マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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南六条西福寺の施餓鬼

2012年10月29日 07時32分44秒 | 天理市へ
県内各地のお寺で施餓鬼会を行っている施餓鬼会のほとんどは8月時期。

お盆の際に廊下や前庭に供えるのはガキンドサン。

いわゆる家施餓鬼であるが、一般的にお寺で行われているのは寺施餓鬼と呼ばれている。

天理市南六条の西福寺においても施餓鬼があると寺に教わって訪問した。

住職を始めとして本堂に登った檀家さんは如来さんご回在でもお世話になった北方に住む婦人たち。

南六条は大きく分けて北と南の集落。

それぞれに氏神さんと寺をもつ。

三十八神社と旧興蔵寺があるのが北方。

南方には杵築神社と訪れた西福寺。

いずれも融通念仏宗派である。

北方は元柳生、南方は元六条とも呼ばれている地区である。

さて、西福寺の施餓鬼はどことも同じように本堂の外にガキダナを設けられる。

木製の組立式のガキダナは四方を囲っているから内部は判り難い。

北方、南方の檀家たちは新仏のお骨入れを持参して参られる。

鐘を搗いて始まった施餓鬼の法要。

散華、餓鬼法会に続いて赤や青色のカラフルな色あいの幡をもって水焼香をする。



一本の幡を仏飯(ぶっぱん)に挿す。

ガキサンの施す飯である。

そこには椀膳も供えている。

カボチャ、千切りダイコン、サトイモ、コーヤドーフ、ニンジン、コンニャクにオクラなどの煮もの。

ヒジキと豆を煮たものもある膳にはすまし汁も。

箸を置いた方向はガキダナだ。

集まった檀家たちはおよそ30人。

過去帳を詠みあげ、東日本大震災や大水害の諸霊に対して「なーんまいだー なんまいだー」。

お骨を納める新仏の家も法要する。

先祖精霊に塔婆供養。

住職から塔婆を受け取った人はガキダナに移動する。

水に浸したシキビで塔婆をなでるように浸ける。

いわゆる水焼香であるが同寺では「水経義」と呼んでいた。



それを終えてダキダナ下の棚に納める塔婆は桶のなか。

1軒、1軒の法要を勤める塔婆回向。

呼出を受けるたびに席に着いての塔婆回向を終えれば本堂を後にする。

家に帰れば授かった幡を玄関などに挿しておく。

およそ1時間半も費やした施餓鬼会は檀家役員も回向に手を合わせる。

(H24. 8.17 EOS40D撮影)