マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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矢田垣内の新仏の(アラ)タナ

2012年10月20日 08時32分26秒 | 大和郡山市へ
昭和30年生まれの当主は云った。

47年ぶりに設える新仏のタナ作り。

当時は小学五年生だった。

斎壇がどんなものかも覚えていない年齢だった。

仕方なく村の長老に教えてもらって作った斎壇は葬儀屋に頼むわけでもなく昔ながらの方法で設えたという。

直径が20cmぐらいもある太いモウソウチク。

自生の竹を切りだして丁寧に一つずつ作った。

それはお供えの台になった。

長めのものや短めの竹の台を斎壇に置く。

そこに供えた御供はリンゴ、キウイ、ナシ、ブドウ、スイカ、メロンなどの果物やカボチャ、御供モチも。

上から二段目には太いズイキがある。

斜めに切って立てた。

傍らにはサツマイモも供えた。

最上段に供えられた特殊な形状。

まるで樹木が林立するような姿である。

マキの枝木を一本、一本丁寧に植えた。

「植えた」という表現は当主の言葉。

稲苗に見立てて段々にした形であるという。

本数は数え切れないほどで、後方を高くするのだという。

材料を準備したのは11日から12日にかけて。

この日の朝に設えたという新仏のタナは見事に飾られて13日から15日まで祭られる。

お供えの膳は朝、昼、晩に置く。

朝は少しだが、昼晩は精進料理。

コーヤドーフ、シイタケ、ナンキンカボチャを煮たものを供える。

翌日の14日はゼンマイやアブラゲの煮ものを膳にするという。

この日の夕刻にはオショウライサンを迎えるが、初盆のときには一日早くするというから昨日のことだ。

家から出ていく際には藁で作った松明に火を点けて迎えに行く。

家の近くの辻に向かう。

そこで松明の火から遷した線香を持ち帰る。

「お参りに帰ってください」と申して線香火を消えないようにローロクに移し替える。

帰りの道中には家人が鉦を叩いて家族が迎える。

それから般若心経を三巻唱えたと話す。

般若心経はこの日の晩と14日の晩に三巻唱える。

14日の午前中はおじゅっさんが参ってくれる。

その夜は村の人が参ってくれて西国三十三番のご詠歌を唱えるそうだ。

オショウライサンを送るのは15日の夕刻

涼しくなった時間を見計らって家を出る。

ローソクの火を松明に点けて燃やす。

家族揃って辻まで出かける。

そこで線香に火を移して般若心経を三巻唱える。

鉦を叩くのは子供だと一連のお盆の行事を教わった。

(H24. 8.13 EOS40D撮影)