲ)豆のオカイサン(お粥)は先祖さんを祀る仏壇に9杯供える。
お盆につきもののソーメンもある。
手前には大きな水器。
シキビを添えている。
今夜は家族揃って仏壇の前でご詠歌若しくは般若心経を唱えるそうだ。
垣内では15日の夕刻に同じような作法で藁松明に火を点けてオショウライサンを送るという。
今では稲藁になったが、昔は麦藁だったと母親は話す。
当時は二毛作であったのだろう。
取材を終えて立ち去ろうと思ったときだ。
「良ければオカイサンを食べていき」の一言。
同家のありがたいご厚意を受けてよばれたササギ(ササゲ)豆のオカイサン。
アズキの味と違ってコクもあり、さっぱりして美味しいものである。
この場を借りて御礼申しあげる。
さて、当家の玄関に貼られていたお札に目がいった。
「十二月十二日」のお札だ。
話によれば、親戚筋が結婚式をあげた菊水楼にあったという。
そこで聞いた話が泥棒除けだった。
ありがたいお札を貼っていたが現在は中断しているという。
(H24. 8.13 EOS40D撮影)