マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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観音寺町の夏の観音さん

2012年10月28日 07時38分34秒 | 大和郡山市へ
今年の1月に初観音の営みを拝見した観音寺町の観音さん。

真夏の8月にも観音さんの前で西国三十三番ご詠歌を唱えると聞いていたので半年ぶりに訪れた観音堂。

提灯を掲げること、町内に「毎月十七夜 拾壱面観世音」の行燈も同じだ。

お花を飾って祭壇に供物を供える。

御供はニンジン、キュウリ、ジャガイモ。串に挿して供える立て御膳には紅白の水引で括った昆布もある。

八幡宮の一年間の祭礼をされる宮守さんが当番を勤める。

この日集まったのは11人。

外はカンカン照りだ。

近くに住んでいるが日傘もささないともたないという。

堂内に上がれば爽やかな温湿度。

クーラーが設置されたおかげだと感謝する夏の日の観音さん。



みなが揃えば始めるご詠歌。

導師が叩く鉦に合わせて和讃を唱える。

いつも通りに23番で小休止。

お茶で一服したあとは再びご詠歌。

24番から再開する。

炎のような形である燭台のローソクは13本。

風に揺られて消えることもある。

その度に席を立ってローソクに火を灯す当番の人。

クーラーから噴き出す風はローソクの消耗が早い。

ご詠歌の時間はとても気を使う夏の観音さんである。

「ぜんこうじさんのご詠歌、やなぎだ(柳谷観世音)さんのご詠歌、やましろのくにのご詠歌、おくの院のご詠歌、奈良の二月堂さまのご詠歌、大和の国のおふささんのご詠歌に続いて村の観音さまのご詠歌は「みほとけの ちかひを ながやう かんぜおん」。

キン、キン、キン、キン・・・の連打で終えた。

延命十句観音経も唱えるが鉦叩きから木魚に転じる。

叩く速度は一段と速くなり「南無大師 なーむだいし かんぜおん そくしんじょうぶつ」。

三巻の般若心経を唱えて終わった夏の観音さんはおよそ一時間余り。

叩いていた木魚を拝見した。



一部が焼けて焦げている。

いつの時にそうなったのか、経緯を存じないが寄進者の名が残されている。

「木魚 王鱗工(綿)屋庄」の文字がある寄進者は中山直次郎。

叩いていた鉦にも刻印記銘が見られた。

「明治九子年五月 世話人○治田丁 木埜本長次郎」である。

いずれも観音寺村にはその人の名が伝わっているという。

(H24. 8.17 EOS40D撮影)